No DOG No LIFE

てるる

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死ぬその瞬間まで生きることをあきらめない

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ダンナが八百屋でトマトを買うように、
ペット・ショップで買ってきたカムイ。
(このペット・ショップの問題については
また新たに項を設けよう)

なんで、そんなイージーに彼が買ってきたのか。
彼のところはシバイヌ飼いであったからである。

同じイヌだろうと思ったら大間違いで、
パピヨン・カムイのアホちゃんぶりに
驚いておりましたが、犬種や個体によって、
違うのはアタリマエです。
ひとりひとりの個性を見極めないと、
わんこを不幸にしますよ。
外で飼えるのは日本の気候の中で生きてきた和犬。
それも暑さ寒さ、健康のケアをするのは
アタリマエ。
それにも関わらず、餌さえやっておけばいいという認識の
買い主がいまだ多い様子なのが腹に据えかねます。
イヌにも感情はあると言っても、そんなひとに
通用するはずもないので、
若いひとたちに啓蒙を怠らないのですが。

さて。

そのダンナのところのシバイヌ2代。
初代は昔の雑な飼育下、フィラリアで7歳ばかりで
絶命しました。
まあ、当時はそんなものでしょう。
マムシを一撃で仕留める野性味のあるわんこだったそうで、
家じゅう噛まれなかったひとは居ないとか。
2代目はやはり外イヌでしたが、健康に留意したせいか、
16年ほどの天寿を全うしました。

この2代目のシバわんこに、幼いうちの息子たちは
夢中でした。
玄関に入れられていたときは、玄関先で
転がってずっと眺めておりましたっけ。
彼はたいへんおとなしいシバだったのです。
一度だけパピーだったカムイが近づいたとき、
うるさそうにうなったのしか不機嫌そうな
様子を見たことがありません。

そんな2代目がいよいよ危なくなったという
知らせを義母から受けて、お見舞いに行ったとき、
彼は駐車場の衣装ケースの中に入れられて
居ました。
漂う死臭。
もう長くないと、わかりました。
潔癖な長男の反応は、と見れば、

「悲しい匂いがするね」

と。

そして、わたしたちが見舞った次の日の朝、
彼は虹の橋を渡りました。

そんなに長いおつきあいでは
なかったのに、うちの息子たちが来るのを
待っていてくれたかと思うと、
涙が止まりませんでした。
5年生になった息子も久しぶりに大号泣。
義父が亡くなったときも、曾祖母が亡くなったときも
見せなかった姿です。
やはり、イヌと子どもは特別な関係で
結ばれる気がします。

2代目は、老衰とはいえ、つらい最期を
生き切った感がありましたね。


医療的な

「安楽死」

ということを考えるとき、西洋の感性では、
1mmでも痛みを感じたら、快復の見込みが
なければ、即断即決をするというイメージがある。
それこそが飼い主の責任で愛情ある決断である、と。

野生ではなく、ヒトの手の中にある生き物である
以上、命のコントロールもヒトが判断するのが
筋なのかもしれない。
だがしかし。
死の直前まで、生きることをやめようとしない、
あるいは死すら考えなかったであろう2代目の
姿を思い起こすと、何が正解なのかわからなくなる。

寝る時間がネコ並みになっているカムイにも
近々お迎えが来る。
願わくば、安らかに旅立って欲しい。
わたしが最期を判断しなくても済むように。
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