あの頃の夏には

haco.

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心を開いて

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昔を思い出すたびに、悠斗は自転車の速度が上がっていく。

自分も先生みたいな人に寄り添える立場になりたい、ずっと思っていた。

川沿いの歩道の片隅に寄りながら、生徒たちに挨拶を交わしていく。

「おはようございます。」と声をかけてくれる生徒たちに「おはよう!」と笑顔で返す。
住宅街の川沿いに近づいてくると、「武市高等学校」が見えてくる。

自転車のこぐ速度を落としながら、学校の門をくぐり抜けて駐輪場まで着いた。
しっかりと鍵を閉めては、教員室まで走っていく悠斗は、女子生徒たちに声をかけられた。


「おはようございます!」

「おはよう!」

学生時代の自分とは正反対な会話だった。

奥田先生が言ってくれてた言葉を思い出した。

「もっと、君は自分から「心」を開いていいんだよ」と。
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