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強者出現
180 気持ち悪いアレス様 1
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ガドール公爵閣下は一歩後ずさり、いつものようなニヤッとした笑いではなく、その口角は少し引きつっておられた。
もしや、長旅でお疲れなのかもしれない。いやいや、バセルトン公爵家からここまで来れているのだから、当然お疲れになられているはず。
「長旅は、さぞやお疲れの事でしょう。父上との会談の前に、よろしければ食事の用意をさせますがいかがでしょうか?」
「あ、ああ。そうして頂けるとこちらとしてもありがたい」
「セドラ。公爵閣下と皆様方を食堂にご案内して差し上げなさい。くれぐれも粗相の無い様にお願いします」
「かしこまりました。アレス様」
公爵閣下をセドラに任せ、私はもう一つの馬車の下へと駆け寄った。
そのドアを開き、中には美しいご令嬢がやはりお疲れな顔をなさっておられる。
さすがに、少しお窶れになられているご様子。体だけではなく、心労が溜まっているのかもしれない。
「お久しぶりにございます。ご令嬢の方々」
「「え?」」
なるほど。公爵閣下だけではなく、何やらこの長旅では色々あったご様子。
ご令嬢の方々は互いに顔を見合わせお困りな表情なされておられる。
「さ、ミーア嬢。お手をどうぞ」
「あ、アレス様?」
「どうかなされましたか?」
「い、いえ。では……」
最後の階段でミーア嬢はよろめき、抱き抱えることで大事に至らずに済んだ。
上手く支えられないとは……。
「大変失礼致しました。お怪我などはされておりませんか?」
「だ、大丈夫ですが。えっと、アレス様なのですよね?」
「はい。ローバン公爵家の次男。アレス・ローバンにございます」
しかし、ミーア嬢は困ったお顔をされており、私の配慮が至らなかったのでしょう。
先程も渋々といったご様子で、私の手を取って頂けましたし。
私もまだ努力が至らないということなのでしょう。
「パメラ嬢とメアルーン嬢も、長旅お疲れ様でございました。ガドール公爵閣下も先に入られております。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
「メアリさん、あの方はアレスさん? ですよね?」
「はい、アレス様で間違いはないと思いますわ。ですがこれは?」
おや? 私に何かご不満があるようですね。
ですか、ご令嬢をご案内せよと、仰せつかっている身。
不出来な私ですが、ここはご納得して頂かないと。
「大変申し訳ございません。私のような者が相手ではさぞお嫌ではございましょうが、皆様をご案内せよと受けている身。拙い作法で申し訳ございませんが、何卒ご容赦を」
「は、はい」
「アレス様の作法はとても素晴らしいですわ」
「貴方様のような淑女の鏡にそう言って頂けると、感謝の言葉もございません」
そう言うと、ご理解いただけたのか。お三方は笑顔を返してくれた。
揃ってため息を付いているようなので、食事よりも体のリラックスが必要かもしれません。
私は予定されていた部屋へ案内する。
「ささ、どうぞ中へ」
姉上様から頂いたご指示の下、お三方を湯浴みの間へとお通しする。
長旅の疲れを癒やし、荒れた肌を手入れするため、我がローバン家の使用人がご令嬢方のために湯浴みの準備は整えていた。
「すごい……というか、一体どうなっているの?」
「分かりません。アレス様のご様子からして、今は私達も大人しく指示に従っていたほうが良いのかもしれません」
「何かございましたでしょうか?」
「私共の為にこのよう物を用意して頂き、誠にありがとうございます」
さすがメアリ嬢、所作は完璧ですね。
私も彼女達に恥じないよう、より一層努力に務めることにしましょう。
奥で控えていた、使用人に合図を送ると一同が軽く礼をしている。
「私は、このまま部屋の外で待機しておりますので、どうぞお寛ぎくださいませ。何かございましたら使用人に何なりとお申し付けください」
