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魔導書士、アカデミーと揉める
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「ニコライ様、お客様が来られたのですが…」
図書館のそばに建ててもらった自宅で書き物をしていると、サーシャさんが呼びに来た。
「はいはい。入学希望者ですか?」
「いえ、それがその、王都のアカデミーの方なのですが、とにかく責任者を呼んで来いとだけ…」
「アカデミーが?一体どうしたんでしょう?」
図書館で待っているということなので向かうと、貴族のような見た目の老人が、図書館の本をしげしげと眺めながらそこで待っていた。
「ふむ、君がここの責任者かね?」
老人は立派に蓄えた髭を撫でながら、値踏みをするように私を見てきた。
「はい、ニコライと申します。アカデミーの方ですか?」
「挨拶が遅れたな。アカデミー学長のムーアと言う」
無愛想に答えるた老人が続ける。
「単刀直入に言う。こんな学校もどきで誤った知識を教えるのは止めてもらいたい」
「どういうことですか?」
「読み書き計算程度を教えるなら別に構わん。が、ここでは魔術についても教えていると聞く」
「ええ、上級クラスには魔術の基礎理論や歴史等を…」
「そういうことをされると困るのだよ」
「はあ?」
「ここの卒業生とやらが偶々王都に就職してな。それで会って話を聞いてみたらどうだ。アカデミーで教えていることと全く違ったことをここでは教えているというではないか」
「え、ええ、しかしそれは、べつに間違っているわけでは…」
「間違っていると言っているのだ!!」
老人の叫ぶ声が図書館中に響き渡る。
「待っている間にここの本も見たが、たいした本も置いてないしのぉ。どれ、アカデミーの本をいくらか融通してやろうか?」
「はあ、いえ、それには及びませんが」
いきなり来て何だというのだこの老人は。まあしかし、従う必要もないし、とにかく穏便に済ませて帰ってもらいたいものだが。
「ふん、まあ良い。全く、教師が頑固なら生徒も頑固というわけか」
「どういう意味ですか?」
「うん、いやなに、先ほど話したここの卒業生だがな、誤った知識を正すように話したのだが全く聞かなくてな。それで軽くお灸をな。なに、せっかく得た職を失った程度じゃがな。かっかっかっ」
老人が楽しそうに笑う。
「どういうことですか…」
さすがに黙ってはいられない。
「何じゃと?」
「どういうことかと聞いているのですよ!」
今度は私の声が図書館に響き渡った。
「何じゃその口の利き方は!」
「そちらこそ何ですか。大体、教えている内容が誤っているのはそちらの方でしょう!それを棚に上げて生徒の人生を弄んで、あんたらにそんな権利があるのか!」
「はあ?わしらが間違っているじゃと?全く、田舎の魔導書士風情がよく言えたもんじゃい。なんだったらどちらが正しいか試してみるかの?」
「試す?」
「なに簡単じゃ。魔術の究極の目標は、より強力な魔術を行使すること。正しければ強い。じゃから魔術師が試すということは、魔術勝負をするということじゃよ。それとも、魔導書士殿には荷が重いかの」
にやにやと笑いながら老人が挑発してくるので、
「…良いでしょう。表に出てください」
今度は私がこいつにお灸をすえてやることにした。
図書館のそばに建ててもらった自宅で書き物をしていると、サーシャさんが呼びに来た。
「はいはい。入学希望者ですか?」
「いえ、それがその、王都のアカデミーの方なのですが、とにかく責任者を呼んで来いとだけ…」
「アカデミーが?一体どうしたんでしょう?」
図書館で待っているということなので向かうと、貴族のような見た目の老人が、図書館の本をしげしげと眺めながらそこで待っていた。
「ふむ、君がここの責任者かね?」
老人は立派に蓄えた髭を撫でながら、値踏みをするように私を見てきた。
「はい、ニコライと申します。アカデミーの方ですか?」
「挨拶が遅れたな。アカデミー学長のムーアと言う」
無愛想に答えるた老人が続ける。
「単刀直入に言う。こんな学校もどきで誤った知識を教えるのは止めてもらいたい」
「どういうことですか?」
「読み書き計算程度を教えるなら別に構わん。が、ここでは魔術についても教えていると聞く」
「ええ、上級クラスには魔術の基礎理論や歴史等を…」
「そういうことをされると困るのだよ」
「はあ?」
「ここの卒業生とやらが偶々王都に就職してな。それで会って話を聞いてみたらどうだ。アカデミーで教えていることと全く違ったことをここでは教えているというではないか」
「え、ええ、しかしそれは、べつに間違っているわけでは…」
「間違っていると言っているのだ!!」
老人の叫ぶ声が図書館中に響き渡る。
「待っている間にここの本も見たが、たいした本も置いてないしのぉ。どれ、アカデミーの本をいくらか融通してやろうか?」
「はあ、いえ、それには及びませんが」
いきなり来て何だというのだこの老人は。まあしかし、従う必要もないし、とにかく穏便に済ませて帰ってもらいたいものだが。
「ふん、まあ良い。全く、教師が頑固なら生徒も頑固というわけか」
「どういう意味ですか?」
「うん、いやなに、先ほど話したここの卒業生だがな、誤った知識を正すように話したのだが全く聞かなくてな。それで軽くお灸をな。なに、せっかく得た職を失った程度じゃがな。かっかっかっ」
老人が楽しそうに笑う。
「どういうことですか…」
さすがに黙ってはいられない。
「何じゃと?」
「どういうことかと聞いているのですよ!」
今度は私の声が図書館に響き渡った。
「何じゃその口の利き方は!」
「そちらこそ何ですか。大体、教えている内容が誤っているのはそちらの方でしょう!それを棚に上げて生徒の人生を弄んで、あんたらにそんな権利があるのか!」
「はあ?わしらが間違っているじゃと?全く、田舎の魔導書士風情がよく言えたもんじゃい。なんだったらどちらが正しいか試してみるかの?」
「試す?」
「なに簡単じゃ。魔術の究極の目標は、より強力な魔術を行使すること。正しければ強い。じゃから魔術師が試すということは、魔術勝負をするということじゃよ。それとも、魔導書士殿には荷が重いかの」
にやにやと笑いながら老人が挑発してくるので、
「…良いでしょう。表に出てください」
今度は私がこいつにお灸をすえてやることにした。
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