あの頃の夏には

haco.

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瞳の中で

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青い海とヤシの木の公園が広がる中に、水族館に行く看板が見えてきた。
さっきの海猫だろうか。砂浜の岩の上に降りて来ては、飛びだっていく姿が見えてきた。
日差しが強い午前の中、チケットを購入して館内に入った。

館内に入った横側に「こばた水族館グッズショップ」の看板が目の前にある。

「やったーー。ペンギン!ペンギン!!!」はしゃぐ寧々に
「あとで、なにか買ってあげるよ。帰りにまた来よう」恵美は言った。

「どこから行く?」
「えっとね・・。カリフォルニアアシカ!!」

館内案内図でアシカまで辿り着くのに一周半するぐらいの位置にあった。

「少し離れてるね。そしたら、熱帯魚から行こう!」
「見てみて。この位置から行くと・・」指で差しながら、ルートを辿ると

「あ、カワウソがある!!」

「そそ、カワウソも好きでしょ。」

「うん!」

「楽しみだね」

握り合った手はお互いをひっぱり合う。
横目で寧々の笑顔に恵美はほっこりしてしまう。
動物を見る瞳はとてもキラキラと輝いていた。

イルカの水槽まで歩くと大きな水槽から顔を出すバンドウイルカが笑っているかのように、
まっすくと寧々と恵美を見ていた。

「可愛い・・・」寧々はうっとりとガラス越しに手をおいてガン見している。
「可愛いね。」恵美は答えた。

イルカのショーは平日は閉演だったのが少し残念だった。

「えーー。見たかったなーー」子供なりの抵抗に思わず恵美は笑ってしまった。

「今度は、休日に行こうよ」

「ねえねえが忙しくなかったらでいいよ」

「ありがとう」

それからずっと、寧々と水族館デートを夕方になるまで楽しんでた。



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