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●サイドストーリー
❤️【外伝】─この手を離さない─【R指定】
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【相楽38歳頃のお話】
ある日の王室主催のパーティー。
国の守護者として、相楽侑利と城月隆臣は夜会に出席していた。
華やかな会場には貴族や要人が集まり、特に能力の問題が解決し、近寄りやすくなった相楽の周りには、憧れの眼差しを向ける令嬢たちが絶え間なかった。
一方の城月は、表立って避けられてはいないものの、彼に近づく娘たちは少なかった。
(……王女との騒動による黒い噂が未だ完全には払拭されていないのか)
令嬢達のさえずりをよそに、そんなことを考えながら城月を見ていると、いつの間にか研究者や学者たちが城月を取り囲み始めた。やがて、その真ん中で困ったように苦笑を浮かべる城月の元に、様子を見かねたのだろう、諏訪結星の姿が近づく。
(臣のことになると、諏訪様はやっぱり動くな……。俺が行ければ良かったんだが、この状況では行かない方が良い。今は助かった……)
内心ホッとしてそのまま城月を見守る。すると、気付いたのだろう、城月と目が合った。こちらの状況を見て一瞬ギョッとした表情を浮かべた城月に苦笑して返すと、何を思ったのか、真剣なまなざしと共に城月が頷いた。
(まさか……俺のところに来るつもりか!?)
嫌な予感が過る。
城月がチラリと諏訪に視線を戻すと、気付いたのか諏訪がひらひらと手を振った。それを何かの合図と思ったかのように、意を決した表情でずんずんと相楽の方へ歩を進める。
二人揃ってしまってはギャラリーを喜ばせるだけだ。相楽は内心焦って首を振った。
しかし、時既に遅し──。
「相楽!」
「城月……」
「まあ! 【紅玉の盾】の双翼が揃いましたわ!」
案の定人々の目にキラキラとした輝きが映りだし、人だかりは一層厚くなってしまった。
城月はようやく理解したのか、しまったとばかりに軽く引き攣った表情を浮かべている。
(助けに来たはずが、自分が囚われてしまったな……)
と、相楽は城月に向かって苦笑いした。
もはや、にっちもさっちもいかなくなった相楽と城月。そこに再び見かねた諏訪がやって来たかと思えば連れだしたのは城月だけ。ワタワタと焦る城月に「相楽くんなら大丈夫だよ。それより、友だちなんだからたまにはオレの相手もして欲しいんだけど」と、強引に連れ去っていく。何故城月だけなんだと腹立たしくなるも、今この場で城月を任せられるのは諏訪くらいなので、相楽はグッと堪える。
どのくらいの時間が過ぎただろうか、次々と入れ替わり立ち替わりやって来るギャラリーについに相楽も疲れ果てたその時、「私にも国防の騎士と話をさせて貰えるかな?」と、国王の姿が。
一気にギャラリーに隙間ができると、そのまま相楽を引き連れてパーティー会場の奥へと向かう。
「いやー、わが国の偉大なる騎士様となれば、人望があれほどになるのだね」
ニヤニヤと笑う国王に、相楽は疲れ切ったため息をついた。
「高みの見物をしてくださって、ありがとうございます」
「まぁね!」
相楽の嫌味も何のその、悪びれる様子もなく背中をバシンと叩く国王に、更に大きなため息を相楽はつく。
「まったく、こんな方が国王だとは」
「何だと? せっかく人が助け出したというにその言い草は。まぁいい、片翼の元に行くが良い。疲れただろう」
「ええ、とても疲れましたよ。暫く引き篭もって人を見ない生活をしたいくらいです」
「はは、今日はこれで退場し、自宅でゆっくりしたまえ」
「言われなくても」
「そうはっきり言われると、それはそれで寂しいのだがな……」
「なんなんですか……」
肩を落とす相楽にくくっと喉を鳴らして国王が笑う。
「さあ、ほら、行っておいで」
「ったく、ありがとうございます」
手を振る国王を横目に、相楽は足を速めた。
パーティー会場の片隅、椅子を並べて諏訪と談笑している城月の元へとまっすぐ向かう。
しかし、そんな相楽を揺さぶるような状況が、相楽の瞳に飛び込んでくるなど、誰が想像しただろう。
遠目に見える諏訪と楽しげな城月の姿に、急に胸の奥がさざ波だった。知らない顔を見た気がして、足が止まる。
諏訪と熱く語り合っている城月。会話内容など考えるまでもない、十中八九、魔道具のことだろう。
