白龍は祈り紡ぐ、異界最強を〜安寧望み描いて覇道を往く〜

代永 並木

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一章 目覚め

5話 ☆物体操作、ゴーレム制作

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 探しても洞窟らしいものは見つからない。
 ちょうど崖になっているから、崖に沿って歩けば見つけられると思っていたけれど、そう簡単な話ではなかったようだ。

 ……崖沿いをってのは安直な考えだったかな。洞窟ないと雨が降った時に困るなぁ

 少し焦りが生じる。
 洞窟が見つからないと、雨風をしのげない。
 このまま雨を浴びて水に濡れては最悪、風邪をひいてしまう。
 風邪をひくと、体力を奪われ身体が弱る。
 こんな状況で弱ったら、死ぬ可能性が高まる。

 この森にはわかっている限りでも、2m以上はある巨体のオオカミが出てくる。
 身体が弱った時に襲われてしまったら、勝てるかは分からない。
 弱った身体では、移動や捜索も難しくなる。
 もっともこの身体が雨に濡れて風邪になるかは分からないけれど、正直、僕の想定より頑丈な可能性は高い。
 ただ注意しておくに越したことはない。
 考えながら洞窟を探す。

「……あっ」

 いつの間にか水場からかなり距離が離れている場所を、歩いていることに気がついた。
 既に体感だけど、結構歩いた気もする。
 考えながら歩いたせいだろうか。

 ……薄暗い、もうそんな時間?

 見渡すと、周囲が少し暗くなっている。
 夜、ではまだなさそうだけど、夕方くらいの時刻にはなっていそうだ。
 今日、一日中森の中をさまよっていた。

 ……水場に戻ろう

 夜深くなる前に、水場に向かう。
 崖沿いにまっすぐ進んだため、同じように崖沿いを歩いて向かう。
 崖から離れて歩かないように気をつける。
 崖を見失ったら、迷子になりかねない。

 完全に暗くなった頃に、水場に着いた。
 水場の近くには、今日採った果実が無造作に地面に転がっている。

「お腹はあまり減ってないし今はいいか」

 お腹は減っていない。
 歩いたり、走ったり、戦闘をしたりと、結構動き回ったというのにだ。
 余程この身体の燃費がよいのだろう。燃費が良い事は便利でありがたい。
 今は、お腹は減っていないので、これらの果実は明日の朝用に取っておく。

 ……あの岩良さそうな形してる

 近くに、ちょうど良い大きさの岩を見つけた。
 その岩を水場の近くまで運ぶ。
 力が強く、少し苦労をした程度で岩を運べた。
 身体能力強化の力を使ったのと、岩があまり大きくはなかった事も理由だろうけど、この身体はとんでもない怪力を持っているようだ。
 岩に寄りかかって地面に座り込む。

「明日はどうしようかな」

 明日の行動を決める。
 現状、食に関しては目星がついている。
 果実類以外にも、ここなら魚も取れるから多分、食料の問題はない。
 住は目当てだった洞窟は、見つからなかった。
 この水場付近の崖にはないようだ。
 残念ながら一日で食住を確保できるほど、現実は甘くはなかった。

「明日も洞窟探しかな。いやでもなぁ。今日探した範囲以上の距離にあっても……」

 捜索した以上の距離は、移動が問題になる。
 毎日使う水場と洞窟の距離が遠ければ、それに時間と体力を多く取られてしまう。
 水を持ち運べたらいいけれど、このボロボロの服以外に、何も持っていない僕には水を運ぶことは困難だ。

 ……あっ、そうだ

 片目に指で触れる。
 炎と身体能力強化の力、この2つしか使っていないけど他にもまだ能力があった。
 何か使える力があるかもしれない。
 現状を打開する力でなくてもいい、この際使える力ならなんでもいい。

 ……ええっと、持ってる能力はあと3つか。毒と防御と物体操作……物体操作?

 良さそうな力が見つかった。
 物体操作、物体を操る力だろうか。

「ふむふむ、これは……こうか」

 切り替えて物体操作の力を行使する。
 ちょうど運んだ岩に、その力を使う。
 すると岩の形が変化していき人型に近い頭と胴体、2本ずつの手足を持つ岩の人形となった。

 ……おぉ、ゴーレムだ。これなら人手が増えるからやれることが増えるのでは

 続けてゴーレムに動くように命じると、ゆっくりとだが確実に動き出す。
 色々と命令を出して試した結果、複雑な動きには対応ができないということが分かった。
 それでも簡単な動き、物の運搬のような事は可能のようだ。
 近くに他にも岩があり、同じやり方で岩のゴーレム2体目を作った。
 岩だけでなく、土のゴーレムも作り出した。
 岩のゴーレムに果実を持たせておく。
 虫や獣に持っていかれないように。

「今作れる数は3体までか。あまり大きいものも作れない。他と比べてかなり劣る性能なのは……まぁいいか」

 他の力に比べて劣っているように感じる。
 劣っていても今、使える力なだけ有難い。
 毒に関しては、本当にいらない。使う場面があっても正直使いたくもない。

「よし、人手が増えたのなら話は変わる。これならワンチャン作れるかも……ふぁぁ」

 僕は大きな欠伸をした。
 眠気が来た。
 どうやら体感以上にゴーレムの操作の確認に、時間をかけていたらしい。
 もう夜深くなっていた。
 気づいた時には、眠気が強くなっていた。
 もう上手く頭が回らない。

 ……仕方ない、明日の行動を考えるのも明日に回そう。時間はある落ち着いてやろう……

 軽く立ち上がった時、ボロ衣が肩から滑り降り、ボロンと乳房が露出してしまった。
 露出した胸に風が当たりくすぐったいが、僕は眠気でそれどころではなく、スルーする。
 岩のゴーレムを見張りに置く。
 そして、土のゴーレムの足を枕にできるようにして倒れるように横になる。
 そのまま、眠りにつく。
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