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No.5 ホイホイホイ
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ぬかるんだ地面。
足は取られそうになるけれど、私は踏ん張って真っ直ぐに走り続ける。
数十秒走り進めるとデニスと敵たちの姿が見えてきた。
「王子さん、気を緩めないでよっ。敵は死んだわけではないから」
『分かってるが……って、お前っ!?』
デニスも私が見えたのか、驚いたような声を出す。
彼の目は私の手の方に向いていた。
気になる??
気になるでしょー??
私は我が子を抱いて前線に立ち、我が子を構えた。
隣にはデニスがやってきて攻撃を仕掛けていた。
「さぁ、お待たせいたしましたっ!!! 私の特製ガムゴムバズーカ砲っ!! 行くよっ!!」
「ああ、お前が俺の敵でなくて良かったよ」
ノリノリの私を見てデニスは呆れたような顔をする。
しかし、その顔には少々安心感も見えた。
やっぱり、戦争って怖いものね。
でも、大丈夫。
この武器は人を殺したりはしないから。
「ふぇっふぇっふぇっ!!! ファイト一発っ!!」
私は愛する我が子 ガムゴムバズーカ砲を敵の方に銃口を向ける。
敵の中はすでにデニスの攻撃を受け、べとべとのガムのせいで身動きが取れずにいた。
仲間を助けようとした者も一緒にガムに囚われてしまっていた。
その姿はまるでゴキブリホイホイに引っかかったGたち。
嫌だわ、Gに例えるなんて。
あいつら本当におぞましいのよ。
殺虫剤を吹っかけても少しうねうね動くのだから。
首を横に振り、Gのことを頭から追い払うと照準を合わせる。
そして、可愛いピンク色の球状のガムを放ち、逃げようとしている敵たちに追い打ちを食らわせた。
「よしっ!! 捕まえ―たっ!! よっしゃあぁーーーー!!!!!」
「……」
デニスは全力で喜ぶ私に言葉もないようだった。
今まであいつらに私たち殺されてきたのよ。
このくらい喜んでもいいじゃなーい。
それに、
私たちは敵の命を奪っていない。
結構平和な方だと思うの。
そうして、私がバズーカ砲をぶっ放していると背後から味方のセレスタイン国の兵士たちがやってきた。
彼らはガムでやられている敵の状況を見るなり絶句していた。
そして、私の方を見て……。
「女神様だ……」
なんて言い始めた。
私は呑気にしている兵士たちに、
「なめてんじゃねーぞっ!! ここは戦場だっ!! これを使って敵を捕らえろっ!!」
と吐き捨てるように叫び返し、ガムを外すための粉を投げる。
そう言うと兵士たちは「鬼BBAじゃないか」「こわっ」とか言ってガムに引っ付いている敵の所に向かう。
誰が鬼BBAよ。
私はこれでもまだ10代よ。
それに敵は死んだわけじゃないの。
いつ襲ってくるか分からないのよ。
デニスは自分でも攻撃を仕掛けつつ話しかけてくる。
「お前は情緒不安定か……」
「どこが不安定よ。戦場にいる割には結構安定している方でしょ??」
「ええ。戦場にいる割には非常に精神強い方だと私は思いますよ」
質問に答えたのは隣にいるデニスではなかった。
声は兵士たちが来た方向から聞こえ、その声には聞き覚えがあった。
私は彼の方に顔を向ける。
バズーカ砲をぶっ放しながら。
私は彼に会ったことがある。
ゲーム内でも。
現世でも。
彼はデニスの側近 ステファン・ルチル。
セレスタイン国の伯爵の子息。
そして、乙女ゲームの攻略対象者の1人である。
足は取られそうになるけれど、私は踏ん張って真っ直ぐに走り続ける。
数十秒走り進めるとデニスと敵たちの姿が見えてきた。
「王子さん、気を緩めないでよっ。敵は死んだわけではないから」
『分かってるが……って、お前っ!?』
デニスも私が見えたのか、驚いたような声を出す。
彼の目は私の手の方に向いていた。
気になる??
気になるでしょー??
私は我が子を抱いて前線に立ち、我が子を構えた。
隣にはデニスがやってきて攻撃を仕掛けていた。
「さぁ、お待たせいたしましたっ!!! 私の特製ガムゴムバズーカ砲っ!! 行くよっ!!」
「ああ、お前が俺の敵でなくて良かったよ」
ノリノリの私を見てデニスは呆れたような顔をする。
しかし、その顔には少々安心感も見えた。
やっぱり、戦争って怖いものね。
でも、大丈夫。
この武器は人を殺したりはしないから。
「ふぇっふぇっふぇっ!!! ファイト一発っ!!」
私は愛する我が子 ガムゴムバズーカ砲を敵の方に銃口を向ける。
敵の中はすでにデニスの攻撃を受け、べとべとのガムのせいで身動きが取れずにいた。
仲間を助けようとした者も一緒にガムに囚われてしまっていた。
その姿はまるでゴキブリホイホイに引っかかったGたち。
嫌だわ、Gに例えるなんて。
あいつら本当におぞましいのよ。
殺虫剤を吹っかけても少しうねうね動くのだから。
首を横に振り、Gのことを頭から追い払うと照準を合わせる。
そして、可愛いピンク色の球状のガムを放ち、逃げようとしている敵たちに追い打ちを食らわせた。
「よしっ!! 捕まえ―たっ!! よっしゃあぁーーーー!!!!!」
「……」
デニスは全力で喜ぶ私に言葉もないようだった。
今まであいつらに私たち殺されてきたのよ。
このくらい喜んでもいいじゃなーい。
それに、
私たちは敵の命を奪っていない。
結構平和な方だと思うの。
そうして、私がバズーカ砲をぶっ放していると背後から味方のセレスタイン国の兵士たちがやってきた。
彼らはガムでやられている敵の状況を見るなり絶句していた。
そして、私の方を見て……。
「女神様だ……」
なんて言い始めた。
私は呑気にしている兵士たちに、
「なめてんじゃねーぞっ!! ここは戦場だっ!! これを使って敵を捕らえろっ!!」
と吐き捨てるように叫び返し、ガムを外すための粉を投げる。
そう言うと兵士たちは「鬼BBAじゃないか」「こわっ」とか言ってガムに引っ付いている敵の所に向かう。
誰が鬼BBAよ。
私はこれでもまだ10代よ。
それに敵は死んだわけじゃないの。
いつ襲ってくるか分からないのよ。
デニスは自分でも攻撃を仕掛けつつ話しかけてくる。
「お前は情緒不安定か……」
「どこが不安定よ。戦場にいる割には結構安定している方でしょ??」
「ええ。戦場にいる割には非常に精神強い方だと私は思いますよ」
質問に答えたのは隣にいるデニスではなかった。
声は兵士たちが来た方向から聞こえ、その声には聞き覚えがあった。
私は彼の方に顔を向ける。
バズーカ砲をぶっ放しながら。
私は彼に会ったことがある。
ゲーム内でも。
現世でも。
彼はデニスの側近 ステファン・ルチル。
セレスタイン国の伯爵の子息。
そして、乙女ゲームの攻略対象者の1人である。
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