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2-プロローグ~EX夢部分
EX6 最後の地、最後の戦いⅢ 鳳凰騎(ほうおうき)
しおりを挟むセレネはひたすらに、北東の【タカラ山新城】麓の神聖連邦帝国軍本陣に帰投するであろう姫乃ソラーレの鳳凰機を探し求め、あれから途中何度も魔ローダーの小隊に出くわしては全て単騎で撃破して行く。それは鬼神の如き強さであった。
ドォーーーン! ドガーーーン!!
セレネの走りながらの腰だめの魔砲ライフルの連射で、数機のGSX-25Sが撃破される。
カチッカチッ
しかしさらに指がトリガーを引き続けても、もう発射される事は無かった。
『ちっ弾切れか! どけぇーーーーー!!』
ブンッッ
セレネはもはや換え弾倉も無くなった魔砲ライフルを敵機体に投げ付けると、そのまま得意の飛び蹴りで一機破壊し、続けて次々に剣で敵を切り裂いて行く。
ドォーン
森の中で立て続けに大きな爆発が起こった……
ザザザザザ……
まだまだセレネのXSV-1サクラは主敵を探し求めて木々をなぎ倒しさらにさらに走り続ける。
キラッ
不意にセレネの視線の先に南の山影に沿って進む、魔ローダーらしき物の反射光が見えた。
『何だ……』
セレネは高鳴る鼓動を抑え、必死に魔法カメラをズームアップする。
ヴィーー
『居た……信じられん……四つの翼、本当に鳳凰騎……』
鳳凰騎、神聖連邦帝国四旗機の筆頭と言いながらも、金輪等が有能な家臣に貸し与えられる事とは違い、鳳凰騎は純粋に聖帝一族専用機体であり、帝国の象徴とも言える真の旗機魔ローダーであった。
象徴旗機という性格上なのか、鳳凰騎は背中から七色の極彩色に派手に彩られた巨大な翼を持ち、さらに前胸部か鎖骨辺りからも鮮やかに金銀で縁取られた派手な色の翼を持ち、そして額には鳳凰の顔をモチーフとした仮面を被るという特異な形状をした目立つ超ド派手な機体であった……そんな機体が随伴機も無く本当に単騎で移動していた……
『あんな所にのこのこと……アレを倒せば同盟が昔に……戻れる……』
ザッザッザッザザザザザ、ザザザザザザザ……
セレネのXSV-1サクラは最初こそ慎重にゆっくりとだが、徐々に駆け足になりやがて最大戦速で駆け抜けると一気に背中を見せて無防備に歩く、派手な鳳凰騎に剣で後ろから斬りかかった。
シュイイイイン
『イヤァアアアアッ!! 覚悟ッッ!!!』
ガイイイイイインンンンン……
後ろから不意に斬りかかったのに鐘を鳴らした様な鈍い音が響き、セレネは混乱した。しかし一瞬で正気を取り戻して見ると、お姫さま専用の単なるお飾りの機体であると思い込んでいた鳳凰騎の身体前後の巨大な翼がガバッと展開し、振り返って何処に隠しもって居たのか超巨大な鎌を振り構えセレネの剣を弾いていた……
ブゥンッヒュンッ
休む事無く第二撃でさらにお互いの腕が素早く動く……
カキィンッギリギリギリ……
瞬時にセレネは二の太刀を浴びせていたが、やはり偶然では無く確実に鳳凰騎も実力で受け太刀して、大鎌と剣の間に激しい火花がバチバチと散った。
ギリッギリリリッ
『姫乃ソラーレ……この女、闘えるのかよ!?』
『当たり前です!』
即座に、清楚で澄んでいて美しいがかつ意志の籠った力強い声で応答があった……そしてそれはセレネの最愛の親友で、尊敬するかつての女王、雪乃フルエレと全く同じ声であった。
(くそっフルエレさんと同じ声でっ!!)
同じ声、そして同じ顔という事がセレネの憎悪を倍加させた。
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