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ガクガク学園生活
2-1 沈まぬサンジェリン
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作者から
手直ししたので前章やや文章変わります。小話の時間関係ずれたんで、少し削除。
変な文章見せてごめんじゃん?
ーーーーー
キトシュさんのホバー飛行、着陸。褪せた色の麻服を来た男がやる気なく歩いてきて、足場を用意する。
降りた僕達二人に別れを言ったキトシュさんは、騎乗動物の待ち合いエリアへとノシノシと歩いて去る。
地理や種族について色々聞けて良かったけど、最後の方はやたらに距離とられて寂しい感じだったな。
無言であんな態度とらても。
「着いたね。上空から見た感じだと、この街は随分栄えているみたいだ」
アイナはこくりと頷く。上の空の彼女が急に顔をしかめた。しかもうっすらとした敵意を込めて。
「あら、やっぱりそうね」
穏やかな声がした方向はアイナの敵意の在りかに一致していた。
声の主である女性は、こちらに笑いかける。彼女の向ける笑顔は声同様に柔らかい物だが、どこか寂しく頼りない物に感じる。
漆黒の黒髪と相まり、黒いマントの記章やダブルボタンが醸す軍服のような泰然たる雰囲気から組織の者だろうと察する。
年齢は案外若そうだという位しか言葉が見つからず、印象が掴めない。あと、色っぽい?
確かに垂れ目、この人かなぁと考えていると、彼女と目が合う。
「ゎ、お……」
変な声が聞こえた。それが自分の声帯から捻り出された物だと知る。自分で自分が信じられなかった。
意識の混濁、胸の痛みと激しい動悸、興奮と下半身の違和感に襲われた。
僕は緊急避難的の為にしゃがみ込む。アイナにだけは見せるべきじゃないと思ったから。
靴の紐、靴下の違和感、もしくは転んだだけ、どう取り繕う?
そんな考えを巡らせていると女性が笑う。
「あら、凄いですね。純血の女夢魔からサプレッションとチャームを受けてまともでいられるなんて」
「ぐ、っ……」
「尊敬しちゃいます。逞しい軍人さんでも猿みたくなるのが普通ですもの」
アイナは無言で僕の前に立ちはだかる。手を広げた仁王立ちだ。僕は症状の急激に改善に伴い立ち上がる。ファーストコンタクトのイメージは紛れもない演技だ。
「……人の心を掌握する魔術ですね?」
僕の問いに、ええ、と答えた女魔術師の声は心底楽しそうだった。ただ、鈴の鳴る音であどけなく笑う。
こちらの事情を一切鑑みない、躊躇のない心の蹂躙。
人がまばらとだったとは言え、公衆の場で臆すること無くこれをやってのけた彼女だが、言葉使いから悪意がないのは分かっている。
僕は刃物を持った悪漢等より、こういうちょっと外れてしまった人間の方が怖かった。本人は文明社会で通用するような仮面をかぶりながら、こういう人気のない場所では本性を露にする。
「お遊びが過ぎましたか? 自己紹介がまだでしたね。私の名前はカチュア・コルドー。このラ・サンジェリンで錬金学の教鞭を握っています」
彼女はにっこり微笑み。
「そしてその娘、アイナの義理の姉になります」
そう言った後に恭しくスカート裾をつまんで挨拶をする。目付きは挑発的に、レッドラインギリギリに近付く程緩慢になる動きで、しかし、たくし上げるのは止めない。自分の目線がぐらついたのがわかる。
黒タイツから上る布地、素肌を走る一筋が見えた。
が、ガーターベルトだ。初めて見た。見てしまった。
「とにかく、案内して下さいよ!」
「君、面白いね。うぶなのに妙な強情さ」
彼女はイタズラっぽい口調だった。ついて来て、と指折り合図する。
にしても驚きだ。まさかアイナが魔族だったなんて。人間社会で数少ない爵位を持ったコルドー辺境伯の一族とは。
「君のお姉さん、なんというか凄いね、アイナ」
アイナは唇を噛みしめ、じと目でカチュアの背中を凝視していた。
「……んか」
「ん?」
「あんなのがいいんか! ゆりちは!」
「何がだよ!」
「あんな、胸がぽいんって、こう……むきー!! 」
アイナは何かに怒って先に行ってしまう。何だ?
アイナがあんなに感情を前に出したことはなかったような。僕は驚きつつも、おっかなびっくりでカチュアに付いていく。
この街は有名校を抱える学術都市である以外に、湾港都市でもあるらしい。
殺風景な発着場を出ると人の波と活気に気圧される。
「わー! ハッサリアと大違いだ! あっちは現代っぽい服装とか建物でファンタジー要素薄かったけど、ここは見たままにまるっとRPG!って感じ」
街は人間の方が少ないと言っても過言ではない程の人種の多さだ。
のっぽにちびに、角にケモミミ天使のわっかや岩肌毛皮と動く鎧。緑、黄、赤、青、八百屋やスパイス露店商の色彩。裏道に怪しく光る盗掘品の刃、ガラスの向こうに見える宝石紛いなポーション瓶。
町は虹色、色鮮やかな花畑みたいで全てがそこにあると思えた。興奮はピークだ。目も耳も鼻も、五感が休まらない。
カチュアが、くすり、と笑う。
「ユーリ君の言うファンタジー、は分からないけど文化が違うのは当然よ。直轄11区外なら帝国領土でも亜人の扱いはマシになるし、ましてやラ・サンジェリン庇護下の土地だもの。亜人、ご禁制の品、遺物、沈まぬ陽のサンジェリンの名の元に魔術栄える為ならば全ては許される」
ご禁制……エッチな本か!
