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ラカトリア学園 高等部
150 思い出の遺品 1
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俺たちにかかる費用は全て、バセルトン公爵が出してくれると言う。
そのため、俺たちは一度公爵家へと向かうことになっている。
移動するというのだから、てっきり俺が運ぶのかと思っていた。
「もしそれでアンタが倒れたらどうするのよ?」
「多分そんなことにはならないぞ? だいたい重量が違いすぎるしな」
「とりあえずその話は無しだからね。くれぐれも私達以外の前で飛んだりしたらダメだから。分かったわね?」
「うぇーい」
俺の返事が気に入らないからと言って、すぐ暴力で訴えようとするのはどうなんだ?
ハルト。その毎度のことだが、やってから宥めるんじゃなくて、殴らせるのを止める努力をしろ。
さっきのこともあって、あの三人は……揃いも揃って『当然です』みたいな顔をしていた。
「それにしても馬車か……」
「アレス様。馬車は嫌いなのですか?」
「恐らくそうではないのかと、アレス様は空を飛べますので、時間を掛けてのんびりというのが性に合わないのではないでしょうか?」
「言われてみれば……ミーカトから歩いて帰るときもすごく嫌そうな顔をしていたね」
あの時は助かりもしたが、歩くことを考えれば誰だってそうなる。
俺が気にしているのは、朝のミーアのこともあって……馬車での移動だったため、俺は乗るのに少し躊躇していた。
あの夢が正夢になるのではと……今はメアリも隣りにいる。
あんな事になればどうなることやら。
「アンタって面倒な体をしているわね」
馬車と言っても、貴族たちが使うようなものではなく、ただの荷馬車だった。
俺としては良かったと胸をなでおろすが、そんな考えは一時間も続かなかった。
「思っていた以上にここの道が揺れるんだよ」
浮遊魔法を使って横になっていた。
「そもそも気分が悪いのに、よくそんな馬鹿げたことを維持できるわね」
「アレス様。横になられるのでしたらどうぞ私の太ももをお使いください」
ミーアの思いがけない言葉に、その叩かれた太ももを見てしまう。
しかし、喉を鳴らしてしまう俺を見て他の二人も当然黙ってはいない。
膝枕での小さな闘いがあったが、リーダーの一喝によって鎮圧される。
普段からこうだといいんだが……期待してしまった俺も悪いのだろう。
「ここが僕の実家だよ」
バセルトン公爵家。ローバンと同じように壁で囲まれているものの、庭というものは無く何処も彼処も訓練場のように見えるのは気のせいだよな?
俺の実家もなかったわけじゃないが……どう見ても多すぎる。
「まあ、公爵が留守とか、なら大歓迎なんだがな……」
「いるんだな、これが!」
あまり会いたくなかった公爵が、バトルアクスを振り上げ俺を見下ろしていた。
別にそれは良いんだけど、わざわざそこに居る必要があったのか?
そのままテラスから飛び降り、俺達を出迎えてくれた。だから、それも必要なのか?
「アレス・ローバン殿。この度は他領にも関わらず、ご尽力頂き誠に有り難く思う」
「お礼なら別に、気にする程の事では……」
「何を仰る。ささ、どうぞこちらに」
まるで俺達が、ここに来ることを想定していたのかと思う程、長いテーブルを埋め尽くすほどの料理が既に並べられていた。
ハルトに視線を送ると、頬を掻き俺への反応に困っている。
大方、あのおっさんに無理矢理にでも連れて来いとでも言われていたんだろう。
この料理の山どうするんだよ……どう考えても食べ切れないだろうが……この世界にタッパーがないのが悔やまれる。
「アレスさん。頂きましょうよ」
「分かったよ」
少し頂くつもりが、デブの悲しい性なのか一口食べると食べきれなくなるまで食べてしまい。
皆よりも先に腹が一杯になった、俺は別室にあるソファーの上で横になっていた。
「口に合ったようで何よりだ」
「公爵」
「構わん、そのままでいろ」
こういう豪快な所は嫌いではない。
いくらそう言われたとはいえ、公爵を前に横になっているわけにもいかない。
体を起こし、水を飲み干した。
そのため、俺たちは一度公爵家へと向かうことになっている。
移動するというのだから、てっきり俺が運ぶのかと思っていた。
「もしそれでアンタが倒れたらどうするのよ?」
「多分そんなことにはならないぞ? だいたい重量が違いすぎるしな」
「とりあえずその話は無しだからね。くれぐれも私達以外の前で飛んだりしたらダメだから。分かったわね?」
「うぇーい」
俺の返事が気に入らないからと言って、すぐ暴力で訴えようとするのはどうなんだ?