(すごく楽しそうだ……)
見たことがない学者然とした城月の様子に、胸が激しく締めつけられる。自分は必要とされていないような気がして、急いで首を振った。
俺と臣は共に在ると誓い合っているじゃないか。それなのに、どうして——
相楽は自分の足をたたくと気持ちを入れなおし、歩を進めた。
誰が何と言おうとも、城月の隣は自分なのだ。
□■□
「えっもう? お迎え早すぎじゃない? 相楽くん、たまには隆臣さんをオレに預けてくれてもいいんだよ?」
諏訪の声に顔を上げると、相楽の姿が城月の目に映った。
雰囲気は固く、張り詰めたような面持ちで立っている。
「相楽……」
「城月、待たせた」
疲れたような低い声。長年の勘で、城月は相楽のストレスが限界なのを察した。
(これは相当来てますね……)
そう思いながら立ち上がる。すると、諏訪が城月の手を取った。
今の相楽にこの行為を見られるのはまずいと一瞬思うも、振り払うことができず、諏訪の方を振り返る。
「隆臣さん、さっきの、約束だからね」
「はい。結星様。ありがとうございました」
「いえいえ。いい夜を、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
軽く会釈して相楽のとなりに城月は急いだ。
相楽も諏訪に向かい会釈をすると、「行くぞ」と言って歩き出す。
「あっ待ってください!」
城月は慌てて相楽の後を追った。
相楽の足は大股で速く、城月は小走りで続く。
やがて、相楽が足を止めたのは人気のない庭園だった。
□■□
「大丈夫ですか?」
立ち止まると同時に不安気な城月の声が後ろから聞こえてきた。
振り返れば心配そうな瞳をこちらに投げかけている。
「疲れちゃいましたよね。まさかあんなに人々に囲まれるとは思いもしませんでしたし」
相楽を落ち着かせようとしているのか、城月が苦笑しながら話す。その城月を相楽はジッと見つめた。
国王に促され、諏訪の元へ城月を迎えに行った辺りから胸をチリチリ刺す不快感が襲っていた。
「諏訪様と二人で何を話してたんだ?」
城月がえっと驚いたような顔を見せる。
「えっと、新しく発見した魔法工学の技術の話と、来月に魔石の即売会があるらしくて、その話を……」
「魔法工学、魔石……。魔道具か……」
瞬間、自分でも驚くほど、嫌な感情が相楽の中に込み上げた。胸をギュッと鷲掴みにされたようで苦しく痛む。
諏訪は城月の友人で、城月ももとは魔法工学研究所の職員。度々二人で出かけて魔道具の話をしているのは、城月とこうなる以前からのことで、分かりきっているのに、今日は全く受け入れることができない。
相楽は眉間に深い皺を寄せた。
城月も相楽の様子に気が付いたのか、相楽に近寄りそっと腕に手を添える。
「どうしたんですか、らしくないですよ……?」
思わず、その言葉に応えるように、相楽は城月をぐっと抱き寄せていた。
心の中がぐるぐると渦巻いて気持ちが悪い。
「さが──」
「……嫌だ」
思いが溢れる。
何だこの気持ちは。まるで冷たい嵐のような……。
「俺を……ひとりにしないでくれ……」
「侑利……」
いつの間にか両の腕に力が込められていたらしい。
腕の中で窮屈そうにもぞもぞと城月が動いて、相楽は腕を緩めた。
「す、すまな──」
「もしかして……やきもち、ですか?」
耳元で囁くように聞こえた城月の声。
はっとして恐る恐る城月を腕の中から解放すると、相楽は城月を見た。
普段と変わらないように見える城月。その様子に自分が情けなく感じられた。城月は相楽自身と双翼をなす騎士で、最愛の人で、パートナー登録もすませ、かけがえのない唯一無二と誓い合っているのに、不安に陥り嫉妬など。
しかし……胸を焦がすような、それでいて酷く冷たいこの感情が嫉妬であることは明らかで、相楽はそれを認めると、ゆっくりと頷いた。
城月からの返事は無かった。だが、やがて城月の足が前に踏み出し両腕が相楽の背中に回る。
「……そんな悲しげな顔をしないでください。私も、侑利、君が令嬢たちに囲まれているとき、嫉妬でどうにかなってしまいそうだったんですからね……!」
小さく消え入るような声。
相楽は驚いて城月を引き剥がした。
さっきとは打って変わり、苦しさと切なさを混ぜたような表情を……いや、先程も同じ表情だったのかも知れない……。
「私たち、一緒だったんですね」
城月が無理やり微笑んだのをみて、相楽は再び城月を抱き寄せた。
