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3、過去の瑕
過去の瑕
普段はすっぱり忘れている死んだ側室や正室のことを珍しく思い出したのは、お披露目を前に続々と総督府に集まる、東の帝国の人間を目にしたせいだろう。
恭親王は来るべきイフリート公爵との開戦に向け、騎士の人材不足を痛感して、帝国の各騎士団に対し騎士の募集をかけた。また、侍従武官への登用を前提に、何人かの騎士に徴召をかけた。彼らが総督府に到着し、恭親王の謁見を受けたのである。
まず、恭親王が徴召したのは、七年前の北方辺境で、ともに異民族の虜囚となった三人の皇宮騎士団の騎士であった。苦難をともに乗り越え、気心の知れた彼らを、恭親王は幹部候補として呼び寄せた。うち、ハヌルは兄の死により家を継ぐことになったために辞退したが、テムジンとアートは馳せ参じた。三十前後と騎士として最も脂の乗った彼らを、恭親王は大層喜んで歓待した。
そしてもう一人、これは完全なる情実人事なのだが、北方辺境騎士団の騎士をしていた、フランザ子爵の次男、ユーエルを総督府付きの騎士として招集した。
そう、彼は恭親王の死んだ寵姫の弟である。心情的には侍従武官にでも登用したいのだが、辺境の子爵の、さらに次男坊ではさすがに無理であった。
〈表〉の広間ではなく、〈奥〉の恭親王の書斎に導き入れられたユーエルは、辺境育ちとは思えない優雅な身のこなしで片膝をついて頭を下げる。艶やかな黒髪を短く刈りこみ、姉にそっくりの黒目がちの瞳をした青年騎士は、恭親王の目を真っすぐに見て挨拶した。
「お久しぶりでございます。フランザ子爵が次男、ユーエルでございます。この度は殿下のお召を受け、光栄の限りにございます」
「久しぶりだ、ユーエル。立って楽にしてくれ。長旅で疲れただろう」
「ありがとうございます。ここらは正月でも暖かくて……大陸は広いと実感いたしました」
彼の故郷は今頃、雪に覆われ、大河も凍っているだろう。恭親王がユーエルに最後に会ったのは二年前の秋、南方辺境から帰った翌年の巡検で北方辺境を訪れ、側室の墓に詣でた時以来だ。
正室の折檻で命を落とした側室の亡骸は、皇后の意向により家宰の差配で秘密裡に故郷の玄武州に送られ、フランザ家の墓地に葬られていた。死に目どころか埋葬にも立ち会わなかった彼を、フランザ家の者はひどく恨んだであろうと恭親王は考えたが、その辺境の子爵家はだいたいの事情を察していたようであった。その墓参の折に、何かの機会があればユーエルを登用したいと恭親王は言い置いていたのである。
「……この度はご成婚、おめでとうございます。二百年ぶりの〈聖婚〉とか。北方の辺境まで噂が届いております」
ユーエルに、辺境育ちにはとても見えない優美な微笑みを恭親王に向けられ、年子だった彼の姉にそっくりで、恭親王は少し困った気分になる。
「うむ……明後日には新年祝いを兼ねたお披露目がある。おかげでバタバタしていてな」
「お披露目では私も姫君のお姿を拝見できますでしょうか」
「お前には広間の警備に当たってもらうつもりだから、当然、見えると思うぞ」
「それは楽しみです」
そう聞いて、ユーエルはにっこりと微笑んだ。
そしてもう一人――。
こちらは彼が招集をかけたわけでなく、彼の母親の書いた紹介状を手に、はるばる転移門を通過して帝国の西の果てまでやってきたのである。
「恭親王殿下におかれましては、はじめて御目文字つかまつります! ソアレス公爵が嫡孫、デュクトが一子のフエルにございます! 不肖なる亡き父の代わりに、殿下に誠心誠意お仕えすべく、遠路を罷りこしました! 未熟者ではございますが、是非、近習の一人にお加えいただければ幸甚に存じます!」
まだ、成年前の甲高い声に、少年らしいはきはきとした口調で、フエルは堂々と言い切った。父親はゾーイには劣るもののかなりの偉丈夫であったし、その血を引いた彼も、十三歳という年齢の割には背が高く、身体つきもしっかりしている。何より美形であった父親の血と、恭親王が一目ぼれした母親の美貌を受け継いで、相当な美少年である。彼の父親は常に苦い薬でも舐めているみたいな表情をしていたが、息子は母が育て方がよかったのか、緊張と期待で黒い瞳を煌めかせて、少年らしい素直な表情をしている。
