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ラカトリア学園 高等部
83 新ダンジョン 2
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見えないレベルを上げていくしか無いのだから、魔物をひたすら討伐するしかないか……だとしたら、アイツに任せるか。
「パメラ。バーストを使え」
「でも音が……あ、本気、なんですね。気にするだけ無駄ですね」
「アレス様がついておられますから。それにしても、学園の時とは違い、昔から頼もしいお方です」
実践とゲームではまるで違い、武器の攻撃力が上がった所で致命的なダメージにはなっていない。
加えて攻撃を食らったり、スタミナ切れを起こせば当然不利にもなる。
HPが一桁であろうとも平然に動けるのがゲームだ。骨折でもすれば動けないのが現実。
この段階で、リザードマンを相手にできているのだから、武器を新調しておいてよかったと思う。
「バースト!」
「お見事です」
内部からの爆発にさすがのリザードマンも耐えられなかったか……まあ、そりゃあの音ならよってくるよな。前と後ろからか。
さと、これをどうしたものか?
「すぐに前方から、三体。後方から二体がもう少しで来るぞ」
「来るぞ、じゃないわよ。どっちも倒しなさいよ」
「何言っているんだ、これぐらいでへこたれるんじゃねぇよ」
「分かりました。見ていてください」
苦戦にはなるだろうけど、ミーアの意気込みに免じて後方だけは倒しておいた。
ミーアが前に出られると、俺も無茶はさせられなくなってしまうな。
つくづく甘いな、俺は。
「後方は排除した。防御魔法をかけてやるから、数回なら凌いでくれるはずだ」
「あとで覚えてなさいよ!」
「ごめん、私が魔法を使ったから」
「お気にすることはありません。アレス様の指示でしたから……ですが、お側に立てるのならこれぐらい。こなしてみせます!」
ハルトを前にし、後ろにレフリア、後方にミーアとパメラ。
大剣が薙ぎ払われ、その大きな反動を止めることなく、もう一歩踏み込んだ一撃を浴びせる。
盾で防がれたがその衝撃により大きく吹き飛ばしていた。
強化しているとは言え、馬鹿力にもほどがあるだろう。
レフリアがライトニングを放ち、一体をおびき寄せるが二体向かってきている。
「行きます!」
パメラとレフリアで二体に対して応戦する。
こうなれば、ハルトのでかい剣を振るうのが難しくなってしまう。
リザードマンが持っている武器を振り上げると、レフリアは後ろへと後退してハルトの隣に立つ。
「まだ行けるわよね?」
「もう一体残っているから、先に一体を仕留める必要があるよ」
「そうね」
吹き飛ばされたことである程度ダメージを受けているのか、こちらへと向かってくる速度は遅い。
それでも、ほんの数分程度だろう。
「ダメです。今使えばきっと多くの魔物が来ます」
「そ、そんな事はわかっているけど……」
パメラにはまだあの武器は重すぎるな。
突くなり薙ぎ払うなり、その動作一つ一つが遅い。そのため、ミーアが側面や背後からの攻撃ができなくなっている。
「危ない!」
パメラがバランスを崩してしまい、代わりにミーアが攻撃を繰り出していくが、与えるダメージはどれも小さい。
これだけ戦いが続くと、こうも簡単に崩れてしまうか。
「ハルト!?」
「くっ……リア、今だっ」
強化が解けるが、武器と盾を使ってハルトの攻撃を防いでいる。
しかし、レフリアが側面へと近づくと、その長い尻尾を器用に使い、ハルトを牽制すると後ろへと逃してしまう。
「さすがにここまでだな」
氷の大剣を作り出し、リザードマンにとどめを刺していく。
連戦の戦闘が終わり、皆はその場に座り込んでいた。
「あの馬鹿のせいで……」
「途中から強化が切れて……アレス、酷いよ。何でもう一度掛けてくれないのさ」
「ミーア大丈夫なの?」
「は、はい。私は大丈夫ですが、少し疲れました。パメラさんはお怪我、大丈夫ですか?」
拍手をしながら近づく俺に、レフリアは睨みつけていた。
そんな事はお構いなしにパメラにはポーションを渡して、ミーアにはハンカチを渡していた。
「上出来と言ってもいいのか分からないけどな」
「アンタどういうつもり……なの?」
「余裕そうだな。近くにまだいるけどどうする?」
俺がそう言うと、二人からは助けてと目で訴えられ、少し奥にいる女性は鬼の形相をしている。
「あ、アレス様、流石に今の私達では……」
「少しだけ休ませてくださいよ」
「わかったよ。休憩するか」
風魔法を飛ばすと二人はホッとした顔をしている。
俺はそこまで鬼じゃない。あの戦いである程度の実力は図れた。
課題も多いが、他の生徒達よりも多くの実戦ができるので問題を少しずつ減らしていくしか無いだろう。
「パメラ。バーストを使え」
「でも音が……あ、本気、なんですね。気にするだけ無駄ですね」
「アレス様がついておられますから。それにしても、学園の時とは違い、昔から頼もしいお方です」
実践とゲームではまるで違い、武器の攻撃力が上がった所で致命的なダメージにはなっていない。
加えて攻撃を食らったり、スタミナ切れを起こせば当然不利にもなる。
HPが一桁であろうとも平然に動けるのがゲームだ。骨折でもすれば動けないのが現実。
この段階で、リザードマンを相手にできているのだから、武器を新調しておいてよかったと思う。
「バースト!」
「お見事です」
内部からの爆発にさすがのリザードマンも耐えられなかったか……まあ、そりゃあの音ならよってくるよな。前と後ろからか。
さと、これをどうしたものか?