見上げる城月が、ホッとしたように身体から力を抜く。表情にも穏やかさが戻るのを見て、相楽はその優しげで幸せそうな雰囲気に目を奪われた。強く引き寄せて、唇を奪いたい衝動にかられるが、ここは庭園。理性がぐっと引き止める。
「帰ろう。国の象徴としての役割は終わった」
「そうですね」
二人は並んで帰路へつく。
□■□
帰宅して玄関のドアが閉じると同時に、相楽は城月の方へ向き直った。
「侑利?」
不思議そうに見返す城月を相楽はジッと見つめた。
「臣……」
「はい」
名前を呼ぶと、城月が優しく微笑む。
その微笑みは相楽の中に染みわたり、たまらなく相楽の心を癒した。
そっと腕を伸ばし、城月引き寄せる。
城月も満更ではないのか、瞳を閉じて相楽にその身を預けた。
城月の体温、匂い、今目の前にある城月を示すあらゆるモノが相楽を包み満たし刺激する。
もはや相楽の我慢は限界を超えていた。
城月の身体をドアに押し付けて、城月の唇に自らの唇を添える。驚いたのかギュッと締められた城月の口を舌でなぞって無理矢理こじ開けると、相楽は城月の口の中へ舌を滑り込ませた。
「んっぅ……!」
城月からたちまち甘い吐息が零れる。
深く重ねられた口付けは時に深さを変え角度を変え、2人の息が熱く絡み合っていく。
「臣……っ!」
相楽は、息苦しさで目を潤ませる城月を見つめた。
「……臣、お前を抱いて、俺のものだと確信したい。臣の身も、心も、全部、俺のものに……!」
真っ直ぐに向けられた熱の籠もる瞳。
城月がゆっくりと頷いた。
「……ずっと、私も侑利とそうしたいと思っていました。ふふ、私たち、どこまでも“一緒”ですね。……お願いがあります、侑利。私を抱いて。私にも侑利が私のものだと思わせてください……!」
「っ……臣!」
相楽は再び城月の唇を奪うとギュッとその身体を抱き寄せた。
□■□
城月の身体は平均的な男性より背が高いし、体格も騎士として筋肉があるため細いわけではない。けれどもそんな城月より背が高くガタイも良い相楽だ、城月の身体はすっぽりと包まれ、密接に触れ合う胸と胸は互いに互いを打ちつけて、気持ちがどんどん高まっていく。
やがて、相楽は城月の首筋へと唇を落とした。
「あっ……ゆ、侑利……」
「ん?」
焦ったような城月の声に、相楽の視線が動く。しかし、身体の動きは止まらない。
「ここ、で、は、嫌……です。せめて、ソファーかベッドに……」
トントンと背を叩かれて相楽は城月から離れた。ドアを背にして無理のある姿勢でバランスを保っている。
「あ、ああ、すまない。俺としたことが……」
「いえ、それだけ強く求めてくれたんですよね。嬉しいです」
恥ずかしそうに頬を染める城月に、胸がギュンと締めつけられる。
(かわいい……)
相楽は反射的に城月を抱きしめた。
「っ──!」
「えっちょ、さがっ!? あのっ! わあっ!」
城月を廊下に押し倒し、相楽はそれに覆いかぶさった。
戸惑いと期待が入り交じった城月の小豆色の瞳が相楽を煽るように見上げる。
相楽は一瞬躊躇した、けれどもう止められる気もしなかった。
揺れる瞳が交差する──最中、城月が相楽の頬を引き寄せると上体を起こして口付けた。
「どうぞ」
広げられた両腕に相楽は吸い込まれて行く。
□■□
とはいえ、さすがに背中が痛いだろうと、服を脱ぎながら二人はリビングにたどり着き、カーペットの上でしばし触れ合った後ようやくベッドに辿り着いた。
道中、相楽の丁寧すぎる愛撫と全身へ渡るキスによってとろけされられた城月が、焦点の合っていない酔った瞳で相楽を見上げる。
「もっとキスが……したい、です……」
「好きなのか?」
照れるように頷く城月へ微笑みながらキスを落とす相楽。しかし──
「臣……」
「はい……?」
「……限界、だ……」
「ふふ、私も……。相楽を、全て、下さい……」
「っ──!」
反射的に相楽は城月の腰を持ち上げると自分のそれをあてがう。
最終確認するかのように城月を見れば頷いて答えてくれた。
そして、相楽は城月の中へゆっくりと自身を送っていく。
「──っ! ぅあん!」
城月が声を出して身をよじる。
辛いのかと身体を止めれば、潤む瞳で訴えていた。
『やめないで』
「っ──!」
相楽はそのまま城月の奥深くまで入り込んだ。
痛い思いはさせたくないと、念のため治癒魔法を反り立つ自身に集中させておく。
それが逆に心地よさを増しているのかは知らないが、城月の呼吸も荒く、相楽が動くたびに甘い声が漏れた。
