無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

魔導書士、王都に向かう

「あいたた、昨日は飲みすぎましたね…」
　昨日はあの後、私とレイラさんの昇級を祝うため、ギルドの冒険者の皆が宴会を設けてくれた。
　しかし冒険者たちの宴会とはすごいもので、みんなよく食べ、よく笑い、信じられないほどよく呑む。
　私なんて実家の両親としか吞んだことがなかったので、呑まされすぎて朝から頭が痛い。

「おはようニコライ！昨日は楽しかったな！」
　朝、集合場所の広場に行くと、つやつやとした顔のレイラさんが待っていた。
「レイラさん、元気そうですね…」
「ああ、あんなに楽しい酒は久しぶりだったからな！」
「ははは…。それより、本当に良いんですか？」
「ん、何がだ？」
「いえ、私と一緒に王都に行ってくれるというので」
「ああ、何、君は旅慣れていないだろう？それに、君のそばにいると、なかなか面白いものが見れそうだからな！」
　たしかにずっと山に住んでいた私は、旅慣れていないし、世間の常識にも疎い。無事王都にたどり着けるか不安だった私は、酒に酔った勢いでレイラさんに提案し、彼女がそれを受けてくれた形だ。いや、本当にありがたい。
「よし、王都までの道のりは長い。しっかり準備をしてから出発しよう」

　私はレイラさんの案内で街の店をめぐり旅の準備を整えた。そして昼食後、我々は町の門に向かった。
「おや、レイラさん、今日はどんなクエストに行かれるのですか」
　門の衛兵が話しかけてくる。
「いや、この男が王都の図書館に行きたいと言うのでな、案内で同行するのさ」
　そう言って会話をしながら町を出る手続きをする。
「よし、それでは王都に向かおう！」
　門を出た我々は、街道に沿って歩き始めた。
　ああ、この先に憧れの王立図書館があるのだな…