【R18】没落令嬢の秘密の花園――秘書官エルスペス・アシュバートンの特別業務

無憂

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第二章

狂犬と牝犬*

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 夕食の後、個室コンパートメントに戻ってから、殿下はわたしに対し、ハーケン二等にとう書記官の処遇について説明した。途中の駅で本国と長距離電話で相談したの結果、ハーケン書記官はこのままビルツホルンに連れて行き、現地駐在大使館に引き渡し、監視の上、本国からの交代要員が到着次第、送還することで話がついたそうだ。どうやら、ハーケン書記官の罪は、わたしに卑猥な言葉を吐いた程度のことでは済まないらしい。

「あんな野郎、列車から蹴り落としてやりたいところだが、そうもいかないからな。まったく、忌々しい」
「わたしは平気です。ひどいことを言われたみたいですけど、意味がわかっていないので……」

 殿下が露骨に、凛々しい眉を顰めた。

「お前を馬鹿にするってのは、俺を馬鹿にするのと同じことだ。要するに俺の下半身事情をあげつらうことになるからな。あいつらは俺たち王族を、政略結婚の駒くらいにしか思ってない。内心、馬鹿にしていやがるんだ」
 
 グリージャは、もともとシュルフト帝国内の一公爵領だった。所領を継承した公女がルーセンの王家に嫁いだため、長くルーセン王家の所領となっていたが、ルーセンの革命と共和制への移行により、シュルフト国内の分家と我が国のコーンウォール公爵家(祖母がルーセンの王女)で揉めた挙句、現在の王家である分家ディーゼル=ヴァルトフォーゲル家の領有が認められ、その後、独立して王国を名乗った。……王国を名乗ってまだ、百年に満たない。

 山間の小国で、特別な旨味があるわけでもなく、我が国にとっては昔から、喉にひっかかった魚の小骨のような存在だ。いっそ、武力で制圧してしまおう、なんて過激な意見も絶えずある。

「ハーケンの野郎はその急先鋒で、グリージャ王家の窮状に付け込んで、女王の王配に我が国の王子を送り込み、実質的に保護国化しようとした」

 国王陛下はグリージャのような山がちの小国、持ち出しばかり多くて利益は少ないと考え、グリージャを領有したり、保護国化したりするつもりは毛頭ない。ただ共産化されるのは厄介なので、穏健な立憲君主制の維持を望んでいるという。当然、グリージャとの婚姻政策の提案など、即座に却下したが、しつこい一派が、グリージャ国内の『売国貴族』と組んで、グリージャからの要請という形で、国王を動かそうと画策していたわけだ。

「結局のところ、国のためと言いながら、自分のやりたいように国を動かしたいだけなんだ。自分で命を張って戦争に行きもせず、俺の人生を勝手に切り売りして成果を得ようとする。本当にバカバカしいし、許しがたい」

 グリージャ国内の貴族と結んでいたことが明らかになれば、スパイ容疑で重罪となるだろうと。

「『国益』のための外交活動に託けて、嘘の情報を流して王家の判断を誤らせようとしたのだからな。そんな野郎を俺の随行員に加えやがって、外交部の局長も降格レベルの大失態だ」

 殿下はイライラと、ブランデーのグラスを呷る。

「お酒はそれぐらいにして、そろそろ休みましょう」
 
 わたしがそう言って、グラスを持つ手を押えると、殿下がギラギラした目でわたしを見た。

「ハーケンの野郎、お前のことをビッチだなんて……」
「もういいんです、国家機密に関わる暗号じゃなかったのなら、もう、それで。さ、シャワーを浴びていらして」

 夕食後、宝飾品だけ外した状態で話し合っていたから、殿下はシャツの上にウエストコートを着て、タイも締めたままだし、わたしもドレスを着ている。でも夕食の間に寝台の用意はされていて、わたしたちはベッドに並んで座って、話をしていたのだ。

 殿下はグラスを置くと、わたしの両手を片手で掴んで、その手をベッドに押し付けるようにした。

「リジー?……何を……」
「ビッチって、何か知ってるか?」

 殿下はわたしの耳元で、ブランデーの匂いのする息で問いかける。

「い、いえ……全然?」

 殿下がくすっと笑い、もう片方の掌で、わたしの背中を辿る。

「ビッチ、ってのは、牝犬メスイヌのことだ」
「牝犬……?」
「そう、ちょうどこんな風に四つん這いになって……」

 殿下の手が太ももを滑り、スカートを捲り上げる。

「や……だめ、だめですって!」
「誰とでも寝て、腰を振る女って意味だ。……お前は俺だけのものなのにな」

 絹のドレスと絹のスリップをたくし上げられると、その下は黒いレースのついた濃いグレーの絹の薄いストッキングと、 黒いリボンとレースで飾られてた、ガーターベルトだけだ。