「侑利、ゆぅりぃ」
「臣……! 臣!」
互いの名を呼び合う。
呼ばれるたびに高まる気持ちが相楽を激しくさせていく。
「臣、お前、は、俺の、もの、だ……!」
「ゆう、りは……私の、です……!」
「……臣!」
「あっはっ、侑利ぃい! イっちゃ、イっちゃ、ぁぁああ──!」
瞬間、身体を震わせて城月自身から精が飛び出す。
腹部に花びらのようにまき散らして、その様がひどくいやらしく、相楽の神経をゾワゾワと逆撫でる。
相楽はソッと片手をうごかすと、城月のそれを掴んで扱きながら、とんとん腰を揺らし続けた。
城月の身体はビクビクと震え、焦るように首を振った。
「やめ、今イって……イったばかり、なのに! ……アッ、ああ……! 何かクる、キちゃう! ゆうりぃ……!」
「っ……!」
びくびくびくびく!
城月の中にいる相楽を包みこむように、キュウキュウと締めつけるような感覚。
城月が瞳をカッと目を見開いて身体全身から快感を逃そうと身をよじる。
相楽はそんな城月の身体を離さないとばかりに掴んだ。
「ぁああ──!」
「くっ、お、み……っ!」
相楽は何度か強く深く城月へ腰を打ちつけた後、城月の中、奥深くに愛を注ぎ込んだ。
相楽と城月は互いに肩で息をして、ゆっくりと見つめ合った。
涙をたたえ優しく微笑む城月に、思わず相楽も微笑む。そして、どちらでもなく唇が近付き、ソッと重ね合ったのだった。
□■□
翌朝。
隣でまだすやすやと寝息を立てている城月を眺めながら、相楽は幸せな気持ちに包まれていた。
お互いに身も心も相手のものになったというのはこんなにも心地よいのかという気持ちと共に、あの後城月に無理をさせたことを思い出して頭を抱える。
(何回したんだ……? 臣が可愛すぎて全く自分を止められなかった……。俺の良くないところだな……)
相楽は治癒魔法を持つ自分に深く感謝した。
それがなかったら今頃城月の尻がどうなっていただろう……、想像してゾッとしてしまう。
もぞ……。
布団が動く気配がして、様子を見れば、まだ眠たそうな目で城月がこちらを見上げていた。
相楽は手を頭に伸ばし、ゆっくりと寝癖のついた城月の髪を撫でる。城月がフワリと微笑んで、相楽の胸がキュッと締めつけられた。
「おはよう、ござい、ます。侑利」
擦れた声。
昨晩の激しさを物語るそれに、相楽は申し訳なさと共に、城月を抱きしめた。
「すまない、無理をさせた。身体は、大丈夫か?」
「ああ、ふふ。大丈夫ですよ。あの後、全身に治癒魔法をかけてくれましたでしょう? 気だるさはありますがどこも痛くはないですよ……。でも──」
「でも?」
「そんなになるくらいまで抱かれるとは思いませんでした」
「ぐっ……」
「良いんです。私も相楽が欲しかったので。お互い様、です」
「それでも……やりすぎた……」
「ふふ、私は嬉しかったですよ?」
そっと城月から離れる。
胸もとには昨晩の熱い思い出がいくつか残っていた。
治癒魔法で消すこともできるが、城月が嫌がり残した痕だ。
何故か恥ずかしさがこみ上げ視線を逸らす。
「朝飯、用意してくる。臣はまだ寝てろ。できたらここまで持ってくるから」
「はい。愛していますよ、侑利」
「ああ、俺もだ。愛してる」
二人は朝日の中互いを愛おしげに見つめ、微笑み合った。
ある日の王室主催のパーティー。
国の守護者として、相楽侑利と城月隆臣は夜会に出席していた。
華やかな会場には貴族や要人が集まり、特に能力の問題が解決し、近寄りやすくなった相楽の周りには、憧れの眼差しを向ける令嬢たちが絶え間なかった。
一方の城月は、表立って避けられてはいないものの、彼に近づく娘たちは少なかった。
(……王女との騒動による黒い噂が未だ完全には払拭されていないのか)
令嬢達のさえずりをよそに、そんなことを考えながら城月を見ていると、いつの間にか研究者や学者たちが城月を取り囲み始めた。やがて、その真ん中で困ったように苦笑を浮かべる城月の元に、様子を見かねたのだろう、諏訪結星の姿が近づく。
(臣のことになると、諏訪様はやっぱり動くな……。俺が行ければ良かったんだが、この状況では行かない方が良い。今は助かった……)
内心ホッとしてそのまま城月を見守る。すると、気付いたのだろう、城月と目が合った。こちらの状況を見て一瞬ギョッとした表情を浮かべた城月に苦笑して返すと、何を思ったのか、真剣なまなざしと共に城月が頷いた。
(まさか……俺のところに来るつもりか!?)
