我が身可愛さに行動したら取り返しのつかない結果になった。

かんだ

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22.男の本性

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 22.男の本性
 
 俺が失禁した日からも、テオの態度は変わらなかった。俺の構築式のおかげで体調も良いらしく、毎日生き生きとした表情で俺の世話をしてくれる。斡旋した仕事も難なくこなし、同僚からの好感も得ていた。
 テオは俺にとってラッキーボーイだなとほくほくした気持ちでいたが、久しぶりの外出中にすぐに後悔することになる。
「ルネ様! お久しぶりですね! ずっと会えなくて寂しかったです」
 街中で知り合いに会った。高級娼館でトップを張る男娼のニコラだ。相変わらず華やかな顔立ちをしている。センスは良いがシンプルな衣装を纏っているにも関わらず、周囲の視線を集めていた。
「久しぶりだね。元気してた?」
「ルネ様にお会い出来なかったので元気じゃないですよ。また来て下さいよ」
 ニコラが笑顔で腕に身を絡めてくる。身長は同じくらいなので視線がグッと近付く。ふわっと香った独特の香りに嫌でも娼館での記憶が蘇った。
 一年前、ニコラが魔道具の暴走により負傷した時、偶然俺が助けたことをキッカケに懐かれるようになった。「男娼は体が命だから、ルネ様は命の恩人です」そう言ってニコラと娼館から多くの謝礼を受けたが、その中に高級娼館を無料で利用する権利もあったのだ。娼館を利用する気は一切なかったが、元気でやっているか確かめるために尋ねた時に多くの男娼からベッドに誘われた。大魔法使いに気に入られたいという強い欲望が怖くて二度と行かないと心に決めたのだ。
 ニコラからは娼館で嗅ぐ香りが染み付いているため、当時の怖かった記憶が蘇えり微妙な顔をしてしまう。ニコラ自身は良い子なのに。
「ルネ様、絶対来て下さいよ」
「やだよ。怖いもん」
「僕だけが相手しますから。ルネ様の好きなあの遊びだってたくさん付き合いますよ」
 ニコラは俺が嫌なことはしないし、付き合いやすいところがある。娼館の外で遊べるなら良いかな? と思ったところで、ニコラとは反対側から強い力で引き寄せられて思考がブレた。
 確認しなくても分かる、テオだ。
 テオは俺の腕を掴み、自分に寄り添わせてから低い声を出した。
「誰だお前」
「……あんたこそ誰?」
 ニコラも喧嘩を売られたと思ったのか、眉根を寄せて不機嫌な声を出す。
 人を間に挟んで威嚇し合わないで欲しい。
 俺は二人に落ち着いてもらおうと口を開き掛けたが、テオの声に消される。……その最悪な回答に。
「俺はルネ様の唯一の愛人ですけど」
「…………へ?」
 俺とニコラはたっぷり間を開けて素っ頓狂な声を出す。お互いに阿呆面をしていた。
 テオは一人話を進めた。
「この首輪が分からないか? ルネ様の瞳の色と紋章入りだ。俺がルネ様のものだという証拠。ルネ様は俺が満足させているから男娼は必要ない」
 テオは誰からの反応も必要としていないのか、そのまま俺の腰を抱いて早足に踵を返した。
 俺はというと頭が追い付かずただ言葉を反芻するだけだ。気付いた時にはテオに充てがった家の中だった。
「ルネ様」
 名前を呼ばれ、ようやく彼方に飛んでいた意識が戻る。
「おま、お前! なに言って!」
「ルネ様、俺がいるのにフラフラしないでください」
「はあ?」
 いきなりどうしたと言うのか。
 テオの思惑が分からず疑問符を浮かべるしかない。ニコラは男娼だが俺は客ではないし、例え俺が客だったとしてもテオに制限される謂れもない。俺たちは最低限の契約を交わしているだけで、プライベートを干渉し合う間柄ではない。
 なのに、街中でニコラ相手に盛大な嘘を吐いてまで威嚇した理由が分からない。
「ルネ、お前には俺が必要だろう?」
「……なに」
 その言葉に、ぴくっと体が反応した。いつもの丁寧さがなくなったことにも動揺してしまう。……初めて会った時のような、傲慢さが見え隠れする。
「自分の魔力が、使えないんだろう?」
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