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沢田くんと待ち合わせ
しおりを挟むそしてついにクリスマス当日がやってきた。
今日のために買っておいた白のニットとクリスマスカラーのチェック柄フレアスカートを着て、思わずニマニマと鏡の前で笑みを浮かべる。
一応、沢田くんの家でパーティーをするって両親には正直に言ってある。帰りは家まで送ってもらうことと、あまり遅くならないことが条件でなんとかOKしてもらえていた。
ああ、楽しみだなぁ、沢田くんとのクリスマスパーティー!
待ちきれなくて、約束より一時間も前に家を出た。空にはまだ太陽の光が世界の端っこで煌めいていて、雪を含んでいるかのような重い雲を下から照らしていた。
駅前広場にある巨大なクリスマスツリーのイルミネーションの点灯は午後5時から24時までだという。それを目当てにしているのか、駅前にはたくさんの人々がすでに集まっていた。
心の声が多すぎて、沢田くんが来ても見つけられなそう。
心配しかけた途端に、前方から聞き慣れた声が耳に飛び込んだ。
【ああああああ~~!! 佐藤さん、本当に来てくれるのかなっ⁉︎ 俺の勘違いで一日早く来ちゃってたらどうしよう! 今日に限って大地震が起きたりしたらどうしよう! ああ、心配だ! 俺っていつも嫌な予感だけは当たるから! 早く佐藤さんに会いたいよーっ!!。゚(゚´Д`゚)゚。】
沢田くんだ。まさか私より先に来ているなんて。
でも沢田くんらしいといえばらしいなあ。
声のした方向に目をやると、アイボリーのセーターにカーキ色のコートとデニムを着た、シンプルなコーデだけどやたら目を惹くオシャレな黒髪の男子を発見。
ああ、今日もイケメンだ……沢田くん!
駆け寄って声をかけようと走り出した瞬間、「あのう」と高校生くらいの女の子が沢田くんに声をかけた。
「今、お一人ですか?【うわー、超イケメン! やばい! めっちゃユキの好み!】」
ユキちゃんという女の子の声かけに、沢田くんは。
【あわわわわ、また知らない人に声をかけられた!! これで5人目……いや、6人目か⁉︎((((;゚Д゚))))))) どうしてみんな俺にぼっちかどうかって聞いてくるの? そりゃあ俺はいつもぼっちだけどさ! わざわざ確認するってどういうことですか⁉︎ そんなにぼっち臭がしますか? ファ○リーズでも消せないぼっち臭が体に染みついているんですか? もう、洗濯機にもアロ○ジュエルを入れておかなきゃ。゚(゚´Д`゚)゚。】
ぼっち臭って何なん。沢田くんのぼっち臭って、きっと可愛い子猫の肉球みたいな匂いがするに違いない。
ショックを受けた沢田くんはユキちゃんをガン無視している。デートに誘いたいのに反応がないので、ユキちゃんは諦めて去っていった。
よしっ! 今度は私が沢田くんをぼっちから救い出してあげるぞーっ!
応援ありがとうございます!
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