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妖怪神社の大ピンチ
ツッコミ不可避
しおりを挟む「黒羽さんは全国の天狗系妖怪の頂点に立たれるお方でえ、以前から総大将は自分にこそ相応しいと豪語なさっていたんですう」
「ビジュもいいっす。クールでかっこいいできる男って感じっす!」
「へえ~」
その黒羽という男は、薄闇の広がる黄昏時の夜神神社に突然現れたらしい。
黒いスーツに黒いコート、黒縁メガネに黒手袋という現代風の殺し屋みたいな格好で、境内の砂利道を音もなく進み、鳥居に一礼することもなく通り過ぎて本堂までやってきた。
「おやおや。宮司も氏神もどこへ行ってしまったんでしょうね」
するとそこに仕事終わりで帰りかけていた美彌子がやってきて声をかけた。
「まあ! 今日はお客様が2名もいらっしゃいました! 嬉しいです~!」
「ちょっと待って」
僕はコンとポンの回想を遮った。
「美彌子さんは霊感がないから妖怪が見えないはずじゃ?」
「妖力の強い妖怪は人間の前で出たり消えたりできるんです! ボクらにはまだ難しいですけど……」
「黒羽さんレベルになると出たり消えたり変幻自在っす! 人間とも会話がナチュラルにできるっす!」
それは、まずい。
美彌子さんが危ないじゃないか。
僕の不安を煽るように、コンの回想が再び始まる。
「やあ。美しいお嬢さん。ご機嫌よう」
黒羽は柔らかそうな笑顔でそう言った。
美彌子は瞳をキラキラさせて、にっこり微笑んだ。
「お賽銭は最低1000円から上は青天井でお願いします!」
黒羽の衣装からリッチな匂いを感じ取ったのだろう。美彌子は無邪気に賽銭をむしり取ろうとした。
「ダメだって美彌子さん!」
僕は思わず回想にマンキンでツッコミした。
黒羽は美彌子の失礼な発言にも怒りを表さず、あくまで穏やかにこう答えた。
「随分と古臭いオンボロ神社ですね。ですが私が来たからにはもう大丈夫。今日から私がここの新たな支配者となって、立て直して差し上げましょう」
「まあ! もしかして、建設業者さんですか? 建て替え工事の押し売りだったらあいにくですが……」
「ははは。もちろん無料ですよ」
「無料⁉︎ ああ、神様、仏様~!」
美彌子は大喜びで舞を舞った。
「だからダメだって、美彌子さん!」
これはツッコミ不可避だ。
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