教訓のある『今』は無敵

かんだ

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9.旺祐の優しさ

 9.旺祐の優しさ
 
「はっ! はぁ、はあっ、はぁはぁは」
 息苦しさと気持ち悪さに突然意識が浮上した。眼球だけを忙しなく動かせば薄暗い室内にいることが分かる。……豪奢な室内ではない。
 豪奢な室内? なんのことだ?
 怜は混乱した。
「どうした? すごい汗だ」
「は、はぁ、……おう、すか?」
「うん? お前の旺祐だよ」
「旺祐」
 不安と恐怖。今、何故か怜を支配する感情はその二つだった。理由は分からない。必死に何かあったか思い出そうとするが、普段より激しく体を繋げ気絶しただけだ。奥に入れられ、オナホで前を刺激され、叫ぶほど喘がされた。多少、行為の前には不安に駆られたが、今ほどではない。
 怜は隣で寝ていた旺祐に体を寄せる。震える体を抱き締めて欲しかった。
「どうした?」
 旺祐は何も言われずとも怜の望む通り隙間なく抱き締めてくれる。体温と心音が伝わり、ようやく少し落ち着けそうだった。
「怖い夢でも見たのか?」
 問われ、そうかもしれないと思った。寝ていたところで突然目が覚めたのだから、原因は悪夢だろう。
「……うん。覚えてないけど。なんか、すごい怖かった」
「覚えてないのにまだ怖いなら相当怖かったんだろうな」
 何も覚えていないが、相当怖かった。すごく怖かった。どんな種類の恐怖だったかさえも覚えていないのに、怖くて怖くて堪らなかった。
「自分のせいで、すごい怖いことがあったみたいな、そんな感じだった気がする」
 唯一記憶の片隅に残っているのは豪奢なイメージだ。だが、それ以上は思い出せない。何が豪奢だったのかも分からない。
「疲れさせたせいか?」
「そんなことないと思うけど。……旺祐が拗ねていつもより意地悪されたからかな」
「はは、確かに意地悪し過ぎたな。たくさん漏らして泣いたもんな」
 気分を変えたくて冗談混じりに言ったが、漏らして泣いた自分を思い出すと羞恥と居た堪れなさが押し寄せ後悔する。恐らく旺祐も怜のその思惑を察してノってくれているのだと思うが、話題を間違えたなと思った。
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