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社畜 罠を壊す

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二階層
地図によればこの先から罠がある
炎を漂わせて警戒する

「矢が飛んできます」
「わかった」

蓮二が先に降りる

『ちょっ罠あるって!』
『無警戒過ぎない?』
『いや警戒してるぞ。というかあれは多分』
『なんか分かる気がする』
『何かをしようとしてる?』

矢は階段を降り切ったと同時に放たれる
仕組み上撃つ瞬間まで壁に隠れているという
階段を降りている最中に手のひらに炎を集める
(重視するのは速度)
直線上に飛んでくる矢ならその罠の位置は大体わかる
階段を降り切る
ガコンと音がして矢が飛んでくる、炎を放ち矢を焼き払いそのままの勢いで仕掛けを燃やす

『わぁお』
『破壊しおった……』
『罠破壊……』
『まぁたしかに頑丈なのは部屋を構成してる周りだけで罠まで硬いとは限らないけども』
『それを実行するかぁ』
『あれ矢を放つ時しか開かないから狙うなら今しかないけど一発成功まじかァ』
『まさかそんな攻略法があるとはな』
『あったとしても出来る人少ないと思う』

「まさか罠を壊すとは、いやぁ私も前に試したんだが無理だったんだよな」
「無理だったんだ」
「あぁ、能力を持つ武器を使ったんだが当たりはしたが壊れなくてな」
「結構硬いのか」
「結構硬いね。よしその調子で罠ぶっ壊していこう」
「そのつもり」
「無茶苦茶な……考えついても実行する人自体少ないですよそれ……」

『同意』
『そもそも考えつく?』
『対策としては考えても実行は……』
『あの二人罠と聞いて取り敢えずで壊し行ってない?』
『ありそう。罠あるのかなら壊すかくらいな考えしてそう』

「あぁ、うんその考えだ」
「確かに罠は面倒だから破壊できたらするつもりだった」
「最初に思いつくのが回避とか防御じゃないんですね」
「防御は炎で焼けばいいかなと……」
「矢ごときならぶった切ればいい」
「脳筋コンビ」
「やはり筋肉こそ正義なのだよ」
「まぁ暴力は最も容易いから」

『闇を感じた』
『わかる』
『怖っ』
『ひえっ』

3人は進んでいく、地図によると罠はそこまで多くは無い
だが魔物の数と頻度が高まると書かれている

「魔物が増えるそうです」
「了解」
「分かった」

天音が地図を見て指示を出す
天音は戦闘中に次の階層の流れを確認する
4級の魔物であれば2人に任せておけば問題ない
(今の位置はここ……うん? ……しまっ)
間違いに気づく
この位置は背後に魔物が湧く位置
短剣を取り出して振り向く
魔物はすぐそばに居て鋭い爪を持つ手を振りかぶっていた
間に合わない
振りかぶった魔物の手が炎を焼かれる
(常に味方の位置は確認する)
戦いながら炎を放った
助ける為なら一切の躊躇は無い
風の短剣で魔物を吹き飛ばす

『おぉ』
『ニワトリ君すげぇ』
『ニワトリ君ナイス!』
『あの距離で天音ちゃんに当てずに魔物の腕を焼いたのか』
『怖ぇ』

魔物と対峙する際の恐怖は無くなっていた
剣を抜いて戦って今魔物を両断して吹き飛ばされた魔物に炎を飛ばして焼き尽くす

「大丈夫?」
「は、はい! 助かりました」
「全く、気をつけろよ~」
「ちゃんと気をつける」
「行こう」

魔物を倒して進んでいく
そして次の罠の元に行く

「罠があります」
「ここなんだっけ?」
「確か大岩じゃなかったか?」
「はい、そうです。大岩がそこの坂から転がってきます」
「質量の暴力じゃん」
「炎で破壊できるかな」
「どうでしょう」
「流石に無理じゃない?」
「一応やって見る」

炎を手のひらに集めて圧縮する
範囲を狭めた高威力で炎を散弾のように飛ばす
圧縮するだけ威力が上がる

「この罠は……これですね」

天音が壁の一部に指を差す

「スイッチ型か。押したら出てくるってことか」
「はい、なので押さなければ大丈夫です。スルー出来ますが」

『スルーできるのか』
『ボタン式なら注意すれば問題ないな』
『大岩は対応きついもんねぇ』
『てかどうやって対応するんだ?逃げる?』
『どこに?』
『わからん』

「鶏君どうする?」
「……試したい」

『おっと』
『おや空気が』
『まさか』
『いやないでしょ流石に』
『それはフラグっていうんだぜ』

「準備は?」
「出来てる」
「よし!」
「私逃げますね」
「ははは、死なば諸共だ」

逃げようとする天音を捕まえて勢いよくスイッチを叩く
ガゴンと音を立ててズズっと何かが開く音がしてゴロゴロと何かが転がる音がする
重い物が降りてきている

「洒落になってませんがぁぁ!」
「大丈夫だ、鶏君を信じろ」
「流石に無理だけど!?」

天音は叫ぶ
これは間違いなく命の危機だ
蓮二が大岩を破壊出来なければ3人とも押し潰される
大岩が物凄い速度で転がってくる

『ひぃ』
『逃げて!?』
『死んじゃうよ!?』
『ひえぇぇ』
『ニワトリ君ファイアー!』
『ファイアー!』
『やっちゃえ!』

「あぁ何だこの岩なら余裕だ」

炎を大岩に放つ
炎は散弾のように炎を散らして大岩に襲いかかる
大岩は炎によって粉砕され破片が飛び散る
炎で破片を防御する

「こ、怖かった……」

天音はホッとしてその場に座り込む

『すげぇ』
『まじか壊した』
『ニワトリ君強ぇ』
『罠を容易く破壊しやがった』
『バケモンだなぁ』

「天音さんごめんね」
「せめてやる時は私だけは避難させてください」
「いや別に僕は逃げるなとは言ってないんだけど」
「私が止めた。いい物見れたろ」
「獅子神~」

風の短剣を向ける

「攻撃力は無いとはいえそれは洒落にならん」
「問答無用!」

風を起こして一鬼を壁に叩きつける

「痛た」

『天音ちゃん切れた』
『切れたね』
『怖ぇ』
『怒らせたらダメだなあれは』

壁に叩きつけられた一鬼は痛そうにする
(流石に壁に叩きつけるのはやばくないか?)
蓮二は狼狽えてる

「大丈夫大丈夫、天音は頭打たないようにしてるから」
「そ、そっかなら大丈夫か」
「次やったら鶏さんも同じ目に合わせますからね?」
「気をつけます」

3人はそんな調子で進んでいく
大岩以降は魔物が出てくるだけで罠は無い
3人は順調に進んでいく、罠も知っていれば対応が簡単で大した障害は無い
三階層の罠も破壊して魔物も倒して四階層へ続く階段に着く
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