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第一章
玉砂利を蹴る足音
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木刀がぶつかり合う音が響くと土煙が上がり、驚いた野鳥が木々から飛び立つ。
土煙が晴れると、二人の少年がつばぜり合いの真っ最中だった。
一人は体が大きくビクともせず、もう一人は小さく、全力で押し返しているのか小刻みに震えている。
小さな少年は、白い着物に赤い組紐、袖絞りは巫女を連想させたが、裾絞りの薄青い袴と脛巾がそれを否定する。
もう一人は白い着物に紺色の袴、まさに道場着といったところだ。
二人ともちょんまげは結っておらず、長い髪を後ろでまとめているだけだった。
長いつばぜり合いに力尽きたのか、小さな少年は、軽く小突かれただけで玉砂利の上を後ろ向きに転がる。
「大丈夫か、景継!」
押し転がしてしまった少年は焦り、景継の元に駆け寄った。
景継はニコリと笑い、埃を払いながら立ち上がった。
「大丈夫だよ、景宗兄さん。ごめんね、相手にならなくて」
景宗は景継の前に膝をつき、一緒に埃を払った。
「すまない、着物が……後で着替えを」
景継は首を横に振り言った。
「このままでいいよ。稽古終わりだよね? 少し町で遊んでくる!」
逃げるように走り去ってしまった。
景宗は止めようと、「まだ、稽古は終わってない!」と叫んだが、景継の足は止まることがなかった。
その様子を陰から見ていた父の神叡は、ため息をつきながら景宗に歩み寄り言った。
「景宗、もうよい。あやつはまだ小さいし、焔乃宮家もご神体の焔の刀も継ぐことはない。好きにさせてやれ」
神叡は白くなった髪を掻き上げ、髭をさすりながら続ける。
「景宗のように剣術も法術の才能があるわけではないが、人を惹きつける何かがある。戦場に立たずとも、何かしらの役に立つだろう」
二人は玉砂利を蹴り走る景継を見送った。
景継は大鳥居をくぐり、町へと駆けていく。
くぐり抜けた大鳥居の扁額には『焔乃宮神社』とあった。
土煙が晴れると、二人の少年がつばぜり合いの真っ最中だった。
一人は体が大きくビクともせず、もう一人は小さく、全力で押し返しているのか小刻みに震えている。
小さな少年は、白い着物に赤い組紐、袖絞りは巫女を連想させたが、裾絞りの薄青い袴と脛巾がそれを否定する。
もう一人は白い着物に紺色の袴、まさに道場着といったところだ。
二人ともちょんまげは結っておらず、長い髪を後ろでまとめているだけだった。
長いつばぜり合いに力尽きたのか、小さな少年は、軽く小突かれただけで玉砂利の上を後ろ向きに転がる。
「大丈夫か、景継!」
押し転がしてしまった少年は焦り、景継の元に駆け寄った。
景継はニコリと笑い、埃を払いながら立ち上がった。
「大丈夫だよ、景宗兄さん。ごめんね、相手にならなくて」
景宗は景継の前に膝をつき、一緒に埃を払った。
「すまない、着物が……後で着替えを」
景継は首を横に振り言った。
「このままでいいよ。稽古終わりだよね? 少し町で遊んでくる!」
逃げるように走り去ってしまった。
景宗は止めようと、「まだ、稽古は終わってない!」と叫んだが、景継の足は止まることがなかった。
その様子を陰から見ていた父の神叡は、ため息をつきながら景宗に歩み寄り言った。
「景宗、もうよい。あやつはまだ小さいし、焔乃宮家もご神体の焔の刀も継ぐことはない。好きにさせてやれ」
神叡は白くなった髪を掻き上げ、髭をさすりながら続ける。
「景宗のように剣術も法術の才能があるわけではないが、人を惹きつける何かがある。戦場に立たずとも、何かしらの役に立つだろう」
二人は玉砂利を蹴り走る景継を見送った。
景継は大鳥居をくぐり、町へと駆けていく。
くぐり抜けた大鳥居の扁額には『焔乃宮神社』とあった。
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