「また、こんなエロい下着を着やがって。昼間はドロワースも穿いてたのに、わざわざ脱いだってことは、俺を誘ってるのか? ……んん?」
「なっ……違います! やめてっ……ああっ」

 パチンとストッキングを吊るしているリボンを弾かれて、わたしがビクっと身体を震わせる。殿下の手が尻を這いまわり、太ももを撫でる。

「きゃあっ……まっ……」
「いい眺めだな……花びらみたいなまんこが丸見えだ」
「やめて、見ないで……」

 ……気づけば、両手は自由になっているのに、わたしは逃げることもできず、ただ羞恥に耐えるように、シーツを両手で握り締めてふるふる震えていた。殿下がわたしの背中のボタンを外し、ドレスを脱がしていく。

「ダメ……皺になっちゃう……」
「じゃあ、俺がドレスをクローゼットに仕舞う間、牝犬みたいに四つん這いになって待ってろ」
「でもぉ!」
「それができないなら、今すぐ犯す。……ホラ、もっと尻を上げてろ」

 殿下はわたしの絹のスリップも剥ぎ取ると、わたしに両手両膝をつかせて、尻を上げる格好をさせる。

「灯りを消してください、お願い……」
「大丈夫だ。明日の朝まで、駅に停まる予定はない。真っ暗な山道を走るだけだ。誰も見ない」
「でも……っ」
「いいから言うことを聞け!」

 冷静に考えれば、言うことを聞く必要なんてないのに、なぜだかわたしは逆らうことができず、ベッドの上で牝犬のように、尻を上げて待ち続けた。身に着けているのは、黒いレースのガーターベルトと、濃いグレーのストッキングだけ。殿下が離れている間、ガタン、ゴトンと列車の音が響き、規則正しく寝台が揺れる。
 どうして逃げられないのか。わたしが四つん這いのままで大人しく待っていると、戻ってきた殿下が笑った。

「いい子だ。……さすが、俺の妻になる女だ。従順で可愛くて、それでいて気の強い、最高の女だ、エルシー……」  

 殿下の大きな手がするりとわたしの剥き出しの尻を撫でる。

「灯り、消して……恥ずかしいの」
「消したらお前のいやらしい姿が見えないじゃないか」
「やだ……意地悪やめて。どうして。昔は優しかったのに」

 涙目で睨みつけると、殿下がクスッと笑う。

「昔から、俺は結構、意地悪だぞ? お前が気づいてないだけで」
「ウソ……」
「例えば……わざと図書室ライブラリーで怖い本を読んで聞かせて。夜、お前が一人で眠れなくなるように。……そうしたら、俺がそっと忍んで行った時に、すごく嬉しそうに抱き着いてくれるんだ」

 わたしは目をパチパチさせる。……怖い本を読むのが、わざとだったなんて……。

「ひどいわ。だましたの?」
「だってそうしたら、お前を抱き締めて眠れるじゃないか。俺のことが大好きだって言ってくれるし……」

 ベッドに腰を下ろした殿下が、タイを緩め、抜き取る。そうしてシーツを握り締めているわたしの両手首を掴んで、そのタイで縛りあげてしまった。

「何を……」
「これでもう、俺から逃げられない」
「や……逃げない、から……やめて、怖い……」

 戒めから逃れようと腕を引っ張るけれど、がっちり結ばれたタイがギリギリと締まるばかりだ。タイと格闘するわたしの、頬に殿下が触れて、顔の向きを変え、唇が塞がれる。

「んん……んっ……」

 殿下の片手が戒められた両手をベッドに押し付け、唇から舌が捻じ込まれて、好き放題蹂躙する。やがて、もう一つの手が裸の肌をゆっくりと辿って、尻を撫で、脚の間から、秘所へと指が侵入してくる。

「んんん……んン―――っ」

 長い指が秘裂を割り、花びらの中の内側を撫でる。ゾクゾクした感覚が腰から立ち上って、わたしは知らず知らず、腰を動かしていた。ぐちゅぐちゅといやらしい水音が響いて、羞恥で頭が沸騰しそうになる。息が苦しくて必死に首を振ると、殿下は唇をようやく解放してくれた。

「はあっ……はあっ……ああっ……んんっ……あああっ」
「……腰が揺れてるぞ? もう、こんなに濡らして。音、聞こえるだろ?……エルシー、お前、牝犬ビッチの素質があるんじゃないか?」
「ち、違います、やめて……ああっ」

