魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

文字の大きさ
669 / 698
 ユティ魔道学院へ

スナコちゃん赤面す

しおりを挟む

「な、何ですか部長!?」
「離れろよコイツ張っ倒しますかっ」

 男の園に緊張していたミラとジーノだが、部長の危機に慌てて近寄った。

「いや良い、離せラフィーヌ! 皆に誤解される」

 セレネからラフィーヌと言われた学院性は、笑顔だが少し後悔した顔ですぐに引き下がった。

「あははごめんごめん! 俺はラフィーヌ・ビュートッエだ女みたいな名前なんだよ。つい昔の癖でやってしまった……セレネからも皆に説明してくれよ、小さい時からの知り合いなんだ。セレネがこんな小さい時から一緒に遊んだり、お風呂にも入れてあげたり」

 極めて冷静で直立するセレネに対して、飛び付いた男は頭を掻きながら必死に弁明した。

「お風呂に!?」

 ミラジーノの顔が色めき立つ。

「余計誤解されるわ! えらい昔の話だろーが。それに最近は殆ど会ってないはずだが」
「ごめんごめん、久しぶりに会えたからって嬉しくてつい」
「はぁ~~部長ってあの紅蓮の奴といい、あっちこっちに王子様キャラと知り合いなんスね」
「凄いっス! 格が違うスよ!!」

 ミラとジーノが言う様に、ラフィーヌはなかなかの優男な美形であった。しかしセレネはちらっと振り返ってスナコの顔を見た。彼の反応を確認したかったのだ。

(むっにこにこ笑顔のモブキャラのままか……いつもの砂緒なら、キーッ私のセレネさんから離れなさいっ! とか言って食って掛かるのにな)

「おいおい、いきなり俺たちの神聖な研究室に小娘共が何の騒ぎだ?」

 セレネがスナコを気にして一瞬ぼーっとしていると、腕まくりした白衣から逞しい筋肉が覗く少しイカツイ長身でやはり美形の男が、いかにも煩わしそうに言った。 

「あ、悪い悪いアスティ達には言って無かったけど、俺セレネ王女と幼馴染だったんだ」
「はぁ、王女が何だってんだ? 此処は王女様の遊び場じゃねーんだよ」

 アスティと呼ばれた男は、王女の名前にも一切ひるむ事無く、セレネ一行を睨みつけた。

「こらこら、こんな美しいお客さん達に凄んでどうする、この筋肉バカが。私はここの研究生アルピオーネ・マーチェラと申します。この様なむさ苦しい場所に、王女殿下がおいで下さるなど光栄の至りで御座います」

 今度は理知的雰囲気で少し取って付けたキザッぽい美形金髪の学院生が、セレネの前で少し屈んで頭を下げた。

「そうだよっ! 王女様がいらっしゃったんだぜ、友達になれるかなあ、あっボクはルンブレッタ・スーヴェテって言うんだ! よろしくね……」

 長身美形が多い中で、恥ずかしそうに顔を紅潮させながら自己紹介したこのルンブレッタという学院生は、比較的小柄な少年ぽさが残るまだまだあどけないかわいい顔をしていた。と言っても年齢的にはシャルはもちろん、セレネ達より年上なお兄さんではある。と、そんな状況を見てスナコは内心笑いを堪えていた。

(な、何ですかこの乙女ゲームの攻略対象みたいな美形男軍団は……お、面白過ぎて爆笑を堪えるのが、ぷくく)

 砂緒にしてはセレネの幼馴染が出て来ようが、小さい頃に一緒にお風呂に入っていようが全く気にして無く、ぜんぜん次元の違う事を一人考えていた。

「おい失礼だぞ! お前も出て来て挨拶くらいしろっ!」

 ラフィーヌの声で、騒ぎに全く動じず何かの本を読んでいた最後の研究員の男がめんどくさそうに出て来た。

「あーーども。蘭観・ファーラルと言います。じゃ!」

 再びめんどくさそうに元の位置に戻って行く男は、態度は不審者だがやはり外見はなかなかの美形であった。

(最後は、ふ不思議系やないかっ! いろんなパターンの男が揃っておる……わ、笑える)

 やはり表面上はにこにこして変化の無いスナコを無視して、セレネは本題を切り出した。

「ラフィーヌ、前々からもし協力して欲しい事があったら何でも遠慮なく言って欲しいと言っていたな?」
「ああ、もちろんだよ! 何でも言ってくれよ」

 来て挨拶も早々に本題を切り出すセレネに対しても、不審がらずラフィーヌはドンと胸を叩いた。


「……かくかくしかじか……という訳で、ル・ツーの応急修理をお願いしたいんだ」
「……かくかくしかじか……という訳か。うーむなかなか困難な依頼だけどやってみよう!」

 即断で安請け合いするラフィーヌに険しかったセレネの顔はぱぁっと少し明るくなった。

「本当か、ラフィーヌ済まない!」
「おいちょっと待てよ! 俺たちには俺たちの研究があるだろうが。何で王女サマのお遊びに付き合わねばならん。王女様なら王宮のファクトリーがあるじゃねえか」

 アスティ・ティーニがずいっと出て来て、成立仕掛けた話をいきなりご破算にしようとする。

(はいはいはい、俺様的なこいつが一旦ケチ付ける役割ね……めんどくさい奴らだなあー)

 スナコは眼前で繰り広げられる寸劇をじとっとした目で眺めていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...