全く予想外の、しかも心情的に歓迎できない相手の来訪に、恭親王は微かに眉根を寄せて反応に窮する。フエルが携えてきたデュクトの妻クリスタからの手紙の、その懐かしい流麗な手蹟を目で辿りながら、恭親王は過去のとんでもない傷口を抉られて、胃の腑がキリキリと痛むような気がした。
「……それは、遠いところをご苦労なことだが……まだ、そなたは幼い。母親の手を離れるのは辛いのではないか。仕官であればもう少し伸ばすか、母親の近くにいられる帝都での職を求めた方が……」
「殿下!役目を全うすることなく斃れた父に代わり、殿下にお仕えすることこそ、ソアレス家の嫡流たる僕の使命です!父上が正傅役に任じられたのは十四歳の時でした。僕は殿下の傅役を務めることはできません。せめて一刻も早く、殿下のお役に立てるように、精進したいと思います!」
ソアレス家は皇子の、それも皇太子の養育を代々掌る十二貴嬪家の筆頭の家だ。父親が早世した以上、その子がまた同じ皇子に仕えるのもないわけではないが、仮にも傅役が皇子より十歳も年下などということは、あり得ない。したがって、彼は恭親王の下で侍従武官を務めて研鑽を積み、いずれ恭親王に皇子が生まれた暁には、その傅役に任命されたい、ということなのだ。
「だが、その――フエルよ。私はもう〈聖婚〉の皇子としてソリスティア総督を拝命しており、帝位につくことはあり得ない。そなたはソアレス家の正嫡、一郡王にしかならない私の息子の傅役では勿体ないであろう。……その、私が預かっている暗部の者については、そなたが成人の後にはそちらに返すつもりでいた。しばらくここで暗部の者の統轄法を学ぶのは構わないが、そのまま私の下に仕えるというのは……」
「ソアレス家の継承のことなら問題はありません。僕には弟も二人おりますので! でも、長男の僕は、父の代わりに殿下にお仕えすべきだと思います!」
なんでそうなるのか、恭親王はフエルの理屈にただ沈黙する。――暗部は返すから、できれば帰って欲しい。
恭親王はそんな気分でクリスタの手紙をもう一度読んだ。
恭親王は来るべきイフリート公爵との開戦に向け、騎士の人材不足を痛感して、帝国の各騎士団に対し騎士の募集をかけた。また、侍従武官への登用を前提に、何人かの騎士に徴召をかけた。彼らが総督府に到着し、恭親王の謁見を受けたのである。
まず、恭親王が徴召したのは、七年前の北方辺境で、ともに異民族の虜囚となった三人の皇宮騎士団の騎士であった。苦難をともに乗り越え、気心の知れた彼らを、恭親王は幹部候補として呼び寄せた。うち、ハヌルは兄の死により家を継ぐことになったために辞退したが、テムジンとアートは馳せ参じた。三十前後と騎士として最も脂の乗った彼らを、恭親王は大層喜んで歓待した。
そしてもう一人、これは完全なる情実人事なのだが、北方辺境騎士団の騎士をしていた、フランザ子爵の次男、ユーエルを総督府付きの騎士として招集した。
そう、彼は恭親王の死んだ寵姫の弟である。心情的には侍従武官にでも登用したいのだが、辺境の子爵の、さらに次男坊ではさすがに無理であった。
〈表〉の広間ではなく、〈奥〉の恭親王の書斎に導き入れられたユーエルは、辺境育ちとは思えない優雅な身のこなしで片膝をついて頭を下げる。艶やかな黒髪を短く刈りこみ、姉にそっくりの黒目がちの瞳をした青年騎士は、恭親王の目を真っすぐに見て挨拶した。
「お久しぶりでございます。フランザ子爵が次男、ユーエルでございます。この度は殿下のお召を受け、光栄の限りにございます」
「久しぶりだ、ユーエル。立って楽にしてくれ。長旅で疲れただろう」
「ありがとうございます。ここらは正月でも暖かくて……大陸は広いと実感いたしました」
彼の故郷は今頃、雪に覆われ、大河も凍っているだろう。恭親王がユーエルに最後に会ったのは二年前の秋、南方辺境から帰った翌年の巡検で北方辺境を訪れ、側室の墓に詣でた時以来だ。
