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沢田くんとお誘い
しおりを挟む【バカなこと考えている場合じゃない】
おもしろ脳内劇場をさんざん繰り広げた挙句、沢田くんは急に我に返った。
【早く佐藤さんをクリスマスデートに誘わなきゃ。このままだと年明けるぞ((((;゚Д゚)))))))】
それはリアルでありそう。
【おじさんの言う通り、自信を持ってみよう……! 佐藤さんならきっと、俺とクリスマスを祝ってくれるに違いない!】
決意を新たにした沢田くんは、授業終了のチャイムが鳴るや否や、私の方に超絶クールなカッコイイ視線を向けた。
私は思わずドキッとして固まった。でも。
【あわわわわ、緊張しちゃって声が出ない……!!((((;゚Д゚)))))))】
沢田くんはやっぱり内心ビビってる。
しょうがない。私の方から誘おう。
「あの」
「あの」
勇気を出して話しかけたら、沢田くんとタイミングが重なった。
「……なに?【佐藤さんが俺に話しかけてくれたーっ!!((((;゚Д゚)))))))なに、なに⁉︎ もしかして、別れ話⁉︎。゚(゚´Д`゚)゚。】」
テンパる沢田くん。ちょっと落ち着いて!
「え、えっと……沢田くん、クリスマスって予定ある?」
私はぎこちなく笑顔を作って尋ねた。
「えっ⁉︎【さ、佐藤さんが俺にクリスマスの予定を聞いている……だと……⁉︎ これはもしかして、クリスマスを俺と過ごしてくれるつもりだということなのかーっ⁉︎ いや待て、落ち着け! まだそうとは限らない! ぬか喜びはまだ早い! もしかしたら、クリスマスに街頭でティッシュ配りをするバイトとかしてみない? って言われる可能性も……!((((;゚Д゚)))))))】
そんなもんあるかーい!
「予定、ない……」
涙目になりながら沢田くんが答えた。
「じゃあ、沢田くんと行きたいところがあるんだけど、一緒に来てくれない?」
【えっ⁉︎ こ、これは……デートの誘い⁉︎ マジで⁉︎:(;゙゚'ω゚'):】
沢田くんは「あ、うん」と言いながら、耳まで真っ赤になった。
【生きてて良かった……。゚(゚´ω`゚)゚。】
まだだよ、沢田くん。
本番はクリスマスなんだから。
今年は最高に楽しいクリスマスを沢田くんにプレゼントしてあげるんだ。
私は密かに計画したことを思い出し、こっそりと笑った。
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