嫌な予感が過る。
城月がチラリと諏訪に視線を戻すと、気付いたのか諏訪がひらひらと手を振った。それを何かの合図と思ったかのように、意を決した表情でずんずんと相楽の方へ歩を進める。
二人揃ってしまってはギャラリーを喜ばせるだけだ。相楽は内心焦って首を振った。
しかし、時既に遅し──。
「相楽!」
「城月……」
「まあ! 【紅玉の盾】の双翼が揃いましたわ!」
案の定人々の目にキラキラとした輝きが映りだし、人だかりは一層厚くなってしまった。
城月はようやく理解したのか、しまったとばかりに軽く引き攣った表情を浮かべている。
(助けに来たはずが、自分が囚われてしまったな……)
と、相楽は城月に向かって苦笑いした。
もはや、にっちもさっちもいかなくなった相楽と城月。そこに再び見かねた諏訪がやって来たかと思えば連れだしたのは城月だけ。ワタワタと焦る城月に「相楽くんなら大丈夫だよ。それより、友だちなんだからたまにはオレの相手もして欲しいんだけど」と、強引に連れ去っていく。何故城月だけなんだと腹立たしくなるも、今この場で城月を任せられるのは諏訪くらいなので、相楽はグッと堪える。
どのくらいの時間が過ぎただろうか、次々と入れ替わり立ち替わりやって来るギャラリーについに相楽も疲れ果てたその時、「私にも国防の騎士と話をさせて貰えるかな?」と、国王の姿が。
一気にギャラリーに隙間ができると、そのまま相楽を引き連れてパーティー会場の奥へと向かう。
「いやー、わが国の偉大なる騎士様となれば、人望があれほどになるのだね」
ニヤニヤと笑う国王に、相楽は疲れ切ったため息をついた。
「高みの見物をしてくださって、ありがとうございます」
「まぁね!」
相楽の嫌味も何のその、悪びれる様子もなく背中をバシンと叩く国王に、更に大きなため息を相楽はつく。
「まったく、こんな方が国王だとは」
「何だと? せっかく人が助け出したというにその言い草は。まぁいい、片翼の元に行くが良い。疲れただろう」
「ええ、とても疲れましたよ。暫く引き篭もって人を見ない生活をしたいくらいです」
「はは、今日はこれで退場し、自宅でゆっくりしたまえ」
「言われなくても」
「そうはっきり言われると、それはそれで寂しいのだがな……」
「なんなんですか……」
肩を落とす相楽にくくっと喉を鳴らして国王が笑う。
「さあ、ほら、行っておいで」
「ったく、ありがとうございます」
手を振る国王を横目に、相楽は足を速めた。
パーティー会場の片隅、椅子を並べて諏訪と談笑している城月の元へとまっすぐ向かう。
しかし、そんな相楽を揺さぶるような状況が、相楽の瞳に飛び込んでくるなど、誰が想像しただろう。
遠目に見える諏訪と楽しげな城月の姿に、急に胸の奥がさざ波だった。知らない顔を見た気がして、足が止まる。
諏訪と熱く語り合っている城月。会話内容など考えるまでもない、十中八九、魔道具のことだろう。
(すごく楽しそうだ……)
見たことがない学者然とした城月の様子に、胸が激しく締めつけられる。自分は必要とされていないような気がして、急いで首を振った。
俺と臣は共に在ると誓い合っているじゃないか。それなのに、どうして——
相楽は自分の足をたたくと気持ちを入れなおし、歩を進めた。
誰が何と言おうとも、城月の隣は自分なのだ。
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「えっもう? お迎え早すぎじゃない? 相楽くん、たまには隆臣さんをオレに預けてくれてもいいんだよ?」
諏訪の声に顔を上げると、相楽の姿が城月の目に映った。
雰囲気は固く、張り詰めたような面持ちで立っている。
「相楽……」
「城月、待たせた」
疲れたような低い声。長年の勘で、城月は相楽のストレスが限界なのを察した。
(これは相当来てますね……)
そう思いながら立ち上がる。すると、諏訪が城月の手を取った。