「すぐに前方から、三体。後方から二体がもう少しで来るぞ」
「来るぞ、じゃないわよ。どっちも倒しなさいよ」
「何言っているんだ、これぐらいでへこたれるんじゃねぇよ」
「分かりました。見ていてください」
苦戦にはなるだろうけど、ミーアの意気込みに免じて後方だけは倒しておいた。
ミーアが前に出られると、俺も無茶はさせられなくなってしまうな。
つくづく甘いな、俺は。
「後方は排除した。防御魔法をかけてやるから、数回なら凌いでくれるはずだ」
「あとで覚えてなさいよ!」
「ごめん、私が魔法を使ったから」
「お気にすることはありません。アレス様の指示でしたから……ですが、お側に立てるのならこれぐらい。こなしてみせます!」
ハルトを前にし、後ろにレフリア、後方にミーアとパメラ。
大剣が薙ぎ払われ、その大きな反動を止めることなく、もう一歩踏み込んだ一撃を浴びせる。
盾で防がれたがその衝撃により大きく吹き飛ばしていた。
強化しているとは言え、馬鹿力にもほどがあるだろう。
レフリアがライトニングを放ち、一体をおびき寄せるが二体向かってきている。
「行きます!」
パメラとレフリアで二体に対して応戦する。
こうなれば、ハルトのでかい剣を振るうのが難しくなってしまう。
リザードマンが持っている武器を振り上げると、レフリアは後ろへと後退してハルトの隣に立つ。
「まだ行けるわよね?」
「もう一体残っているから、先に一体を仕留める必要があるよ」
「そうね」
吹き飛ばされたことである程度ダメージを受けているのか、こちらへと向かってくる速度は遅い。
それでも、ほんの数分程度だろう。
「ダメです。今使えばきっと多くの魔物が来ます」
「そ、そんな事はわかっているけど……」
パメラにはまだあの武器は重すぎるな。
突くなり薙ぎ払うなり、その動作一つ一つが遅い。そのため、ミーアが側面や背後からの攻撃ができなくなっている。
「危ない!」
パメラがバランスを崩してしまい、代わりにミーアが攻撃を繰り出していくが、与えるダメージはどれも小さい。
これだけ戦いが続くと、こうも簡単に崩れてしまうか。
「ハルト!?」
「くっ……リア、今だっ」
強化が解けるが、武器と盾を使ってハルトの攻撃を防いでいる。
しかし、レフリアが側面へと近づくと、その長い尻尾を器用に使い、ハルトを牽制すると後ろへと逃してしまう。
「さすがにここまでだな」
氷の大剣を作り出し、リザードマンにとどめを刺していく。
連戦の戦闘が終わり、皆はその場に座り込んでいた。
「あの馬鹿のせいで……」
「途中から強化が切れて……アレス、酷いよ。何でもう一度掛けてくれないのさ」
「ミーア大丈夫なの?」
「は、はい。私は大丈夫ですが、少し疲れました。パメラさんはお怪我、大丈夫ですか?」
拍手をしながら近づく俺に、レフリアは睨みつけていた。
そんな事はお構いなしにパメラにはポーションを渡して、ミーアにはハンカチを渡していた。
「上出来と言ってもいいのか分からないけどな」
「アンタどういうつもり……なの?」
「余裕そうだな。近くにまだいるけどどうする?」
俺がそう言うと、二人からは助けてと目で訴えられ、少し奥にいる女性は鬼の形相をしている。
「あ、アレス様、流石に今の私達では……」
「少しだけ休ませてくださいよ」
「わかったよ。休憩するか」
風魔法を飛ばすと二人はホッとした顔をしている。
俺はそこまで鬼じゃない。あの戦いである程度の実力は図れた。
課題も多いが、他の生徒達よりも多くの実戦ができるので問題を少しずつ減らしていくしか無いだろう。
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