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エピローグ
沢田くんとパシリ
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私たちが駆けつけた時、沢田くんの叔父さんはまだヤシの木にぶら下がっていた。でもさっきから大声を出していたみたいだし、思っていたより元気そうで良かった。
「ごめんなさい、叔父さんがぶら下がってたこと、俺たち全員で忘れてて……」
「地味に傷つくな、それ。まあ、ちっちゃいことは気にするな! 終わりよければすべてよしだ! ワハハハハハ!」
寛大な叔父さんをみんなで救出しようとした、その時だ。
「おーい! 助けてー!」
「俺たち、ヒョーリョーしちゃったんだ!」
沖からのSOSに、みんなは一斉に振り向いた。
「大変だ! 中学生くらいの男の子たちがボートで沖に流されてる!」
「助けなきゃ!」
みんなは叔父さんからパッと手を離し、慌てて中学生たちの方へ向かった。
「おーい! 俺は⁉︎」
「すみません、また後で来ます!」
【また放置⁉︎ ((((;゚Д゚)))))))】
ごめんね、沢田くんの叔父さん!
今度は忘れずに戻ってくるつもりです。多分。
こうして、カナメとシンゴと名乗った二人の中学生は、無事に私たちがいる島に到着した。
「あんたらは俺たちの命の恩人だよ」
「サンキューな!」
【言い方が偉そうΣ(゚д゚lll)ガーン。将来大物になりそうだな。俺とは大違いだ……】
ビビる沢田くん。年下のカナメくんとシンゴくんに畏敬の念を感じているようだ。
「ねえ、誰かジュース持ってない? 喉渇いた」
「沢田くん、近くに自販機は?」
「あ、あそこに……」
沢田くんが指を差すと、カナメくんとシンゴくんは「じゃあ、コーラで!」と声を揃えた。
【えっ、俺が買ってくるの⁉︎Σ(゚д゚lll)ガーン。さっそくパシられる俺。この二人、ただものじゃない……! それとも俺がただものじゃないパシリなのか、どっちかだ!】
どっちもどっち。
「ほら、早くしろよー」
「喉渇いて死んじゃうよー」
「は、はい……」
沢田くんは仕方なくダッシュでコーラを買ってきた。
「ど、どうぞ……【カナメさんとシンゴさん:(;゙゚'ω゚'):】」
すっかり舎弟の沢田くんが缶コーラを渡す。すると、二人が蓋を開けた瞬間にブシュー! っと炭酸が噴き出した。
「何やってんだよ沢田ー。振っちゃダメだろ!」
「そんなん小学生でも知ってるよな?」
【うっ……ごめんなさーい。゚(゚´Д`゚)゚。】
うつむいてしょんぼりしてしまった沢田くんの肩を、カナメくんがポンポンと叩く。
「まあ、次から気をつけろよ、沢田。俺たちそんなに怒ってないから!」
「コーラブシューは誰もが一度は通る道だからな!」
「はい……【ありがとうございます!!( ;∀;)】」
3人に友情が芽生えた(?)。
アメとムチの使い方が完璧なんだけど、本当にこの中学生たち何者なの⁉︎
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