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強者討伐 失われた武器
284 ダンジョン攻略者 1
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レフリア達の攻防はスミアの魔法によって一気に優勢となる。
襲いかかる魔物たちは氷の柱が邪魔になり、その数を減らしたことで二組の攻撃によって、少しずつ魔物の数を減らしていく。
ミーアが魔法を打つこともなくパメラに加わり後方にいるメアリとスミアの援護により、誰一人大きな傷もなく戦っていた。
「今はなんとかなっているけど、問題はあれよね」
「ああ、手下の数もそう多くはない。どうするの?」
残っている魔物は数分もすれば蹴散らせる所まで来ていた。
ボスであるリザードマンロードは、レフリアたちの行動を見ているものの、まだ動きは無く静観していた。
ハルトが持つ大剣の何倍もある巨大な剣を持ったまま、レフリア達をじっと見ている。
「一緒になって来ないだけ、助かっているけど……あれが動き始めたら、出たとこ勝負になりそうね」
レフリアの言葉に、ハルトは少しだけ困った顔をしていた。
今戦っている魔物は、この場所へ来るまでの間、何度も倒してきた。今の状態であれば、苦戦を強いられることはない。
だけど、後ろに控えているリザードマンロードはこれまでの相手と明らかに違う。
最後の一体を倒すと、巨大な剣を振り上げる
「皆、離れて!」
薙ぎ払われた剣によって、スミアが作り出していた氷の柱が砕かれる。
なんとかその攻撃から免れたものの、ロイとベールは二人をかばって、砕けた氷によって怪我をしていた。
「なんて威力なの」
「アレス様はあのような物を相手に……」
「皆、まずはあの剣を何とかするわよ」
残った氷の柱を砕かれ、飛び散る氷の破片を庇うように、アルルは子供たちの前に立ち斧を盾にしていた。
メアリは風を起こして皆を守る。すかさず、風球を放つもかすり傷を負わせるにとどまった。
斬撃による攻撃は、その硬い鱗で守られた体は簡単に傷つかないことを意味していた。
ハルト達は立ち向かうも、その巨体から繰り出される攻撃で足を止められ、尻尾による攻撃は懐に近付くことが出来ない。
「ハルト!」
あの巨大な剣の攻撃を、レフリアはシールドを展開することで防いだものの、持ちこたえられたのはたったに数秒でしか無かった。
ハルトが留まらず、その場から逃げ出したことでうまく逃げられたが、次も上手くいくとは限らない。
「助かったよ。しかし、離れていると何も出来ないよ」
そんな事を言われなくても、状況を見ていた全員がそれを理解していた。
巨大な剣を防ぐにも、ハルトの持つ大剣でも太刀打ち出来そうにもない。
エクスカリバーを持ってしても圧倒的な腕力で押し負ける。
「全く、あんなのを相手にしていたとか、アンタ達の婚約者はとんでもないわね」
レフリアの皮肉に対して、パメラとミーアはようやくダンジョンの攻略が難しいということを理解していた。
この中で唯一、ダンジョンのボスを知るメアリだったが……。
「レフリア様、それは違いますわ。アレス様からすれば、所詮あの程度なのですよ」
レフリアはメアリが言っている意味が理解できないでいた。
アレスがここに居たのなら、そもそも苦戦などありえないということを、理解できるのはメアリだけ。
メアリが見ていたのはアレスの魔法により、ボスは一瞬にして塵となっていた。
「メアリ? それはどういう……」
「言葉通りですわ。アレス様は魔人との戦い以外で一度たりとも傷ついたことはありません」
メアリが居たダンジョンだけではなく、上位アンデッドのダンジョンも傷一つもなく見事に攻略する。
だが……アレスは、魔人との戦いで傷つき命からがら逃げ出した。
ここで苦戦を強いられるレフリアたちにとって、その戦いは想像を絶する。
「パメラ様。顔を目掛けてバーストロンドを放ってください。それで一時的には視界を遮れるかも知れません」
「あの爆発なら、可能かもしれないわね」
メアリに指示によって、パメラは後ろへ下がり魔力を集中させていく。
魔法が発動させるまでかなりの時間が必要となる。
その間の時間稼ぎをどうするか?
