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不戦の協定
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「地上の状況分かったでしょ?」
「あぁ」
「何かあっちでもあったか?」
「魔物が強化されたそうだ」
「強化……それも異能が強化された結果か」
「早く~、早く決めないと……君のせいで多くの人が死んじゃうよぉ?」
人型の魔物はレイを焦らせる
レイは悩む
対話して今回互いに攻撃をしないと約束出来れば一先ずは安全だろう
しかし、真髄に至った魔物を野放しにすればどうなるか分からない
ましてや目の前の魔物の異能は魔物を操る
時間が経てば経つほど脅威となりうる危険性が高い
今は戦う気がないと言うだけならここで犠牲覚悟で倒す方が良い
しかし、もし魔物との対話で魔物が人類に対して攻撃をしないのなら対話が良い
(こっちは2人、勝ち目はある。だが奴の糸には空間切断が通じない。それに魔物の言葉を信じていいのか?)
「それでどうする?」
「真髄に至った魔物を放置するのは危険だ。しかし……」
「おい、魔物」
「何?」
「対話を選べば魔物を撤退させるのか?」
「撤退は分からないけど攻撃は辞めるよぉ? 話し合いに武力は持ち込んじゃダメだからぁ」
両手でバツ印を作る
「一先ず対話を選んでその後考えるべきだ。もし無理なら戦うだけだ」
「そうだな。対話を選ぶ」
「それならぁ、先ずは自己紹介、私の名前はルナルールス、魔物を操る異能を持つ魔物」
対話を選んだ事を喜んでいる
指を鳴らして支配している魔物の行動を止める
元々戦う気が無い、戦う気だったから脅しただけで
ルナルールスが簡単に自己紹介をする
「私は井坂澪、バルフェリアと同じ異能を持つ」
「俺は浮塚葉一、お前の想像通り未来視の異能を持っている」
2人も簡単に自己紹介をする
「やっぱり、未来視の異能も知ってるよぉ」
「それで対話と言うのは?」
「うーん、特に考えてない。そうだねぇ、私と不戦の協定を結ぼうよ」
「協定?」
「魔物側にも協定と言う言葉があるのか。驚きだな」
「あるよ。弱い者が集まり群れを成し強き者が互いを牽制する。その為の協定、魔物には不戦の協定を結んだら守らなければならないと言う鉄則がある。まっ、あっちだと契約の異能があったんだけどね」
多くの魔物が戦い殺し死んでいく世界
例え強い魔物でも戦い続けるのは危険、それ故に不戦の協定が立てられた
「不戦の協定か」
(協定は悪くない、だが)
魔物の言葉を信じていいのかそれが悩みどころ
「信じられないって顔だけどそれはこっちも同じ、こう言った物は裏切った方が得をするの、だけど破ればどちらも損をする。裏切ればただで得を得られる協定を立てるのは馬鹿がやる事」
「この協定を破ってお前は何を損する?」
「私はぁ、君達と戦うことになる。そうなれば流石に負けるかもしれない。それ以外だとぉ……戦いから離れる事が出来なくなるかなぁ」
嫌そうに言う
表情豊かでコロコロ変わるが言葉一つ一つは特に嘘をついているようには見えない
「俺達が破れば……操っている魔物をけしかけるか」
「そうだね、君達は強いけど大量の魔物が一気に押し掛けてきたら流石に犠牲が出るでしょ?」
「あぁ、間違いなく出るだろう。それは避けたい」
都市が崩壊すればもう一度立て直すのは難しい
多くの人間を失えば更に難しくなる
「まぁ他にも条件とか色々と決める必要あるけど取り敢えずこちらが提示するのはこのダンジョンに入らない事、そしてこちらからはダンジョンに入らない限り人間に手を出さない」
ルナルールスは条件を提示する
人類側にとって悪くない条件
「魔物狩りはしていいのか? 知り合いもいるんだろ」
「まぁ別に仲良くないからいいよぉ。そもそもそんな話通じないし」
「そうか、分かった。ひとまずそれで協定を結ぼう」
「地上の魔物は撤退させた。確認どうぞ」
葉一が地上にいる防衛組と連絡を取る
「状況に変化はあったか?」
『魔物が撤退して行っています。急に動きが止まったり撤退したりと一体何が?』
「詳しい事は後で言うがダンジョンの主と不戦の協定を結んだ」
『不戦の協定ですか?』
「あぁ、これ以上魔物は来ない。このダンジョン内には足を踏み入れてはならないという条件付きでな」
