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第6章 沢田くんと夏の恋花火
【番外編】小野田くんと小林くん
しおりを挟む人々から忘れられた男・小野田は、本編が終わったことも知らずにまだ前工の小林の家にいた。
【今頃、沢田たちはうまくやってるかな……】
小林から挑まれたすーぱーぷよぷよ2で2プレイ対戦しながら、小野田はいつの間にか消えていた沢田空のことを思い出していた。
【これで小四の朝の会の時の礼を返すことができたかな。フッ。沢田のために体を張ってやる俺。これぞ縁の下の力持ちだぜ!】
小野田は自分の行動に満足していたが、実際はどうだったのか──。
特別に空の心の声とともに回想をしてみよう。
***
佐藤さんが怪しいやつにさらわれた! と聞いて、いてもたってもいられずに家を飛び出した空は、佐藤さんの居場所に心当たりがあると言った小野田を信じて小林の家に行った。ところが──。
「おう、よく来たな小野田……。歓迎するぜ」
【だれ……このゆでたまごみたいな頭の人:(;゙゚'ω゚'):】
「まさか二日連続で来るとはお前もいい度胸だな。友達まで連れてきやがって。二人ともオレンジジュースでいいか?」
【友達じゃないよ。゚(゚´ω`゚)゚。なんかすごい勘違いしてるし、顔が怖いよ~!! よく見るとこの人、前歯がないよ~~!!】
玄関から出てきた小林の面相に、空はいきなりびびっていた。すると、
「勘違いすんな。こいつはただの友達じゃねえ。俺の親友だ!!」
小野田が突然思いもよらないことを言い出し、さらに空はびびった。
【親友ってなに⁉︎ 友達でもないのに、何言ってるのこの人Σ(゚д゚lll)どうしよう、逃げたい!!】
「……コーラにしてくれ」
「分かった。オレンジな」
「コーラで」
「果汁100%だぞコラア!」
小林と小野田が額を突き合わせてメンチを切る背後で、空はブルブルと拳を震わせて叫んだ。
「コーラもオレンジもいらないから……佐藤さんを出してください!!【本当にどうでもいいんですけどーっ!!\\\٩(๑`^´๑)۶////】」
「ああん? なんだとコラア。果汁はいらねえから砂糖を出せってどういうことだコラア! 太りてえのかコラア! 将来糖尿で泣くぞコラア!」
「いいから、佐藤さんを早く出してくださいって言ってるんですよゆでたまご頭の人!!【あっ……思わず】」
あたりが一瞬シーンと静まり返った。
小林の瞳から溢れた涙が、つぅと彼の頬を伝い落ちる。
【な、泣いたーーーー!!!Σ(゚д゚lll)】
「さ、沢田……! ゆでたまごはさすがに言い過ぎだぞ?」
小野田に言われ、空はちょっと反省した。
「すみませんちょっと言い過ぎました。ごめんなさい、たまご頭の人」
空はペコリと頭を下げた。
「いや、ゆでてあるかの問題じゃなくね⁉︎」
【えっ⁉︎ ゆですぎの問題じゃなかったの?Σ(゚д゚lll)】
「お前ら……完全に俺を怒らせたようだなコラア」
小林から立ち登る怒りのオーラに、空はびびってすぐさま『おんみつ』を発動させた。
「今日はすーぱーぷよぷよ2で勝負じゃコラア!」
「よし! 受けて立つ!」
小野田は空に背を向けたまま、小声で言った。
「沢田、こいつは俺が引きつける! 今のうちに佐藤さんを助け出して逃げるんだ! わかった……な? あれ? どこ行った? 沢田?」
小野田が振り向いた時には、空はもう小林の家を抜け出ていた。
【あんなところに佐藤さんがいるわけない。だって玄関に佐藤さんのくつがなかったもん。ああ~時間を無駄にしちゃったよ!。゚(゚´Д`゚)゚。 なんなのあの人たち。俺の邪魔ばっかりして、何がしたかったのかさっぱり分かんないよ~~!!】
その後、母からの電話で佐藤さんは沢田家に来てすぐ出て行ったことを聞いた空は、今度こそまっすぐ白鳥橋に向かったのであった。
今夜は家族で水入らずよ! と張り切っていた母が何故か「やっぱり今夜はお父さんと二人っきりでイチャイチャしたくなったから花火が終わるまで帰ってこなくていいわよ♡」と言い出したのも、空の足を軽くした要因の一つである。
***
「うりゃああ! 三連ぷよくらえーー!!【うまくやれよ、沢田……! 俺の屍を越えていけ!】」
「やるな小野田。だが俺は……四連ぷよでお返しだコラア!」
小野田くんと小林くんはこうして朝までぷよぷよし続けましたとさ。
おしまい。
【えっ、こんな終わり方?Σ(゚д゚lll)ガーン】
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