 殿下の指が、わたしの中に侵入し、乱暴に中をかき回す。と、同時に、秘裂のすぐ上の敏感な尖りを別の指でぐいと押した。

「やあっ……ああっ……」

 気づけば、わたしはベッドのシーツを両手で握り締めて、腰を突き上げるように揺らして、淫らな喘ぎ声まで上げていた。

「すごい、いやらしい格好だな。そんなに腰を振って。全裸じゃなくて、ガーターベルトとストッキングだけ、しかも黒だなんて、エロ過ぎて鼻血が出そうだ」
「だって……そんな……やだ……ああっ……」

 殿下が長い指が二本、それぞれ内部を動き回り、秘裂の上の敏感な突起を同時に責められて、わたしの腰が勝手に動いてしまうのだ。

「あっ……やあっ……ああっ……あっあっ……」

 一番、感じる場所を重点的に責められて、そのたびに強烈な快感が背筋を駆け上って、わたしは快感に身を捩った。

「やっぱりここが気持ちいいか? ここ、なんて名前か知っているか?」
「や、やああっ……しら、知らないっ……ああっあああっ」
「クリトリス、って言うんだ。女の一番感じる場所だ。……ホラ、言っていみろ」
「やあ、そんな……ああっああんっ……」
「ここを弄るとナカが締まる。気持ちいいんだろう? 次々と溢れてくる。……クリトリスをもっと弄って苛めてください、ってお願いしてみろ」

 わたしが快感で達しそうになると、でも殿下の指はするりと離れて、ギリギリで達することができない。

「ああっあっ、そこっだめっ……やめっ……」

 さっきからもう、お腹の奥がぐずぐずになって、溜まっていく熱で悶えそうだった。

「本当にやめていいのか?……ほら……」

 意地悪そうに喉の奥で笑われて、わたしは羞恥で頭の奥がカッとなった。殿下の指がずるりと抜き取られ、お尻の双丘を両手で開くようにして、じっと見つめられる気配に息を呑む。ひやりとした空気が秘所に触れ、何もされていないのにドキドキしてわたしの荒い呼吸が響く。

 ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……汽車の規則正しい振動と、わたしの喘ぎ声と。

「ヒクヒクと物欲しげに動いてるぞ? 本当は、もっと欲しいんだろう? 淫乱なエルシーは」
「ちがっ……やああっ、見ないでぇ!」

 ふうっと熱い息を吹きかけられて、わたしの羞恥心が弾け飛ぶ。

「もっと、触って欲しい?」
「ん……おね、お願い、リジー……意地悪、いやあ……」
「どこを触って欲しい?」
「ええっ……クリ?……クリトリス?……そこ、弄って……」
「ここ? ここが気持ちいい?」

 殿下の指に一番感じる場所をキュッと摘まれて、わたしの全身に電流が走る。

「ああっ……そこっ……そこ、弄られると……」
「気持ちいい? ちゃんと名前を言ってみろ」
「あああっ、気持ち、いい……クリト、リス?……弄られると、いいっ……あああっ、もっと、やあ、やめないでっ、あああああっ」
 
 わたしは両手でシーツに縋りつき、殿下に尖りを弄られるまま、快感に腰を振る。ぐじゅぐじゅとものすごい水音がして、太ももを滴が流れ落ちていくのすら、気持ちいい。そのまま、身体を弓なりにして、甲高い悲鳴をあげて達した。

「あああっ……ああ――――っ」
「なんて格好でイくんだ。……もう立派な牝犬だな。俺専用の、可愛い牝犬……」

 言いながら殿下が両手でわたしの尻を掴み、熱い息が秘所にかかって、唇を寄せてずるっと音を立てて蜜を吸い上げられる。這いまわる舌のもたらす快感で、わたしは立て続けにもう一度絶頂した。

「はうっ……あああ――――――――――っ」

 ぴちゃぴちゃと聞くに堪えない淫らな音が響いて、わたしの耳まで犯されていく。

「ああっあっああっ……ああっ、だめぇ……あああっ、あっああんっああっああっ……」

 あまりの快楽にわたしは何も考えられなくなり、彼の舌に翻弄されて淫らに腰を振り、声が涸れるまで喘ぎ続けた。

「ああ、もう、だめぇ、許してぇ……、おか、おかしくなる、あああああっ……」

 もう一度絶頂して、膝に力が入らなくて、わたしはベッドに突っ伏してガクガク震えるばかり。ようやく殿下がわたしの脚の間から顔を上げ、口元を拭いながら笑った。

「こんなに感じて……エロ過ぎだ。俺の方がおかしくなる。……今、どんな淫らな顔してるか、見せてやろう」

 そう言うと、殿下はわたしの脇の下に腕を入れて支え、上半身を抱き起し、真っ暗な窓に向けた。

 漆黒の山道を走り続ける列車の窓は黒い鏡のよう個室コンパートメント内を映し出す。――当然、背後から男に抱えられ、快楽にぐったりと蕩けた、わたしの顔も――。


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