今の相楽にこの行為を見られるのはまずいと一瞬思うも、振り払うことができず、諏訪の方を振り返る。
「隆臣さん、さっきの、約束だからね」
「はい。結星様。ありがとうございました」
「いえいえ。いい夜を、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
軽く会釈して相楽のとなりに城月は急いだ。
相楽も諏訪に向かい会釈をすると、「行くぞ」と言って歩き出す。
「あっ待ってください!」
城月は慌てて相楽の後を追った。
相楽の足は大股で速く、城月は小走りで続く。
やがて、相楽が足を止めたのは人気のない庭園だった。
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「大丈夫ですか?」
立ち止まると同時に不安気な城月の声が後ろから聞こえてきた。
振り返れば心配そうな瞳をこちらに投げかけている。
「疲れちゃいましたよね。まさかあんなに人々に囲まれるとは思いもしませんでしたし」
相楽を落ち着かせようとしているのか、城月が苦笑しながら話す。その城月を相楽はジッと見つめた。
国王に促され、諏訪の元へ城月を迎えに行った辺りから胸をチリチリ刺す不快感が襲っていた。
「諏訪様と二人で何を話してたんだ?」
城月がえっと驚いたような顔を見せる。
「えっと、新しく発見した魔法工学の技術の話と、来月に魔石の即売会があるらしくて、その話を……」
「魔法工学、魔石……。魔道具か……」
瞬間、自分でも驚くほど、嫌な感情が相楽の中に込み上げた。胸をギュッと鷲掴みにされたようで苦しく痛む。
諏訪は城月の友人で、城月ももとは魔法工学研究所の職員。度々二人で出かけて魔道具の話をしているのは、城月とこうなる以前からのことで、分かりきっているのに、今日は全く受け入れることができない。
相楽は眉間に深い皺を寄せた。
城月も相楽の様子に気が付いたのか、相楽に近寄りそっと腕に手を添える。
「どうしたんですか、らしくないですよ……?」
思わず、その言葉に応えるように、相楽は城月をぐっと抱き寄せていた。
心の中がぐるぐると渦巻いて気持ちが悪い。
「さが──」
「……嫌だ」
思いが溢れる。
何だこの気持ちは。まるで冷たい嵐のような……。
「俺を……ひとりにしないでくれ……」
「侑利……」
いつの間にか両の腕に力が込められていたらしい。
腕の中で窮屈そうにもぞもぞと城月が動いて、相楽は腕を緩めた。
「す、すまな──」
「もしかして……やきもち、ですか?」
耳元で囁くように聞こえた城月の声。
はっとして恐る恐る城月を腕の中から解放すると、相楽は城月を見た。
普段と変わらないように見える城月。その様子に自分が情けなく感じられた。城月は相楽自身と双翼をなす騎士で、最愛の人で、パートナー登録もすませ、かけがえのない唯一無二と誓い合っているのに、不安に陥り嫉妬など。
しかし……胸を焦がすような、それでいて酷く冷たいこの感情が嫉妬であることは明らかで、相楽はそれを認めると、ゆっくりと頷いた。
城月からの返事は無かった。だが、やがて城月の足が前に踏み出し両腕が相楽の背中に回る。
「……そんな悲しげな顔をしないでください。私も、侑利、君が令嬢たちに囲まれているとき、嫉妬でどうにかなってしまいそうだったんですからね……!」
小さく消え入るような声。
相楽は驚いて城月を引き剥がした。
さっきとは打って変わり、苦しさと切なさを混ぜたような表情を……いや、先程も同じ表情だったのかも知れない……。
「私たち、一緒だったんですね」
城月が無理やり微笑んだのをみて、相楽は再び城月を抱き寄せた。
見上げる城月が、ホッとしたように身体から力を抜く。表情にも穏やかさが戻るのを見て、相楽はその優しげで幸せそうな雰囲気に目を奪われた。強く引き寄せて、唇を奪いたい衝動にかられるが、ここは庭園。理性がぐっと引き止める。
