無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

甘夏蜜柑

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魔導書士、王都の本屋をめぐる

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 王立アカデミーを後にした私とレイラさんは、王都をぶらぶらと歩いていた。
「しかし、収穫は芳しくなかったですね。他の店でも回ってみましょうか」
「ああ、そのことだがな、さっきぶらつくついでに、本屋を何軒か探しておいたから案内しよう」

 レイラさんの案内で王都の本屋を何軒か回った。
 と言っても、一般の本屋なので魔導書が置いているわけではなかったが、アカデミーには置かないほど初歩的な数学や薬草学、錬金術といった関連分野の本はそれなりに手に入れることができた。
「ふむ、ここまで基本的な内容になると、さすがにそこまで変なことは書いてないですか」
「まあ、さすがに1足す1は2みたいに基本的なことは、間違っていれば誰でも気づくだろうしな。というか、さっきのは本当なのか。その、アカデミーにおいてある本が間違いだらけというのは」
「ええ、本当です。少なくとも、私が実家で習っていた魔法理論とはかけ離れていましたし、あの理論で魔法を発動するのは非常に非効率です。しかし何であんなものがアカデミーの売店に…」
「まあ、難しいことは私にはさっぱりだな。さあ、ニコライ、次の店が最後だ」

 案内されたのは、路地裏の怪しげな店だった。
「骨董品屋らしいが、古本やら巻物やらも置いてあってな。まあ、胡散臭いことこの上ないが、一応な」
 店に入ると、古物独特の少しかびたような、湿っぽいような、何とも言えない匂いがそこに満ちていた。
「ひゃひゃひゃ、胡散臭くて悪かったな」
 話が聞こえていたのだろう。ぼさぼさ白髪の老人が、不気味に笑いながら出迎えてくれた。
「おや、そっちのお姉ちゃんはさっきも来てたな」
「ああ。本を見せてくれるか」
「はいはい、こっちに来んしゃい」
 そうして案内された店の片隅には、古い本やら巻物、紙類がうずたかく積まれていた。
「どうぞごゆるりとなー。ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ」
「ふむ、これは…」
 私はその山から、比較的作りのしっかりしている本を一冊抜き取りパラパラとめくり、そして驚く。
「この内容、作り、素材…。間違いない。レイラさん。これ、古代の魔導書ですよ!」
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