かりそめの永遠ーアナタに逢えてよかった

てるる

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act13 酒の力

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コンパのときのお決まりの、大学の最寄り駅近くの
小洒落たアイリッシュ・パブ。
サークル・メンバーの半数くらいではあったが、
1年生の男女数名、上回生が十余名という賑やかな集まりの
宴もたけなわというあたりで、
所謂「いじられキャラ」が定着してしまったドラムの1年生の女子が、
同期のベースの男子にひどくいじられた。
酔いも手伝って、口が軽くなってしまったのだろう、
彼女の容姿をあげつらいはじめ、
「顔はマズいが身体はいい」という由のことを言い放った。
あまりの下世話な言い草に、いつもはヘラヘラと誤魔化し笑いをしている
ドラマーちゃんもさすがに顔を歪め、
蛍子が、ベーシスト君に一発お見舞いしようと席を立ったそのとき。
いつの間にか現れた匠が、見たこともない険しい顔をして、
ベースの1年生の首根っこを押さえた。


「謝れ」


その場の一同が顔色を失った。

プラチナ・ブロンドの長い前髪の間から、瞳が暗く燃えている。
普段から愛想がいいわけではないけれど、
声を荒らげることのない匠である。
今も静かにひと言発しただけだが、みんなの心胆を寒からしめるのに
十分な迫力があった。
下衆野郎は一気に酔いが醒めた様子で、ドラム女子に平謝りした。
そのままなんとなく気まずい空気でクリスマス会はお開きになったが、
ここで、なんと、蛍子にスイッチが入ってしまった!
吊り橋効果と言ってもいいかもしれない。

このドラマー嬢に関しては、蛍子は常々苦々しい思いをしていた。
「カレシが欲しい」とか「モテたい」とかわーわー言うわりに、
自分を卑下する発言が多く、
容色に優れているとは言い難い彼女の自信のなさゆえであろうことは
理解しつつも、そんな自尊心のない女に惹かれる男がいるだろうか?
そもそも、
好きな男がいてこそのカレシカノジョのおつきあいではないのか?
そんな怒りとこんな怒りとが化学反応を起こし、
巨大なマグマの噴火寸前となったとき、
匠が鹿島大明神のごときに鎮めてくれたのだ。
その興奮も冷めやらぬまま、これも酒に背中を押され、
蛍子は匠に最敬礼した。


先輩!原は感激いたしました!
小池匠さんは、男の中の男、です!



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