魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

第三幕 戦火の嵐 上① 幕間、まおう軍の地に生きるⅡ

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 ―まおう軍炎の国。
 サッワはまおう抱悶だもんちゃんを北部中部新同盟女王選定会議に送り届け、そのまま命令通り本国に引き返して魔ローダー駐機場に降り立ち操縦席で一人佇んでいた。

「この魔ローダー凄い……パワーもスピードもこれまで僕が乗って来た機体とは桁違いの力を感じる。それに魔力の消費も凄い……相当な実力者しか乗りこなせない伝説の機体ル・スリー白鳥號スワン。でも何故姿形だけじゃなく変形機構まであのメッキ野郎にそっくりなんだろう謎だな……」

 サッワが疑問に思うのも当然だった。このル・スリー白鳥號こそ百年以上前に主人公砂緒の前世の前世であるメドース・リガリァ王国等ウェキ玻璃音大王が、将来現れる雪乃フルエレを守る為だけに制作した魔ローダー日蝕白蛇輪のひな型にした機体だった。蛇輪が銀色のメッキ調の機体なのに対し、この白鳥號は名前の通り全身が純白の機体だった。また見た目的にも各所に金色の華麗な装飾が施された成金趣味的な蛇輪よりもよりシンプルな意匠となっている。まさにヒーロー然とした外観であった。

「……そんな事はどうでもいいんだ。何故抱悶さまはもっと魔ローダースキル回復(超)を使って下さらないんだろう? 抱悶さまの近くに居ただけで感じるくらいの巨大な魔力で何度も回復(超)を掛けて下さったら、あるいはココナツヒメ様は全て元通りの元気な姿に戻られるかもしれないのに」

 言って、サッワはドンッと操縦席の壁を叩いた。まさにその通りだった。まるで抱悶の態度は最強硬派のココナツヒメを大人しくさせて置く為に、わざと放置しているのではないか? と思える所もあった。

「いや、例え抱悶さまでなくとも僕とクレウさんが共同して必死に回復(超)を繰り返せば……少し借りるくらいだったら……」

 言い掛けてサッワは頭を振った。

「はぁダメだダメだ。僕は何て事を言っているんだ……僕やクレウさんやスピネルさんを受け入れてくれたまおう抱悶様を裏切るなんて……そんな事しちゃダメだ。でも……ココナツヒメさま僕は本当は辛いよ、耐えられないよ。厳しい言葉で叱ってくれて良い、足蹴にしてくれて罵ってくれていいよ、元の激しいココナツヒメさまに戻ってよお願いだよ、これから僕はどうしたら……フゥー、カレン助けて、うっううっ」

 サッワの目から涙がポロポロ落ちて、思わず声を上げて泣き始めた。
 ドンドン!!
と、そこに突然操縦席ハッチの装甲を外からドンドン叩かれる音がして、サッワはハッとして急いで涙を拭いた。

「サッワ殿? 何をされておられるのでしょうか? 作戦が済み次第すぐさま降りて頂きませんと」

 作戦とは抱悶送迎作戦である。外から声を掛けているのは以前からのまおう軍の重臣であった。最近新三魔将に就任したサッワらを常に新参者だと監視している連中だった。
 バシャッ
 サッワは疑われない様に、すぐさまハッチを開けた。

「申し訳ない! ただ抱悶様のお迎え時に遅れない様に機内で待機しておりましたっ!」

 サッワは笑顔で操縦席から外に出た。

「いえ、その様なご心配は無用です。抱悶さまから連絡があり次第こちらから再び操縦者の手配を致しますので」
「はい分かりました!」

 あからさまな疑いの目で見る重臣にさらに笑顔で一礼すると駐機場を後にした。

「……なんだよ、これじゃあまおう軍三魔将なんてカッコ良い肩書も形だけじゃないかっ!」

 サッワは振り返って重臣に聞こえない様に小声で言った。


 視点はザ・イ・オサ新城に戻る。セレネは第二幕と第三幕の短い幕間の時間を使って、王女として自らのプライベート魔ローダーであるSRV2ルネッサに乗り込んでいた。

『メランさん調子はどうですか? いつでも射撃臨戦態勢に移れる様にしてくれていますか? あたしの予想では第三幕が終わると同時に物語内容にシンクロする様に半透明が襲って来て大混乱を狙って来ると思っています』

 会場から少し離れた射撃位置に就いたル・ツー黒い稲妻Ⅱの操縦席内のメランは一呼吸置いて返答した。

『え、半透明ってココナツヒメって人もうリタイアしてて、まおう抱悶ちゃんって子と仲直りしてまおう軍は敵じゃ無くなったんでしょ大同盟したんでしょ? 貴方いい加減にしたら、本当に来るのを望んでるみたいね』

 メランの顔と声は呆れていた。

『まおう軍とて一枚岩とは限りません。奴が反逆して単独で攻めて来る事さえあり得ます』
『まー良いわよ。来たら来たでメランちゃん最強伝説をお見せするわよ!』
『お願いします』

 セレネは機械的に言った。

『そんな事より貴方第三幕から出演するんでしょ? こんな所に居ていいの? ちゃんとリハーサルしたの??』

 急激にセレネの顔が曇った。

『いえ、ぶっつけ本番ですが……』
『ダメよそんなのじゃ』
『でも砂緒には、最後聖少女が実はスナコちゃんだったって落ちだったらぶち殺すぞコラーって言ってあります』
『え、聖少女何よそれ? そんな乱暴な事ばっかり言って、本当に砂緒さんが死んだら貴方めちゃめちゃ泣くでしょ?』
『そ、そんな縁起でも無い事言わないで下さい』

 セレネの顔が急に泣き顔になる。

『貴方今自分で言ったんでしょ?』
『じ、実は……本番がめちゃめちゃ不安でどうしたら良いか分からないんです……』

 泣き顔になったついでにセレネは急に不安な本音を漏らした。

『あらあら、可愛い子ねもっともっとこのメランさんに素直に色んな事を相談なさい』
『は、はぁ……』

 どちらが上官が分からなかった。

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