「そう、もうこの付近の魔物は人間に攻撃しないよ~」
ルナルールスが会話に入る
『貴女が魔物ですか?』
「ルナルールス、不戦の協定を結んだ魔物だよぉ。戦い嫌いの魔物って覚えてくれればいいよぉ」
『そうですか。分かりました皆に伝えます』
「よろしくね~」
通信を終える
「帰る時魔物が襲わないようにしてあるから安全に帰れるよ」
「そうか、ではな」
「またね~」
2人はボス部屋を出る
ルナルールスは元気良く手を振って見送る
「不戦の協定か」
「まさか魔物と結ぶ事になるとはな」
「警戒は解かずに監視はしておく。騎士及び探索者全員にこのダンジョンの中には入らないように伝えないとな」
「協定を破れば間違いなく攻撃を仕掛けてくるだろうからな」
2人はダンジョンの入口を目指す
道中の魔物は一切動かない
地上防衛組
葉一から連絡を受けて騎士団本部にも防衛の必要が無くなった事の連絡をする
「魔物が撤退して行ったのはそういう理由が」
防衛組には天音から先程の会話の内容を伝えられた
皆驚く
新しい人語を介する魔物にも驚きだがその魔物と不戦の協定を結んだと言うのは驚かない方が無理がある
「不戦の協定……正直信じ難いですね。魔物が」
「魔物がそんな事を?」
「人語を介する魔物2体に不戦の協定……何が何やら」
「俺達が遭遇した魔物も好戦的ではなかったが知性のある魔物はそうなのか?」
「あれは強い存在と戦いたいってタイプだからレイさん達が会った魔物とは違うかな。戦いを嫌う魔物は私も初めて聞く」
レイも戦いを嫌う魔物とは初めて遭遇している
「戦えるだけの力を得てもなお戦わない。変な魔物」
「信じていいんですか?」
「さぁどうだろ。嘘をついてる可能性はあるけど時間があればこちらも戦う準備が出来る」
協定の話が嘘でも時間があれば作戦を練る事や戦闘の準備が出来る
今戦うよりもそちらの方が戦闘を有利に運べる
「それはそうですが……」
「それが騎士団長の判断なら従うしかありません」
「そうだねぇ、ただこの情報は機密情報として扱うから他言無用だよ。後、この付近を立ち入り禁止にして守護隊で見回る」
「機密情報ですか。分かりました言いません」
「付近であれば問題無いようですしね、探索者が入らないように監視する必要がありそうですし見回りのルートを修正しましょう」
「だね」
「皆集まっているか」
2人がダンジョンから出てくる
「本作戦はこれにて終了となる。良くやってくれた。彼らの家族には私から言おう」
「彼らを運んであげよう。君達は動ける?」
「は、はい動けます」
騎士2人の死体を運び城壁へ向かう
城壁には撤退していない騎士達が待機していた
「騎士団長!」
1人が気づき近付いてくる
「残っていたのか」
「はい、遠くに魔物の大群を確認しましたので待機してましたが大群はすぐに撤退していきました。あれは一体?」
「情報を整理してから伝える。帰っても大丈夫だぞ」
「は、はい、残りの作業を終えたら帰宅します」
作業に戻っていく
城壁内に入り解散する
「ゼラさん、一緒に帰りましょう!」
「良いけど私は東の方だよ?」
「私も東側に住んでます」
「そうなんだ」
(東側の住宅街に住んでる人は基本的に見覚えあるんだけど夢は見覚えがないな)
城壁内で東西南北と中央区に分けられている
守護隊の基地があるのが南、騎士団は中央区にある
住宅街は東、西に集中している
北側は海に面している為住宅が少ない
2人は一緒に東の住宅街へ向かう
「あぁ」
「何かあっちでもあったか?」
「魔物が強化されたそうだ」
「強化……それも異能が強化された結果か」
「早く~、早く決めないと……君のせいで多くの人が死んじゃうよぉ?」
人型の魔物はレイを焦らせる
レイは悩む
対話して今回互いに攻撃をしないと約束出来れば一先ずは安全だろう
しかし、真髄に至った魔物を野放しにすればどうなるか分からない
ましてや目の前の魔物の異能は魔物を操る
時間が経てば経つほど脅威となりうる危険性が高い
今は戦う気がないと言うだけならここで犠牲覚悟で倒す方が良い
しかし、もし魔物との対話で魔物が人類に対して攻撃をしないのなら対話が良い
(こっちは2人、勝ち目はある。だが奴の糸には空間切断が通じない。それに魔物の言葉を信じていいのか?)
