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ラカトリア学園 高等部
149 ミーアの涙 2
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「そうか? 他にやりようがあったのかもしれない。俺がやったことなんて些細なものだ。もっと上手く出来なかったのかと、そんな事を考えていた」
こんなのは、ただの言い逃れにしか過ぎない。
俺にとって、二人の父親がどうなろうと正直な話どうでもいい。この二人がどう思うとそれすら関係がない……それなのにお前たちは、こんな俺を信用している。
「アンタがそう思うのには何か理由があるのだろうけど、私は最善だったと思うけどね。あんな父親よりも、多くの民を救えた事に感謝しているわよ」
「わたくしも同じですわ」
「そうか……お前等にそう言われるだけでも良かったよ」
これで話はなんとなく終わるだろう。
彼女達が俺から離れることはもうありえない。なら、俺にできることはもう何もない。待ち受ける終焉がどうなるのかも。そして、誰が犠牲になるのかも……もう決まっているのかもしれないな。
別に諦めたわけじゃない……まだ何かやりようもあるはずだ。
「とりあえず、今後の予定を決めましょうか」
レフリアは気を取り直すように手を叩いた。
「ということなんだが……そろそろ離してくれないか?」
ミーアは俺から離れようとはしない。
顔を擦り付けたまま、左右に振らないでもらいたい。
あの、二人がちょっとあまりいい顔してない。
「困ったな……」
俺はそのままミーアを抱きかかえ椅子に座る。
太ももに座らせ、それでも離れようとはしなかった。
色々と問題にしかならないのだが……顔を赤くしている様子から、ミーアも意地になっているだけなのかもしれないな。
ご飯食べたい……目の前には食事があるというのに何という拷問だ。
「ミーアさん? そろそろ俺は朝食を頂きたいのですが?」
ミーアは不機嫌な顔をしたまま、俺の代わりにパンを取って口に運んでくる。
そして、二人はじっと俺を見つめている。俺でなくてミーアに何か言って欲しい所なんだけどな。
「さっきの罰だと思って諦めることね。食べながら、話を進めるわね」
学園は、九月から十一月終わりまでがダンジョン期間になる。十二月と一月は各地で雪が降るため、授業パートに変わる。
このパーティーは、俺の行動とレフリア達の事情もあって、この場から今まで動けないでいた。
「アレス。提案なんだけど、父上にここの探索をしてみたらと言われたのだけど、どうかな?」
地図はバセルトン公爵家から結構離れている。
もしかしたら知っているダンジョンなのかもしれないな。
ダンジョンで結果を残すのが、学生としての勤めであり高等部の本分だ。
俺の場合、成績で言えばこのまま何もしなくても咎めるものはいないだろうな。既に五つのダンジョンを攻略しているなんて、普通の学生では前代未聞だよな。
「バセルトンのダンジョンか……」
あのムキムキのおっさんが勧めてくるぐらいだから、難易度は高いかもしれない。
ハルトから言ってくるということはこのメンバーで向かうつもりなのか?
「魔物の種類は?」
「植物だって。私は六人いるのだから大丈夫だとは思うけど」
「六人? ああ、そうだったな。俺がいるから大丈夫なんだろ?」
メアリも俺たちのメンバーに参加をしているということになっているんだな。
「アレスには期待しているけど、そういう意味で言った訳じゃないよ」
メアリがここに居るのだから当然メンバーには入っている。
そうなると、メアリとパーティーを組んでいた連中から反感を買うんじゃないのだろうか?
「メアリの所は大丈夫なのか?」
「それでしたら大丈夫ですわ。こちらへの移動の手続きは済んでおりますので」
俺が居ない間にそんな事すらも終わっていたんだな。
メアリの強さはどの程度なんだろうな? 少しだけでも、あのダンジョンで戦っていたのだから、少しはまともに戦えるのかもしれない。
この四人も、他の生徒から比べると今では強い方になるとは思うが……。
「俺は別に反対する理由がない」
「そ、良かった」
「ただ、ダンジョンに行く前に買い出しは必要だぞ」
「それは必要だね。よかったら僕も一緒に行くよ」
甘い物でも買うつもりなのか?
