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社畜 優勢

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拮抗したまま時間だけが過ぎていく
触手の猛攻を炎で防ぎ炎で魔物に攻撃をする
2人は攻撃を受けていない
触手の攻撃は激しいが炎の防御を突破出来ず焼かれている
(埒が明かない)

「再生持ちの弱点とか知ってる?」
「すみません再生持ちの情報は持ってません。聞いた事も無いので」
「そうか……」
「力になれずすみません」
「拘束と攻撃充分役に立ってるよ。問題はあれの倒し方が分からないこと何か無いのか」

天音はハッとして配信のコメントを見始める
リスナーが何か思いついているもしくは知っている可能性がある

『頑張れー』
『攻撃は防げてるあとは削るだけ』
『その削るのが難しいんだよなぁ』
『まじで弱点なんなんだろな?』
『やっぱコアがあるとかじゃね?』
『それか再生限界……それ以外だとこいつは遠隔とか?』
『中ボスエリアの方にいたやつが本体でこいつは不死身の分身?』
『無いとは言えないのがなぁ……そうだとしたら戻らないとだけど攻撃されてるからスーツの人残らないとだし』
『捌きながら戻る……追いかけてきたら挟み撃ちだもんなぁ』

(さすがに知ってる人は居ない……コア、再生限界、分身……コアだとしたら勝ち目はある)
コメントの1つのコアという点に注目する
身体の中にコアがあるのならそのコアを破壊すれば倒せる
今までの取り敢えず当てるという戦法で当たらないのは理解出来る
問題はそのコアが何処にあるか
(コア……腕は無い焼かれてる、焼かれてない部分? それは胴体か頭? いや胴体は当たってる、そもそも広範囲の一撃で全身に当たっているはず……当たっていても内部まで届く前に再生されてる? だとしたら……まず頭から)
天音は考える

「頭を狙ってください!」
「……わかった」

突然の事で理解は出来ないが何か作戦があるのだと思い言う通りにする
黒いモヤで見えないが触手が飛んでくる位置を肩と見なして人型として推測、大体の頭の位置を割り出す
そしてその場所に炎を飛ばす
魔物は触手で防ぐ、初めて防御した

『おぉ防御した』
『頭弱点か?』
『コアがあるのかも』
『焼き払っちゃえ!』
『弱点が分かったなら攻めるまで!』

「ビンゴ」
「説明欲しいかも」
「恐らくコアのようなもの、もしくは頭が再生のキーなんだと思います……今までは攻撃を防がなかったのに攻撃を防いだと言う事はそこは攻撃を喰らいたくない場所」

触手による攻撃が飛んでくる

「鎖よ縛って!」

鎖で4本封じて剣を振るって触手を斬る
(切れる、硬くないなら私でも捌ける)

「攻撃に集中してください、触手は私が斬ります」

『天音ちゃん前線!?』
『はぁ!?』
『それは無茶だろ』
『天音ちゃんは身体強化系じゃない、捌き切るのは無理だ』
『触手切れると言っても数が多く早い』

剣を構える
今の頭を狙った攻撃で警戒度は上がり魔物は2人の接近を許さない
中距離で戦えるのは蓮二、天音の持つ剣の能力ではビクともしない
天音が触手による攻撃を防ぎ少しでも多く蓮二の攻撃の手数を増やす
それが現状の打開策、無茶も無理も承知の上、他に策が無い
防具を付けている天音なら一発なら防具越しに直撃しても死なない

「……分かった」

探索者としては天音の方が歴が長い
素人同然の蓮二より最適な行動を取れる
ここで蓮二が危険だと言って他の策を練る時間があるとは限らない、このままではどちらも死ぬ
今の蓮二に出来ることは危険だと言って止める事ではなく天音が捌き切れないほどの攻撃が来る前に異能であの魔物を仕留める事
(自分より年下の女性に守って貰う……最悪だな、俺が弱いばかりに危険を晒させる)
弱い自分に怒りが湧く
3級の魔物を一撃で倒せる力があるなんて言っても今ここで魔物を倒す力が無ければそれは無意味なのだ
(倒す、出来なきゃここで死ね。てめぇの命を使え)
蓮二の周りの炎が更に燃え上がる、炎が増え火力が高まる
触手を避けて頭を狙って放つ
激しく燃える炎が放たれる
魔物は触手で防ぐ、触手が焼け落ちる
新しい触手を盾のように出しながら数本の触手で殴り掛かる
天音が鎖による拘束と剣による斬撃で触手を切る
攻撃の時に隣に行き炎を放つ

「防がれるな……」

最初に溜めなしで炎を放ち続いて溜めた炎を放つ
最初の攻撃で防御の触手を燃やして本命は次の爆発するように前方に広がる広範囲攻撃
全身を焼く炎
(恐らく先程の炎より範囲が広い分火力が低いんだろうな)
広範囲の方は炎が広がる、広がる分一点突破の炎に比べて威力が落ちる
だが触手の防御が間に合わず燃える

『おぉ!』
『今だ攻めろぉ!』
『いけぇ!』
『やれぇぇぇ!』
『2人とも頑張れー!』

すぐに再生が始まる

「鎖よ縛って!」

天音は鎖で拘束する
剣を振るい氷の礫を飛ばして再生を妨害する
蓮二も炎を飛ばす、魔物は先に再生の早い触手を再生させて攻撃を防御する

「畳み掛ける」

この機を逃さないように炎で畳み掛ける
魔物は触手の再生と数を増やして抵抗するが抑えていく
触手の何本かを攻撃に使う
天音が剣で対応しようとするが触手の速度が先程よりも速い
攻撃を食らうと理解する、防御も間に合わない
(間に合わない)
覚悟を決めた瞬間目の前の触手は焼き尽くされる
蓮二が守ったのだ

「ありがとうございます」
「畳み掛けるぞ」
「はい!」

再生が終わる前にごり押す
鎖を破壊されても使えるようになったら即発動して妨害する
魔物は天音の拘束と炎の攻撃の対応に苦戦する
触手で防げると言っても一撃でその触手は焼かれる
触手を再生し続けても本体を再生できない、押されたままでは限界が来る

『押してるぞ!』
『いけいけ!』
『これなら勝てる!』
『再生する前に叩け!』

地面を強く叩く
階層が揺れる、2人は大きく体勢を崩す
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