「それでどうする?」
「真髄に至った魔物を放置するのは危険だ。しかし……」
「おい、魔物」
「何?」
「対話を選べば魔物を撤退させるのか?」
「撤退は分からないけど攻撃は辞めるよぉ? 話し合いに武力は持ち込んじゃダメだからぁ」
両手でバツ印を作る
「一先ず対話を選んでその後考えるべきだ。もし無理なら戦うだけだ」
「そうだな。対話を選ぶ」
「それならぁ、先ずは自己紹介、私の名前はルナルールス、魔物を操る異能を持つ魔物」
対話を選んだ事を喜んでいる
指を鳴らして支配している魔物の行動を止める
元々戦う気が無い、戦う気だったから脅しただけで
ルナルールスが簡単に自己紹介をする
「私は井坂澪、バルフェリアと同じ異能を持つ」
「俺は浮塚葉一、お前の想像通り未来視の異能を持っている」
2人も簡単に自己紹介をする
「やっぱり、未来視の異能も知ってるよぉ」
「それで対話と言うのは?」
「うーん、特に考えてない。そうだねぇ、私と不戦の協定を結ぼうよ」
「協定?」
「魔物側にも協定と言う言葉があるのか。驚きだな」
「あるよ。弱い者が集まり群れを成し強き者が互いを牽制する。その為の協定、魔物には不戦の協定を結んだら守らなければならないと言う鉄則がある。まっ、あっちだと契約の異能があったんだけどね」
多くの魔物が戦い殺し死んでいく世界
例え強い魔物でも戦い続けるのは危険、それ故に不戦の協定が立てられた
「不戦の協定か」
(協定は悪くない、だが)
魔物の言葉を信じていいのかそれが悩みどころ
「信じられないって顔だけどそれはこっちも同じ、こう言った物は裏切った方が得をするの、だけど破ればどちらも損をする。裏切ればただで得を得られる協定を立てるのは馬鹿がやる事」
「この協定を破ってお前は何を損する?」
「私はぁ、君達と戦うことになる。そうなれば流石に負けるかもしれない。それ以外だとぉ……戦いから離れる事が出来なくなるかなぁ」
嫌そうに言う
表情豊かでコロコロ変わるが言葉一つ一つは特に嘘をついているようには見えない
「俺達が破れば……操っている魔物をけしかけるか」
「そうだね、君達は強いけど大量の魔物が一気に押し掛けてきたら流石に犠牲が出るでしょ?」
「あぁ、間違いなく出るだろう。それは避けたい」
都市が崩壊すればもう一度立て直すのは難しい
多くの人間を失えば更に難しくなる
「まぁ他にも条件とか色々と決める必要あるけど取り敢えずこちらが提示するのはこのダンジョンに入らない事、そしてこちらからはダンジョンに入らない限り人間に手を出さない」
ルナルールスは条件を提示する
人類側にとって悪くない条件
「魔物狩りはしていいのか? 知り合いもいるんだろ」
「まぁ別に仲良くないからいいよぉ。そもそもそんな話通じないし」
「そうか、分かった。ひとまずそれで協定を結ぼう」
「地上の魔物は撤退させた。確認どうぞ」
葉一が地上にいる防衛組と連絡を取る
「状況に変化はあったか?」
『魔物が撤退して行っています。急に動きが止まったり撤退したりと一体何が?』
「詳しい事は後で言うがダンジョンの主と不戦の協定を結んだ」
『不戦の協定ですか?』
「あぁ、これ以上魔物は来ない。このダンジョン内には足を踏み入れてはならないという条件付きでな」
「そう、もうこの付近の魔物は人間に攻撃しないよ~」
ルナルールスが会話に入る
『貴女が魔物ですか?』
「ルナルールス、不戦の協定を結んだ魔物だよぉ。戦い嫌いの魔物って覚えてくれればいいよぉ」
