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強者出現
179 訓練の成果 2
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俺は父上に頼るのを諦めて、ゆっくりと降下して行った。
あの三人に知られると、本当に何を言われるかわからない。
そして、それは今の俺にとってはかなりのダメージになり得る。
「わかったよ、兄上こそ。俺を馬鹿にし過ぎだってことを思い知らせてやる」
シールドを展開し、俺は剣を振るうが当然かすりもしない。しかし、二人の攻撃は何度もシールドが弾いてくれる。
いくら姉上に鍛えられたとはいえ、剣だけであれば姉上に勝てるはずもない。
そして、ローバン家は元々剣術に秀でた家系であり、兄上は現当主すら超えている。
そんな兄上の奥さんである、イリーシャさんの攻撃も結構えげつない。
実力としては、姉上と良い勝負になるのかもしれないな。だから、俺程度の実力では、二人の剣に対抗できるはずはない。
シールドがなければ文字通りのボコボコにされていたことだろう。
俺たちの攻撃はどちらも当たらない。
兄上たちが俺のシールドを打ち破るか、俺が二人を叩きのめす。
このどちらかで決着は付く。
「これだと、訓練にならないね」
「そのようですわね。我が弟ながら、このような無粋な真似は見過ごせませんね」
何をしてくるのかと身構えていると、気が済んだ二人は、ようやく剣を収めてくれた。
ふう、やっと諦めてくれた……。
シールドを前にして、手が出せないと判断したのだろう。最初から分かっていたはずなのに、兄上も懲りない人だ。
「明日から、午前中は剣の訓練ですよ。アレス君」
「え? い、いや。休養って、さっき」
「大丈夫だよ。夜になれば休むこともできる」
そもそも大丈夫の定義がおかしい。
兄上の訓練なんて地獄でしか無い。そんな事になれば、休養ではなくて療養になってしまう。
「な、何だこれは……」
「あら? おはよう、アレス君」
朝になり、俺はなにかの違和感を感じて飛び起きていた。
朝日がまだ見えない薄暗い中。俺に声をかけているのは、イリーシャさん。
「お、おはようございます」
「はい。では、早速訓練を開始しましょう」
ベッドには、服が投げつけられ今すぐに着替えろということらしい。
俺は無視をしてはだけた布団を戻して潜り込む。
こんな朝早くから何が訓練だよ。だいたい、俺には剣術を覚える必要がもうないだろう?
「あらあら、何をしているのですか?」
そんなのんびりとして声が聞こえると、腹部に強烈な痛みが走る。
体にのしかかる重量からどうやら、ベッドにダイブをしたようだ……この鋭い痛みは、肘か?
剣でもそうだけど、やることがえげつない。寝ている相手に肘鉄を浴びせるとか正気じゃない。
「何を……俺はそもそも怪我人で、肩だってそれなりに痛いんですよ」
「大丈夫ですわ。動いていればそんなの気になりませんから」
しかし、俺の意見なんて通るはずもなく、代わりにとんでもない事をサラッと言ってのける。
兄上と同じ思考回路をしているわけじゃないよね?
それから毎日、ガドール公爵が来るまで俺はみっちり二人に剣の訓練を言い渡された。
朝の五時に叩き起こされ、何十周と走らされ、その後は延々と剣の素振りを強要され、少しでも型がズレていると木の棒で叩かれた。
試合ではシールドの使用も禁止され、何度も何度も心が砕けるまで剣術に突き合わされた。
二人に一つだけ言いたい、笑顔で殴るのは止めて、色んな意味で怖いから……。
そんな数日が過ぎ、屋敷の前にはバセルトン公爵家の馬車が到着した。
「ガドール・バセルトン公爵閣下。お待ちしておりました。我がローバン家にようこそおいで下さいました。私は、公爵閣下の案内役として任されました。アレス・ローバンです」
「は?」
皆様が、キョトンをした顔をなされておられる。
私の行動に何かおかしな点でもあったのでしょうか?