「帰ろう。国の象徴としての役割は終わった」
「そうですね」
二人は並んで帰路へつく。
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帰宅して玄関のドアが閉じると同時に、相楽は城月の方へ向き直った。
「侑利?」
不思議そうに見返す城月を相楽はジッと見つめた。
「臣……」
「はい」
名前を呼ぶと、城月が優しく微笑む。
その微笑みは相楽の中に染みわたり、たまらなく相楽の心を癒した。
そっと腕を伸ばし、城月引き寄せる。
城月も満更ではないのか、瞳を閉じて相楽にその身を預けた。
城月の体温、匂い、今目の前にある城月を示すあらゆるモノが相楽を包み満たし刺激する。
もはや相楽の我慢は限界を超えていた。
城月の身体をドアに押し付けて、城月の唇に自らの唇を添える。驚いたのかギュッと締められた城月の口を舌でなぞって無理矢理こじ開けると、相楽は城月の口の中へ舌を滑り込ませた。
「んっぅ……!」
城月からたちまち甘い吐息が零れる。
深く重ねられた口付けは時に深さを変え角度を変え、2人の息が熱く絡み合っていく。
「臣……っ!」
相楽は、息苦しさで目を潤ませる城月を見つめた。
「……臣、お前を抱いて、俺のものだと確信したい。臣の身も、心も、全部、俺のものに……!」
真っ直ぐに向けられた熱の籠もる瞳。
城月がゆっくりと頷いた。
「……ずっと、私も侑利とそうしたいと思っていました。ふふ、私たち、どこまでも“一緒”ですね。……お願いがあります、侑利。私を抱いて。私にも侑利が私のものだと思わせてください……!」
「っ……臣!」
相楽は再び城月の唇を奪うとギュッとその身体を抱き寄せた。
□■□
城月の身体は平均的な男性より背が高いし、体格も騎士として筋肉があるため細いわけではない。けれどもそんな城月より背が高くガタイも良い相楽だ、城月の身体はすっぽりと包まれ、密接に触れ合う胸と胸は互いに互いを打ちつけて、気持ちがどんどん高まっていく。
やがて、相楽は城月の首筋へと唇を落とした。
「あっ……ゆ、侑利……」
「ん?」
焦ったような城月の声に、相楽の視線が動く。しかし、身体の動きは止まらない。
「ここ、で、は、嫌……です。せめて、ソファーかベッドに……」
トントンと背を叩かれて相楽は城月から離れた。ドアを背にして無理のある姿勢でバランスを保っている。
「あ、ああ、すまない。俺としたことが……」
「いえ、それだけ強く求めてくれたんですよね。嬉しいです」
恥ずかしそうに頬を染める城月に、胸がギュンと締めつけられる。
(かわいい……)
相楽は反射的に城月を抱きしめた。
「っ──!」
「えっちょ、さがっ!? あのっ! わあっ!」
城月を廊下に押し倒し、相楽はそれに覆いかぶさった。
戸惑いと期待が入り交じった城月の小豆色の瞳が相楽を煽るように見上げる。
相楽は一瞬躊躇した、けれどもう止められる気もしなかった。
揺れる瞳が交差する──最中、城月が相楽の頬を引き寄せると上体を起こして口付けた。
「どうぞ」
広げられた両腕に相楽は吸い込まれて行く。
□■□
とはいえ、さすがに背中が痛いだろうと、服を脱ぎながら二人はリビングにたどり着き、カーペットの上でしばし触れ合った後ようやくベッドに辿り着いた。
道中、相楽の丁寧すぎる愛撫と全身へ渡るキスによってとろけされられた城月が、焦点の合っていない酔った瞳で相楽を見上げる。
「もっとキスが……したい、です……」
「好きなのか?」
照れるように頷く城月へ微笑みながらキスを落とす相楽。しかし──
「臣……」
「はい……?」
「……限界、だ……」
「ふふ、私も……。相楽を、全て、下さい……」
「っ──!」
反射的に相楽は城月の腰を持ち上げると自分のそれをあてがう。
最終確認するかのように城月を見れば頷いて答えてくれた。