正室の折檻で命を落とした側室の亡骸は、皇后の意向により家宰の差配で秘密裡に故郷の玄武州に送られ、フランザ家の墓地に葬られていた。死に目どころか埋葬にも立ち会わなかった彼を、フランザ家の者はひどく恨んだであろうと恭親王は考えたが、その辺境の子爵家はだいたいの事情を察していたようであった。その墓参の折に、何かの機会があればユーエルを登用したいと恭親王は言い置いていたのである。
「……この度はご成婚、おめでとうございます。二百年ぶりの〈聖婚〉とか。北方の辺境まで噂が届いております」
ユーエルに、辺境育ちにはとても見えない優美な微笑みを恭親王に向けられ、年子だった彼の姉にそっくりで、恭親王は少し困った気分になる。
「うむ……明後日には新年祝いを兼ねたお披露目がある。おかげでバタバタしていてな」
「お披露目では私も姫君のお姿を拝見できますでしょうか」
「お前には広間の警備に当たってもらうつもりだから、当然、見えると思うぞ」
「それは楽しみです」
そう聞いて、ユーエルはにっこりと微笑んだ。
そしてもう一人――。
こちらは彼が招集をかけたわけでなく、彼の母親の書いた紹介状を手に、はるばる転移門を通過して帝国の西の果てまでやってきたのである。
「恭親王殿下におかれましては、はじめて御目文字つかまつります! ソアレス公爵が嫡孫、デュクトが一子のフエルにございます! 不肖なる亡き父の代わりに、殿下に誠心誠意お仕えすべく、遠路を罷りこしました! 未熟者ではございますが、是非、近習の一人にお加えいただければ幸甚に存じます!」
まだ、成年前の甲高い声に、少年らしいはきはきとした口調で、フエルは堂々と言い切った。父親はゾーイには劣るもののかなりの偉丈夫であったし、その血を引いた彼も、十三歳という年齢の割には背が高く、身体つきもしっかりしている。何より美形であった父親の血と、恭親王が一目ぼれした母親の美貌を受け継いで、相当な美少年である。彼の父親は常に苦い薬でも舐めているみたいな表情をしていたが、息子は母が育て方がよかったのか、緊張と期待で黒い瞳を煌めかせて、少年らしい素直な表情をしている。
全く予想外の、しかも心情的に歓迎できない相手の来訪に、恭親王は微かに眉根を寄せて反応に窮する。フエルが携えてきたデュクトの妻クリスタからの手紙の、その懐かしい流麗な手蹟を目で辿りながら、恭親王は過去のとんでもない傷口を抉られて、胃の腑がキリキリと痛むような気がした。
「……それは、遠いところをご苦労なことだが……まだ、そなたは幼い。母親の手を離れるのは辛いのではないか。仕官であればもう少し伸ばすか、母親の近くにいられる帝都での職を求めた方が……」
「殿下!役目を全うすることなく斃れた父に代わり、殿下にお仕えすることこそ、ソアレス家の嫡流たる僕の使命です!父上が正傅役に任じられたのは十四歳の時でした。僕は殿下の傅役を務めることはできません。せめて一刻も早く、殿下のお役に立てるように、精進したいと思います!」
ソアレス家は皇子の、それも皇太子の養育を代々掌る十二貴嬪家の筆頭の家だ。父親が早世した以上、その子がまた同じ皇子に仕えるのもないわけではないが、仮にも傅役が皇子より十歳も年下などということは、あり得ない。したがって、彼は恭親王の下で侍従武官を務めて研鑽を積み、いずれ恭親王に皇子が生まれた暁には、その傅役に任命されたい、ということなのだ。
「だが、その――フエルよ。私はもう〈聖婚〉の皇子としてソリスティア総督を拝命しており、帝位につくことはあり得ない。そなたはソアレス家の正嫡、一郡王にしかならない私の息子の傅役では勿体ないであろう。……その、私が預かっている暗部の者については、そなたが成人の後にはそちらに返すつもりでいた。しばらくここで暗部の者の統轄法を学ぶのは構わないが、そのまま私の下に仕えるというのは……」
「ソアレス家の継承のことなら問題はありません。僕には弟も二人おりますので! でも、長男の僕は、父の代わりに殿下にお仕えすべきだと思います!」
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