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act11 蛍子姫
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回文、「コイケ・ケイコ」を回避しようとしてくれるような
匠と結婚するにあたり、いいひとみつけたね、
と、ひとにはよく言われるが、
蛍子が自分でこのひとと思い定めたのであるから
「いいひと」であるのは必然である。
(実際、原姓に変えてもらっても
「ハラ・ショー」になるのは気の毒なことであったし)
蛍子は簡単にひとを好きにならない。
簡単に、というと語弊があるが、男と見たら
すぐに色目を使いたがる女子とは
別世界の住人なのである。
男子のためにもめる女子に嫌気が差して、
高校からは厳格なカトリック系の
女子校に通ったものの、弟以下いとこ全員男子
という環境で育っているからには、
男に何の珍しさも興味もわかない。
もちろん幻想も抱かない。
手当たり次第に男にケツを振る女を同じSISTAとしては、
そんな風には思いたくはないが、
安い
と思ってしまうのだ。
何かを「売り」にすると、必ず安く買い叩かれる。
乳を売りにする女には、乳目当ての男が集まるだろうし、
若さや美貌を売りにする女は、その容色が衰えたら、
男は新鮮な女を求めて彼女の許を去るだろう。
それを自ら売りにするなら、男の不実を嘆くなかれ。
一方、「武器」は磨けば重宝だ。
すると、蛍子の「武器」は、自分を安く売らないことだろうか。
女子としての魅力には欠けるほうだと自認していたが、
そんな自分を好きになってくれるひとに出逢うまでは、
恋に落ちることはないと確信していた。
女なら誰でもいい男ではなく、女なら誰にでも親切な男。
そして、わたしの存在そのものを喜んでくれる男。
それは思いのほか早く訪れた。
匠と結婚するにあたり、いいひとみつけたね、
と、ひとにはよく言われるが、
蛍子が自分でこのひとと思い定めたのであるから
「いいひと」であるのは必然である。
(実際、原姓に変えてもらっても
「ハラ・ショー」になるのは気の毒なことであったし)
蛍子は簡単にひとを好きにならない。
簡単に、というと語弊があるが、男と見たら
すぐに色目を使いたがる女子とは
別世界の住人なのである。
男子のためにもめる女子に嫌気が差して、
高校からは厳格なカトリック系の
女子校に通ったものの、弟以下いとこ全員男子
という環境で育っているからには、
男に何の珍しさも興味もわかない。
もちろん幻想も抱かない。
手当たり次第に男にケツを振る女を同じSISTAとしては、
そんな風には思いたくはないが、
安い
と思ってしまうのだ。
何かを「売り」にすると、必ず安く買い叩かれる。
乳を売りにする女には、乳目当ての男が集まるだろうし、
若さや美貌を売りにする女は、その容色が衰えたら、
男は新鮮な女を求めて彼女の許を去るだろう。
それを自ら売りにするなら、男の不実を嘆くなかれ。
一方、「武器」は磨けば重宝だ。
すると、蛍子の「武器」は、自分を安く売らないことだろうか。
女子としての魅力には欠けるほうだと自認していたが、
そんな自分を好きになってくれるひとに出逢うまでは、
恋に落ちることはないと確信していた。
女なら誰でもいい男ではなく、女なら誰にでも親切な男。
そして、わたしの存在そのものを喜んでくれる男。
それは思いのほか早く訪れた。
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