そして、相楽は城月の中へゆっくりと自身を送っていく。
「──っ! ぅあん!」
城月が声を出して身をよじる。
辛いのかと身体を止めれば、潤む瞳で訴えていた。
『やめないで』
「っ──!」
相楽はそのまま城月の奥深くまで入り込んだ。
痛い思いはさせたくないと、念のため治癒魔法を反り立つ自身に集中させておく。
それが逆に心地よさを増しているのかは知らないが、城月の呼吸も荒く、相楽が動くたびに甘い声が漏れた。
「侑利、ゆぅりぃ」
「臣……! 臣!」
互いの名を呼び合う。
呼ばれるたびに高まる気持ちが相楽を激しくさせていく。
「臣、お前、は、俺の、もの、だ……!」
「ゆう、りは……私の、です……!」
「……臣!」
「あっはっ、侑利ぃい! イっちゃ、イっちゃ、ぁぁああ──!」
瞬間、身体を震わせて城月自身から精が飛び出す。
腹部に花びらのようにまき散らして、その様がひどくいやらしく、相楽の神経をゾワゾワと逆撫でる。
相楽はソッと片手をうごかすと、城月のそれを掴んで扱きながら、とんとん腰を揺らし続けた。
城月の身体はビクビクと震え、焦るように首を振った。
「やめ、今イって……イったばかり、なのに! ……アッ、ああ……! 何かクる、キちゃう! ゆうりぃ……!」
「っ……!」
びくびくびくびく!
城月の中にいる相楽を包みこむように、キュウキュウと締めつけるような感覚。
城月が瞳をカッと目を見開いて身体全身から快感を逃そうと身をよじる。
相楽はそんな城月の身体を離さないとばかりに掴んだ。
「ぁああ──!」
「くっ、お、み……っ!」
相楽は何度か強く深く城月へ腰を打ちつけた後、城月の中、奥深くに愛を注ぎ込んだ。
相楽と城月は互いに肩で息をして、ゆっくりと見つめ合った。
涙をたたえ優しく微笑む城月に、思わず相楽も微笑む。そして、どちらでもなく唇が近付き、ソッと重ね合ったのだった。
□■□
翌朝。
隣でまだすやすやと寝息を立てている城月を眺めながら、相楽は幸せな気持ちに包まれていた。
お互いに身も心も相手のものになったというのはこんなにも心地よいのかという気持ちと共に、あの後城月に無理をさせたことを思い出して頭を抱える。
(何回したんだ……? 臣が可愛すぎて全く自分を止められなかった……。俺の良くないところだな……)
相楽は治癒魔法を持つ自分に深く感謝した。
それがなかったら今頃城月の尻がどうなっていただろう……、想像してゾッとしてしまう。
もぞ……。
布団が動く気配がして、様子を見れば、まだ眠たそうな目で城月がこちらを見上げていた。
相楽は手を頭に伸ばし、ゆっくりと寝癖のついた城月の髪を撫でる。城月がフワリと微笑んで、相楽の胸がキュッと締めつけられた。
「おはよう、ござい、ます。侑利」
擦れた声。
昨晩の激しさを物語るそれに、相楽は申し訳なさと共に、城月を抱きしめた。
「すまない、無理をさせた。身体は、大丈夫か?」
「ああ、ふふ。大丈夫ですよ。あの後、全身に治癒魔法をかけてくれましたでしょう? 気だるさはありますがどこも痛くはないですよ……。でも──」
「でも?」
「そんなになるくらいまで抱かれるとは思いませんでした」
「ぐっ……」
「良いんです。私も相楽が欲しかったので。お互い様、です」
「それでも……やりすぎた……」
「ふふ、私は嬉しかったですよ?」
そっと城月から離れる。
胸もとには昨晩の熱い思い出がいくつか残っていた。
治癒魔法で消すこともできるが、城月が嫌がり残した痕だ。
何故か恥ずかしさがこみ上げ視線を逸らす。
「朝飯、用意してくる。臣はまだ寝てろ。できたらここまで持ってくるから」
「はい。愛していますよ、侑利」
「ああ、俺もだ。愛してる」
二人は朝日の中互いを愛おしげに見つめ、微笑み合った。
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