「だあっ!」
「はああぁっ!」
その予期しない声に、誰もが驚きを隠せなかった。
ベールとロイが巨体を前に、怯むこともなくその足に切りかかっていた。
二人の攻撃により、リザードマンロードの足に深い傷が付けられていた。
ダインスレイブによる攻撃、ガーランソードを持つロイと比べかなりのダメージが蓄積されるが……。
「離れなさい!」
ロイはセドラと同様のスピードで離脱をするが、ベールはもう一撃を浴びせてからその場を走って逃げる。
その速度は、ロイと比べて圧倒的に遅い。
「ぐはっ!」
尻尾で弾かれたベールは宙を舞い、吹き飛ばされていた。
アルルは持っていた武器を手放し走り出す。地面に叩きつけられる前にベールを助けようと走る。
地面に落下する前に、ベールを抱え込みアルルが背中を打ち付ける。
「お、おっちゃん」
「無事で、良かった……わ」
アルルは、ベールを助けた後……ベールを床に置き立ちふさがっていた。
ベールの顔に赤い血がポタポタと落ちていた。
「お、おい……冗談だろ?」
覆いかぶさるアルルの口から血が流れていて、それがベールに溢れていた。
その様子に誰もが、驚きの表情に変わる。
「べ、ベール。アンタはまだ……こんなところで……」
襲いかかる魔物たちは氷の柱が邪魔になり、その数を減らしたことで二組の攻撃によって、少しずつ魔物の数を減らしていく。
ミーアが魔法を打つこともなくパメラに加わり後方にいるメアリとスミアの援護により、誰一人大きな傷もなく戦っていた。
「今はなんとかなっているけど、問題はあれよね」
「ああ、手下の数もそう多くはない。どうするの?」
残っている魔物は数分もすれば蹴散らせる所まで来ていた。
ボスであるリザードマンロードは、レフリアたちの行動を見ているものの、まだ動きは無く静観していた。
ハルトが持つ大剣の何倍もある巨大な剣を持ったまま、レフリア達をじっと見ている。
「一緒になって来ないだけ、助かっているけど……あれが動き始めたら、出たとこ勝負になりそうね」
レフリアの言葉に、ハルトは少しだけ困った顔をしていた。
今戦っている魔物は、この場所へ来るまでの間、何度も倒してきた。今の状態であれば、苦戦を強いられることはない。
だけど、後ろに控えているリザードマンロードはこれまでの相手と明らかに違う。
最後の一体を倒すと、巨大な剣を振り上げる
「皆、離れて!」
薙ぎ払われた剣によって、スミアが作り出していた氷の柱が砕かれる。
なんとかその攻撃から免れたものの、ロイとベールは二人をかばって、砕けた氷によって怪我をしていた。
「なんて威力なの」
「アレス様はあのような物を相手に……」
「皆、まずはあの剣を何とかするわよ」
残った氷の柱を砕かれ、飛び散る氷の破片を庇うように、アルルは子供たちの前に立ち斧を盾にしていた。
メアリは風を起こして皆を守る。すかさず、風球を放つもかすり傷を負わせるにとどまった。
斬撃による攻撃は、その硬い鱗で守られた体は簡単に傷つかないことを意味していた。
ハルト達は立ち向かうも、その巨体から繰り出される攻撃で足を止められ、尻尾による攻撃は懐に近付くことが出来ない。
「ハルト!」
あの巨大な剣の攻撃を、レフリアはシールドを展開することで防いだものの、持ちこたえられたのはたったに数秒でしか無かった。
ハルトが留まらず、その場から逃げ出したことでうまく逃げられたが、次も上手くいくとは限らない。
「助かったよ。しかし、離れていると何も出来ないよ」
そんな事を言われなくても、状況を見ていた全員がそれを理解していた。
巨大な剣を防ぐにも、ハルトの持つ大剣でも太刀打ち出来そうにもない。
エクスカリバーを持ってしても圧倒的な腕力で押し負ける。
「全く、あんなのを相手にしていたとか、アンタ達の婚約者はとんでもないわね」
レフリアの皮肉に対して、パメラとミーアはようやくダンジョンの攻略が難しいということを理解していた。
この中で唯一、ダンジョンのボスを知るメアリだったが……。
「レフリア様、それは違いますわ。アレス様からすれば、所詮あの程度なのですよ」
レフリアはメアリが言っている意味が理解できないでいた。
アレスがここに居たのなら、そもそも苦戦などありえないということを、理解できるのはメアリだけ。
メアリが見ていたのはアレスの魔法により、ボスは一瞬にして塵となっていた。
「メアリ? それはどういう……」
「言葉通りですわ。アレス様は魔人との戦い以外で一度たりとも傷ついたことはありません」
メアリが居たダンジョンだけではなく、上位アンデッドのダンジョンも傷一つもなく見事に攻略する。
だが……アレスは、魔人との戦いで傷つき命からがら逃げ出した。
ここで苦戦を強いられるレフリアたちにとって、その戦いは想像を絶する。
「パメラ様。顔を目掛けてバーストロンドを放ってください。それで一時的には視界を遮れるかも知れません」
「あの爆発なら、可能かもしれないわね」
メアリに指示によって、パメラは後ろへ下がり魔力を集中させていく。
魔法が発動させるまでかなりの時間が必要となる。
その間の時間稼ぎをどうするか?
「だあっ!」
「はああぁっ!」
その予期しない声に、誰もが驚きを隠せなかった。
ベールとロイが巨体を前に、怯むこともなくその足に切りかかっていた。
二人の攻撃により、リザードマンロードの足に深い傷が付けられていた。
ダインスレイブによる攻撃、ガーランソードを持つロイと比べかなりのダメージが蓄積されるが……。
「離れなさい!」
ロイはセドラと同様のスピードで離脱をするが、ベールはもう一撃を浴びせてからその場を走って逃げる。
その速度は、ロイと比べて圧倒的に遅い。
「ぐはっ!」
尻尾で弾かれたベールは宙を舞い、吹き飛ばされていた。
アルルは持っていた武器を手放し走り出す。地面に叩きつけられる前にベールを助けようと走る。
地面に落下する前に、ベールを抱え込みアルルが背中を打ち付ける。
「お、おっちゃん」
「無事で、良かった……わ」
アルルは、ベールを助けた後……ベールを床に置き立ちふさがっていた。
ベールの顔に赤い血がポタポタと落ちていた。
「お、おい……冗談だろ?」
覆いかぶさるアルルの口から血が流れていて、それがベールに溢れていた。
その様子に誰もが、驚きの表情に変わる。
「べ、ベール。アンタはまだ……こんなところで……」
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