白龍は祈り紡ぐ、異界最強を〜安寧望み描いて覇道を往く〜

代永 並木

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二章 危険襲来

13話 飛竜を圧倒

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 蛇のような細長い胴体に、コウモリのような大きな一対の翼。
 飛竜に似た龍の顔に、輝く2つの宝石の目。
 全長は、飛竜を優に超える長さを持つ。
 その身体は、光り輝く美しい純白であった。

「蛇龍種の混ざり物……それも白色だと」

 飛竜は僕の姿を見て、狼狽している。
 飛竜の表情には驚きと困惑に近い感情が、混じっているように感じる。
 この辺には生息していないタイプか、はたまた僕の姿が珍しい類なのか。
 どちらにしても、今はどうでもいいし気にする話じゃない。
 この姿で全力で飛竜を叩き潰す。
 しっぽを振るって、飛竜の胴体に勢いよく叩きつける。
 飛竜は動揺していたせいか、反応できずにしっぽの一撃をくらう。
 大きな衝撃音が響き、大きくよろめき怯む。

「グッ……」

 ゴーレムの攻撃では通じなかったけど、僕の一撃は通じるようだ。
 流石は龍の肉体、強い。
 飛竜は体勢を直して、すぐに炎を吐こうと口に溜め始める。

 ……炎……だけど、こっちの方が早い

 僕の片目が、炎のような赤色に光る。
 そして、目の前に炎が出現する
 メラメラと燃え上がる炎
 その炎をそのまま放つのでなく、複数の炎の球に分割していく。
 飛龍が炎を溜めおえる前に、分割した炎の球を飛ばして先に攻撃を仕掛けた。
 時間がかかるのなら、その前に叩く。
 飛竜は溜めている途中で、僕の攻撃を迎え撃つために炎を放つ。
 炎の一部は相殺され、火の破片が飛び散る。
 しかし、一部だけで相殺されなかった残りの炎の球が、飛竜の身体に命中して鱗が少し焼ける。

「どうした」

 僕は再び大きく振り上げたしっぽを、力を込めて叩きつけた。
 飛竜は、その衝撃で怯む。
 飛竜の反応からして、攻撃が効いている。
 もう片目の宝石が緑色に光る。
 土が巨大な手のような形に変貌して、飛竜の4本の足を力強く掴む。
 逃さないように、強く掴んでいる。

 抜け出そうと動きもがいている飛竜めがけて、しっぽで攻撃を仕掛ける。
 攻撃を受ける度に、次々と飛竜のウロコは削れ剥がれていく。
 飛竜は何とか土の手から抜け出して、爪を立てて引っ掻いてくる。
 硬いものがぶつかるような音を立てて、ウロコに微かなかすり傷がつく。

 痛みはない、どうやらウロコ自体に痛覚器官はないようだ。
 痛みが無いのはありがたい。
 反撃で飛竜の長い首に強く噛みつく。

 ……投げ飛ばす!

 そして、力いっぱい飛竜の身体を振り上げて、身体をうねらせて砲丸投げのように投げ飛ばす。
 飛竜は、森の木々をなぎ払いながら、地面を転がっていく。

 ……木々が……いや、戦闘で森に被害出るのは仕方ないか

 こんな森の中で激しい戦闘を行うなら、被害が出るのは仕方がない。
 元々飛竜の炎で付近の木々は、既に燃えていたりするから今更だ。
 ただ炎が燃え広がっていない事を祈る。

 ……まだ戦う気はあるかな。結構、良い感じに攻撃入れたけど

 翼で上空に移動して、飛竜の姿を見やすい位置に陣取る。
 追撃はせずに、飛竜が立ち上がるのを待つ。
あれらの攻撃は、入り具合からしてまだ致命傷にはなっていないはずだ。

 言った通り、僕は同族を殺す気はない。
 戦闘の意思がなくなり逃げるのなら追わない。
 もっとも攻撃をされた時用には、きちんと迎撃の準備はしている。

 今の攻防で何となく分かった、どうやら僕の方が強いようだ。
 飛竜は炎しか使ってこない。
 一方、僕は複数の力を使える、その差は戦闘では非常に大きい。
 実は他にも使えるけど、紛い物と侮ってるところからして出し渋っている、とも考えられる。
 だがそれにしては、使うのが遅すぎるからないとは思う。
 飛竜の状態は、まだ満身創痍とは言わないけれど、既に追い詰められている状態だ。
 飛竜はよろめきながらも、立ち上がる。
 そして、僕の方を見る。

「混ざりものがなぜこれほどの力を」
「……僕はおそらく君の言う混ざり物ではない」

 対話のチャンスと思い喋る。
 混ざり物、その心当たりはある。
 だけど強さで、判別されるならおそらく違う。

 僕の心当たりは、龍の身体に人の魂が入っていることによる相当珍しい、イレギュラーとしての混ざり物の認識。
 でもそれは、強さとは何の関係もない。
 実際に飛竜を圧倒出来ているところを考えて、判断基準にはならない。
 ならば、飛竜の言う混ざり物は、別の意味だと考えられる。

「どういうことだ」

 僕が考えているのは、推測の域を出ない話、だけど飛竜に話す。
 どうやって判断しているか、気になるところ。

「僕は龍と人、いや、他生物との混血種ではない。おそらく君と同じ純粋な龍」

 飛竜の言う混ざりものとは異種族のハーフ、人と龍の血を引く者という仮説。
 それなら、確かに混ざり物と呼んでも、不自然ではない。
 もっともこの身体は、正真正銘純度100%の龍の血を持つ。だから、その仮説の異種族ハーフには当てはまらない。

「そのオーラで混血種ではないと言うか」

 ……オーラ、なるほど何か龍独自の判別方法があるのか。それで勘違いしているか

 飛竜に見えている僕のオーラが、紛い物、混血種に近いのだろう。
 それなら勘違いは、仕方がない。
 僕も飛竜側の立場なら、勘違いするだろう。

「その話は少々ややこしい。別の理由で混ざり物に見える……これ以上話す必要もないか。戦いを続けるか逃げるか選べ」

 話を切り上げる。
 僕の話は、凄いややこしい話だ。
 信じられるとは思えない。
 その上、飛竜側がオーラという判別方法を完全に信じているのなら、こちらが何を言おうと聞くとも思えない。

 今、重要なことはこれではない。
 戦いを続けるか否か、これが重要だ。
 こっちとしては、小屋を燃やされた分の攻撃は済ませたつもりだ。
 もう攻撃をする気は無い。

「見逃すのか」
「そちらがどう思っているかは分からないけど、僕は同族を殺す気はない。まだやる気ならその限りではないけど」

 飛竜は、傷口から血を流している。
 特に首元は噛み付いたということもあって、一部のウロコが砕け真っ赤に染まり痛々しい。
 静寂が訪れる。
 火で草木が焦げた臭いが、鼻腔をくすぐる。

 飛竜は戦意を喪失したのか、静かに翼を広げて羽ばたく。
 最後に僕の方へ一瞥だけして、森の上を何も言わず飛び去っていった。
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