ハルト。その毎度のことだが、やってから宥めるんじゃなくて、殴らせるのを止める努力をしろ。
さっきのこともあって、あの三人は……揃いも揃って『当然です』みたいな顔をしていた。
「それにしても馬車か……」
「アレス様。馬車は嫌いなのですか?」
「恐らくそうではないのかと、アレス様は空を飛べますので、時間を掛けてのんびりというのが性に合わないのではないでしょうか?」
「言われてみれば……ミーカトから歩いて帰るときもすごく嫌そうな顔をしていたね」
あの時は助かりもしたが、歩くことを考えれば誰だってそうなる。
俺が気にしているのは、朝のミーアのこともあって……馬車での移動だったため、俺は乗るのに少し躊躇していた。
あの夢が正夢になるのではと……今はメアリも隣りにいる。
あんな事になればどうなることやら。
「アンタって面倒な体をしているわね」
馬車と言っても、貴族たちが使うようなものではなく、ただの荷馬車だった。
俺としては良かったと胸をなでおろすが、そんな考えは一時間も続かなかった。
「思っていた以上にここの道が揺れるんだよ」
浮遊魔法を使って横になっていた。
「そもそも気分が悪いのに、よくそんな馬鹿げたことを維持できるわね」
「アレス様。横になられるのでしたらどうぞ私の太ももをお使いください」
ミーアの思いがけない言葉に、その叩かれた太ももを見てしまう。
しかし、喉を鳴らしてしまう俺を見て他の二人も当然黙ってはいない。
膝枕での小さな闘いがあったが、リーダーの一喝によって鎮圧される。
普段からこうだといいんだが……期待してしまった俺も悪いのだろう。
「ここが僕の実家だよ」
バセルトン公爵家。ローバンと同じように壁で囲まれているものの、庭というものは無く何処も彼処も訓練場のように見えるのは気のせいだよな?
俺の実家もなかったわけじゃないが……どう見ても多すぎる。
「まあ、公爵が留守とか、なら大歓迎なんだがな……」
「いるんだな、これが!」
あまり会いたくなかった公爵が、バトルアクスを振り上げ俺を見下ろしていた。
別にそれは良いんだけど、わざわざそこに居る必要があったのか?
そのままテラスから飛び降り、俺達を出迎えてくれた。だから、それも必要なのか?
「アレス・ローバン殿。この度は他領にも関わらず、ご尽力頂き誠に有り難く思う」
「お礼なら別に、気にする程の事では……」
「何を仰る。ささ、どうぞこちらに」
まるで俺達が、ここに来ることを想定していたのかと思う程、長いテーブルを埋め尽くすほどの料理が既に並べられていた。
ハルトに視線を送ると、頬を掻き俺への反応に困っている。
大方、あのおっさんに無理矢理にでも連れて来いとでも言われていたんだろう。
この料理の山どうするんだよ……どう考えても食べ切れないだろうが……この世界にタッパーがないのが悔やまれる。
「アレスさん。頂きましょうよ」
「分かったよ」
少し頂くつもりが、デブの悲しい性なのか一口食べると食べきれなくなるまで食べてしまい。
皆よりも先に腹が一杯になった、俺は別室にあるソファーの上で横になっていた。
「口に合ったようで何よりだ」
「公爵」
「構わん、そのままでいろ」
こういう豪快な所は嫌いではない。
いくらそう言われたとはいえ、公爵を前に横になっているわけにもいかない。
体を起こし、水を飲み干した。
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