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第3章 沢田くんと別荘の愉快な仲間たち
沢田くんと好きなところ
しおりを挟む「偽乳。お前に聞きたいことがあるんだけど」
「な、何?」
ラクダの背中で陸くんが私に密着しながら聞いた。
陸くんの想いは読みづらいせいかドキドキする。
ラクダが思った以上に揺れるのもドキドキする。
すると、陸くんは真面目な口調で言った。
「お前、空なんかのどこが好きなんだよ?」
私は思わず陸くんを振り返った。
陸くんの顔はキリリと引き締まっていて男らしい。
「どこって言われても……」
全部かな。キャー! 照れちゃう。
【全部とかいう適当なことを言ったらラクダから突き落とす!】
あっぶねええええ!!!
浮かれていた気持ちが一気に冷めた。
「言っとくけどな。あんなやつ、無口で余裕がありそうな顔してただのビビりだし、見た目よりずっと馬鹿だぞ。喧嘩も弱えし、度胸もねえ。俺の方がカッコイイし強いし女にもモテる!」
その通りなんだろうなあ。ごめん、沢田くん。こんなこと思ってて、彼女失格かも。
でもね。それでも、私はね。
「沢田くんは優しい。誰も傷つけたりしない。だから好きなの」
沢田くんを好きだと思う気持ちに揺るぎはない。
陸くんを真っ直ぐに見つめると、陸くんは「ふん」と小さく笑った。
【確かにあいつは優しい。子供の頃、いじめられていたカメを発見して、一時間以上も頑張れって心の中で応援していたこともあるほどだ……】
沢田くん、優しい……って、よく聞いたら心の中で応援してただけ⁉︎
【そのいじめっ子たちが去った後、「大丈夫?」ってカメに声をかけたら指を噛まれてたけどな。あれは10ミリを縫う大変な怪我だった……】
見てないで早く助けろよ! ってカメも思ったってことなのかなあ。
「他にはねえのか? 空の好きなところ」
「ええっと……あと、素直なところかな」
「ああ……【確かに空は素直だ。子供の時、俺がダチとかくれんぼで遊んでいたら、通りがかった空に見つかっちまったことがあった。「俺がここに隠れてること、誰にも言うなよ!」って言ったら、あいつは「うん、分かった」って言って素直に誰にもしゃべらなかったな……】」
ああ、これはいい思い出話。ちょっと安心する。
【でもまさか俺が荷台に隠れていたトラックが長距離輸送で長崎まで行っちまった時にはさすがに「しゃべれよ!」って思ったけどな。半日以上も俺が行方不明で、家族みんな「陸が誘拐された!」ってパニクって警察に通報する騒ぎになってたのに、あいつは俺との約束をまだ律儀に守ってたんだよな……】
いい話だと思ってたのにやっぱりか!
素直すぎるよ、沢田くん!!
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