扉が閉まり、私はそのままご令嬢達が浴室へ入られたことを報告に行く。
使用人たちに指示をして、マッサージにドレスの準備も進めていく。
もしや、長旅でお疲れなのかもしれない。いやいや、バセルトン公爵家からここまで来れているのだから、当然お疲れになられているはず。
「長旅は、さぞやお疲れの事でしょう。父上との会談の前に、よろしければ食事の用意をさせますがいかがでしょうか?」
「あ、ああ。そうして頂けるとこちらとしてもありがたい」
「セドラ。公爵閣下と皆様方を食堂にご案内して差し上げなさい。くれぐれも粗相の無い様にお願いします」
「かしこまりました。アレス様」
公爵閣下をセドラに任せ、私はもう一つの馬車の下へと駆け寄った。
そのドアを開き、中には美しいご令嬢がやはりお疲れな顔をなさっておられる。
さすがに、少しお窶れになられているご様子。体だけではなく、心労が溜まっているのかもしれない。
「お久しぶりにございます。ご令嬢の方々」
「「え?」」
なるほど。公爵閣下だけではなく、何やらこの長旅では色々あったご様子。
ご令嬢の方々は互いに顔を見合わせお困りな表情なされておられる。
「さ、ミーア嬢。お手をどうぞ」
「あ、アレス様?」
「どうかなされましたか?」
「い、いえ。では……」
最後の階段でミーア嬢はよろめき、抱き抱えることで大事に至らずに済んだ。
上手く支えられないとは……。
「大変失礼致しました。お怪我などはされておりませんか?」
「だ、大丈夫ですが。えっと、アレス様なのですよね?」
「はい。ローバン公爵家の次男。アレス・ローバンにございます」
しかし、ミーア嬢は困ったお顔をされており、私の配慮が至らなかったのでしょう。
先程も渋々といったご様子で、私の手を取って頂けましたし。
私もまだ努力が至らないということなのでしょう。
「パメラ嬢とメアルーン嬢も、長旅お疲れ様でございました。ガドール公爵閣下も先に入られております。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
「メアリさん、あの方はアレスさん? ですよね?」
「はい、アレス様で間違いはないと思いますわ。ですがこれは?」
おや? 私に何かご不満があるようですね。
ですか、ご令嬢をご案内せよと、仰せつかっている身。
不出来な私ですが、ここはご納得して頂かないと。
「大変申し訳ございません。私のような者が相手ではさぞお嫌ではございましょうが、皆様をご案内せよと受けている身。拙い作法で申し訳ございませんが、何卒ご容赦を」
「は、はい」
「アレス様の作法はとても素晴らしいですわ」
「貴方様のような淑女の鏡にそう言って頂けると、感謝の言葉もございません」
そう言うと、ご理解いただけたのか。お三方は笑顔を返してくれた。
揃ってため息を付いているようなので、食事よりも体のリラックスが必要かもしれません。
私は予定されていた部屋へ案内する。
「ささ、どうぞ中へ」
姉上様から頂いたご指示の下、お三方を湯浴みの間へとお通しする。
長旅の疲れを癒やし、荒れた肌を手入れするため、我がローバン家の使用人がご令嬢方のために湯浴みの準備は整えていた。
「すごい……というか、一体どうなっているの?」
「分かりません。アレス様のご様子からして、今は私達も大人しく指示に従っていたほうが良いのかもしれません」
「何かございましたでしょうか?」
「私共の為にこのよう物を用意して頂き、誠にありがとうございます」
さすがメアリ嬢、所作は完璧ですね。
私も彼女達に恥じないよう、より一層努力に務めることにしましょう。
奥で控えていた、使用人に合図を送ると一同が軽く礼をしている。
「私は、このまま部屋の外で待機しておりますので、どうぞお寛ぎくださいませ。何かございましたら使用人に何なりとお申し付けください」
扉が閉まり、私はそのままご令嬢達が浴室へ入られたことを報告に行く。
使用人たちに指示をして、マッサージにドレスの準備も進めていく。
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