「麻薬なんてのも許されてたりして、あはは」
「えぇ」
手直ししたので前章やや文章変わります。小話の時間関係ずれたんで、少し削除。
変な文章見せてごめんじゃん?
ーーーーー
キトシュさんのホバー飛行、着陸。褪せた色の麻服を来た男がやる気なく歩いてきて、足場を用意する。
降りた僕達二人に別れを言ったキトシュさんは、騎乗動物の待ち合いエリアへとノシノシと歩いて去る。
地理や種族について色々聞けて良かったけど、最後の方はやたらに距離とられて寂しい感じだったな。
無言であんな態度とらても。
「着いたね。上空から見た感じだと、この街は随分栄えているみたいだ」
アイナはこくりと頷く。上の空の彼女が急に顔をしかめた。しかもうっすらとした敵意を込めて。
「あら、やっぱりそうね」
穏やかな声がした方向はアイナの敵意の在りかに一致していた。
声の主である女性は、こちらに笑いかける。彼女の向ける笑顔は声同様に柔らかい物だが、どこか寂しく頼りない物に感じる。
漆黒の黒髪と相まり、黒いマントの記章やダブルボタンが醸す軍服のような泰然たる雰囲気から組織の者だろうと察する。
年齢は案外若そうだという位しか言葉が見つからず、印象が掴めない。あと、色っぽい?
確かに垂れ目、この人かなぁと考えていると、彼女と目が合う。
「ゎ、お……」
変な声が聞こえた。それが自分の声帯から捻り出された物だと知る。自分で自分が信じられなかった。
意識の混濁、胸の痛みと激しい動悸、興奮と下半身の違和感に襲われた。
僕は緊急避難的の為にしゃがみ込む。アイナにだけは見せるべきじゃないと思ったから。
靴の紐、靴下の違和感、もしくは転んだだけ、どう取り繕う?
そんな考えを巡らせていると女性が笑う。
「あら、凄いですね。純血の女夢魔からサプレッションとチャームを受けてまともでいられるなんて」
「ぐ、っ……」
「尊敬しちゃいます。逞しい軍人さんでも猿みたくなるのが普通ですもの」
アイナは無言で僕の前に立ちはだかる。手を広げた仁王立ちだ。僕は症状の急激に改善に伴い立ち上がる。ファーストコンタクトのイメージは紛れもない演技だ。
「……人の心を掌握する魔術ですね?」
僕の問いに、ええ、と答えた女魔術師の声は心底楽しそうだった。ただ、鈴の鳴る音であどけなく笑う。
こちらの事情を一切鑑みない、躊躇のない心の蹂躙。
人がまばらとだったとは言え、公衆の場で臆すること無くこれをやってのけた彼女だが、言葉使いから悪意がないのは分かっている。
僕は刃物を持った悪漢等より、こういうちょっと外れてしまった人間の方が怖かった。本人は文明社会で通用するような仮面をかぶりながら、こういう人気のない場所では本性を露にする。
「お遊びが過ぎましたか? 自己紹介がまだでしたね。私の名前はカチュア・コルドー。このラ・サンジェリンで錬金学の教鞭を握っています」
彼女はにっこり微笑み。
「そしてその娘、アイナの義理の姉になります」
そう言った後に恭しくスカート裾をつまんで挨拶をする。目付きは挑発的に、レッドラインギリギリに近付く程緩慢になる動きで、しかし、たくし上げるのは止めない。自分の目線がぐらついたのがわかる。
黒タイツから上る布地、素肌を走る一筋が見えた。
が、ガーターベルトだ。初めて見た。見てしまった。
「とにかく、案内して下さいよ!」
「君、面白いね。うぶなのに妙な強情さ」
彼女はイタズラっぽい口調だった。ついて来て、と指折り合図する。
にしても驚きだ。まさかアイナが魔族だったなんて。人間社会で数少ない爵位を持ったコルドー辺境伯の一族とは。
「君のお姉さん、なんというか凄いね、アイナ」
アイナは唇を噛みしめ、じと目でカチュアの背中を凝視していた。
「……んか」
「ん?」
「あんなのがいいんか! ゆりちは!」
「何がだよ!」
「あんな、胸がぽいんって、こう……むきー!! 」
アイナは何かに怒って先に行ってしまう。何だ?
アイナがあんなに感情を前に出したことはなかったような。僕は驚きつつも、おっかなびっくりでカチュアに付いていく。
この街は有名校を抱える学術都市である以外に、湾港都市でもあるらしい。
殺風景な発着場を出ると人の波と活気に気圧される。
「わー! ハッサリアと大違いだ! あっちは現代っぽい服装とか建物でファンタジー要素薄かったけど、ここは見たままにまるっとRPG!って感じ」
街は人間の方が少ないと言っても過言ではない程の人種の多さだ。
のっぽにちびに、角にケモミミ天使のわっかや岩肌毛皮と動く鎧。緑、黄、赤、青、八百屋やスパイス露店商の色彩。裏道に怪しく光る盗掘品の刃、ガラスの向こうに見える宝石紛いなポーション瓶。
町は虹色、色鮮やかな花畑みたいで全てがそこにあると思えた。興奮はピークだ。目も耳も鼻も、五感が休まらない。
カチュアが、くすり、と笑う。
「ユーリ君の言うファンタジー、は分からないけど文化が違うのは当然よ。直轄11区外なら帝国領土でも亜人の扱いはマシになるし、ましてやラ・サンジェリン庇護下の土地だもの。亜人、ご禁制の品、遺物、沈まぬ陽のサンジェリンの名の元に魔術栄える為ならば全ては許される」
ご禁制……エッチな本か!
「麻薬なんてのも許されてたりして、あはは」
「えぇ」
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