あの三人に知られると、本当に何を言われるかわからない。
そして、それは今の俺にとってはかなりのダメージになり得る。
「わかったよ、兄上こそ。俺を馬鹿にし過ぎだってことを思い知らせてやる」
シールドを展開し、俺は剣を振るうが当然かすりもしない。しかし、二人の攻撃は何度もシールドが弾いてくれる。
いくら姉上に鍛えられたとはいえ、剣だけであれば姉上に勝てるはずもない。
そして、ローバン家は元々剣術に秀でた家系であり、兄上は現当主すら超えている。
そんな兄上の奥さんである、イリーシャさんの攻撃も結構えげつない。
実力としては、姉上と良い勝負になるのかもしれないな。だから、俺程度の実力では、二人の剣に対抗できるはずはない。
シールドがなければ文字通りのボコボコにされていたことだろう。
俺たちの攻撃はどちらも当たらない。
兄上たちが俺のシールドを打ち破るか、俺が二人を叩きのめす。
このどちらかで決着は付く。
「これだと、訓練にならないね」
「そのようですわね。我が弟ながら、このような無粋な真似は見過ごせませんね」
何をしてくるのかと身構えていると、気が済んだ二人は、ようやく剣を収めてくれた。
ふう、やっと諦めてくれた……。
シールドを前にして、手が出せないと判断したのだろう。最初から分かっていたはずなのに、兄上も懲りない人だ。
「明日から、午前中は剣の訓練ですよ。アレス君」
「え? い、いや。休養って、さっき」
「大丈夫だよ。夜になれば休むこともできる」
そもそも大丈夫の定義がおかしい。
兄上の訓練なんて地獄でしか無い。そんな事になれば、休養ではなくて療養になってしまう。
「な、何だこれは……」
「あら? おはよう、アレス君」
朝になり、俺はなにかの違和感を感じて飛び起きていた。
朝日がまだ見えない薄暗い中。俺に声をかけているのは、イリーシャさん。
「お、おはようございます」
「はい。では、早速訓練を開始しましょう」
ベッドには、服が投げつけられ今すぐに着替えろということらしい。
俺は無視をしてはだけた布団を戻して潜り込む。
こんな朝早くから何が訓練だよ。だいたい、俺には剣術を覚える必要がもうないだろう?
「あらあら、何をしているのですか?」
そんなのんびりとして声が聞こえると、腹部に強烈な痛みが走る。
体にのしかかる重量からどうやら、ベッドにダイブをしたようだ……この鋭い痛みは、肘か?
剣でもそうだけど、やることがえげつない。寝ている相手に肘鉄を浴びせるとか正気じゃない。
「何を……俺はそもそも怪我人で、肩だってそれなりに痛いんですよ」
「大丈夫ですわ。動いていればそんなの気になりませんから」
しかし、俺の意見なんて通るはずもなく、代わりにとんでもない事をサラッと言ってのける。
兄上と同じ思考回路をしているわけじゃないよね?
それから毎日、ガドール公爵が来るまで俺はみっちり二人に剣の訓練を言い渡された。
朝の五時に叩き起こされ、何十周と走らされ、その後は延々と剣の素振りを強要され、少しでも型がズレていると木の棒で叩かれた。
試合ではシールドの使用も禁止され、何度も何度も心が砕けるまで剣術に突き合わされた。
二人に一つだけ言いたい、笑顔で殴るのは止めて、色んな意味で怖いから……。
そんな数日が過ぎ、屋敷の前にはバセルトン公爵家の馬車が到着した。
「ガドール・バセルトン公爵閣下。お待ちしておりました。我がローバン家にようこそおいで下さいました。私は、公爵閣下の案内役として任されました。アレス・ローバンです」
「は?」
皆様が、キョトンをした顔をなされておられる。
私の行動に何かおかしな点でもあったのでしょうか?
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