人数は一人増えたからな……換金したいところだけど、俺の報酬はとんでもないことになっているだろうから、どうしたものか。
こんなのは、ただの言い逃れにしか過ぎない。
俺にとって、二人の父親がどうなろうと正直な話どうでもいい。この二人がどう思うとそれすら関係がない……それなのにお前たちは、こんな俺を信用している。
「アンタがそう思うのには何か理由があるのだろうけど、私は最善だったと思うけどね。あんな父親よりも、多くの民を救えた事に感謝しているわよ」
「わたくしも同じですわ」
「そうか……お前等にそう言われるだけでも良かったよ」
これで話はなんとなく終わるだろう。
彼女達が俺から離れることはもうありえない。なら、俺にできることはもう何もない。待ち受ける終焉がどうなるのかも。そして、誰が犠牲になるのかも……もう決まっているのかもしれないな。
別に諦めたわけじゃない……まだ何かやりようもあるはずだ。
「とりあえず、今後の予定を決めましょうか」
レフリアは気を取り直すように手を叩いた。
「ということなんだが……そろそろ離してくれないか?」
ミーアは俺から離れようとはしない。
顔を擦り付けたまま、左右に振らないでもらいたい。
あの、二人がちょっとあまりいい顔してない。
「困ったな……」
俺はそのままミーアを抱きかかえ椅子に座る。
太ももに座らせ、それでも離れようとはしなかった。
色々と問題にしかならないのだが……顔を赤くしている様子から、ミーアも意地になっているだけなのかもしれないな。
ご飯食べたい……目の前には食事があるというのに何という拷問だ。
「ミーアさん? そろそろ俺は朝食を頂きたいのですが?」
ミーアは不機嫌な顔をしたまま、俺の代わりにパンを取って口に運んでくる。
そして、二人はじっと俺を見つめている。俺でなくてミーアに何か言って欲しい所なんだけどな。
「さっきの罰だと思って諦めることね。食べながら、話を進めるわね」
学園は、九月から十一月終わりまでがダンジョン期間になる。十二月と一月は各地で雪が降るため、授業パートに変わる。
このパーティーは、俺の行動とレフリア達の事情もあって、この場から今まで動けないでいた。
「アレス。提案なんだけど、父上にここの探索をしてみたらと言われたのだけど、どうかな?」
地図はバセルトン公爵家から結構離れている。
もしかしたら知っているダンジョンなのかもしれないな。
ダンジョンで結果を残すのが、学生としての勤めであり高等部の本分だ。
俺の場合、成績で言えばこのまま何もしなくても咎めるものはいないだろうな。既に五つのダンジョンを攻略しているなんて、普通の学生では前代未聞だよな。
「バセルトンのダンジョンか……」
あのムキムキのおっさんが勧めてくるぐらいだから、難易度は高いかもしれない。
ハルトから言ってくるということはこのメンバーで向かうつもりなのか?
「魔物の種類は?」
「植物だって。私は六人いるのだから大丈夫だとは思うけど」
「六人? ああ、そうだったな。俺がいるから大丈夫なんだろ?」
メアリも俺たちのメンバーに参加をしているということになっているんだな。
「アレスには期待しているけど、そういう意味で言った訳じゃないよ」
メアリがここに居るのだから当然メンバーには入っている。
そうなると、メアリとパーティーを組んでいた連中から反感を買うんじゃないのだろうか?
「メアリの所は大丈夫なのか?」
「それでしたら大丈夫ですわ。こちらへの移動の手続きは済んでおりますので」
俺が居ない間にそんな事すらも終わっていたんだな。
メアリの強さはどの程度なんだろうな? 少しだけでも、あのダンジョンで戦っていたのだから、少しはまともに戦えるのかもしれない。
この四人も、他の生徒から比べると今では強い方になるとは思うが……。
「俺は別に反対する理由がない」
「そ、良かった」
「ただ、ダンジョンに行く前に買い出しは必要だぞ」
「それは必要だね。よかったら僕も一緒に行くよ」
甘い物でも買うつもりなのか?
人数は一人増えたからな……換金したいところだけど、俺の報酬はとんでもないことになっているだろうから、どうしたものか。
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