『そうですか。分かりました皆に伝えます』
「よろしくね~」
通信を終える
「帰る時魔物が襲わないようにしてあるから安全に帰れるよ」
「そうか、ではな」
「またね~」
2人はボス部屋を出る
ルナルールスは元気良く手を振って見送る
「不戦の協定か」
「まさか魔物と結ぶ事になるとはな」
「警戒は解かずに監視はしておく。騎士及び探索者全員にこのダンジョンの中には入らないように伝えないとな」
「協定を破れば間違いなく攻撃を仕掛けてくるだろうからな」
2人はダンジョンの入口を目指す
道中の魔物は一切動かない
地上防衛組
葉一から連絡を受けて騎士団本部にも防衛の必要が無くなった事の連絡をする
「魔物が撤退して行ったのはそういう理由が」
防衛組には天音から先程の会話の内容を伝えられた
皆驚く
新しい人語を介する魔物にも驚きだがその魔物と不戦の協定を結んだと言うのは驚かない方が無理がある
「不戦の協定……正直信じ難いですね。魔物が」
「魔物がそんな事を?」
「人語を介する魔物2体に不戦の協定……何が何やら」
「俺達が遭遇した魔物も好戦的ではなかったが知性のある魔物はそうなのか?」
「あれは強い存在と戦いたいってタイプだからレイさん達が会った魔物とは違うかな。戦いを嫌う魔物は私も初めて聞く」
レイも戦いを嫌う魔物とは初めて遭遇している
「戦えるだけの力を得てもなお戦わない。変な魔物」
「信じていいんですか?」
「さぁどうだろ。嘘をついてる可能性はあるけど時間があればこちらも戦う準備が出来る」
協定の話が嘘でも時間があれば作戦を練る事や戦闘の準備が出来る
今戦うよりもそちらの方が戦闘を有利に運べる
「それはそうですが……」
「それが騎士団長の判断なら従うしかありません」
「そうだねぇ、ただこの情報は機密情報として扱うから他言無用だよ。後、この付近を立ち入り禁止にして守護隊で見回る」
「機密情報ですか。分かりました言いません」
「付近であれば問題無いようですしね、探索者が入らないように監視する必要がありそうですし見回りのルートを修正しましょう」
「だね」
「皆集まっているか」
2人がダンジョンから出てくる
「本作戦はこれにて終了となる。良くやってくれた。彼らの家族には私から言おう」
「彼らを運んであげよう。君達は動ける?」
「は、はい動けます」
騎士2人の死体を運び城壁へ向かう
城壁には撤退していない騎士達が待機していた
「騎士団長!」
1人が気づき近付いてくる
「残っていたのか」
「はい、遠くに魔物の大群を確認しましたので待機してましたが大群はすぐに撤退していきました。あれは一体?」
「情報を整理してから伝える。帰っても大丈夫だぞ」
「は、はい、残りの作業を終えたら帰宅します」
作業に戻っていく
城壁内に入り解散する
「ゼラさん、一緒に帰りましょう!」
「良いけど私は東の方だよ?」
「私も東側に住んでます」
「そうなんだ」
(東側の住宅街に住んでる人は基本的に見覚えあるんだけど夢は見覚えがないな)
城壁内で東西南北と中央区に分けられている
守護隊の基地があるのが南、騎士団は中央区にある
住宅街は東、西に集中している
北側は海に面している為住宅が少ない
2人は一緒に東の住宅街へ向かう
応援ありがとうございます!
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