全ての魔法は千変万化~異世界転移したけど補填と言われて与えられたスキルがピーキー過ぎる!~

syami1000

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序章

4.追放

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 俺は追放処分にされると説明を受け、広間を連れ出された

 そして別室にてロブ・ブラウンと会話をする

「俺はこれからどうなるんですか?」

「君にはこの王都から最も離れた位置にあるメタナ村に行ってもらう」

「そんな……俺はこれからどうやって生きていけばいいんですか!?」

「そう案ずるな、君には金貨10枚が与えられる。一か月は食っていける金額だ」

 たった一か月!?その短い期間に俺は手に職を付けないといけないのか

「それと君は今後一切この国に関わらないでくれ。あと君が勇者召喚により召喚されたという事も他言はするな」

「それは何故ですか?」

 俺がそう聞くとロブはため息交じりに答えた

「君のような出来損ないの勇者が召喚されては民に合わせる顔がないんだよ」

「そう、ですか……」

 コンコンッと扉をノックする音が聞こえた

「入れ」

 部屋に兵士が入ってきた

「馬車の準備が整いました」

「分かった。ではついてこい」

 ロブに促されるままに俺は部屋を出て後ろに付いていく

 そうしてたどり着いたのは城門だった

 目の前には質素な馬車と兵士が一人だけ居た

「君にはこれを渡そう」

 ロブは袋を一つ俺に渡した。中を見ると先ほど話した金貨が入っていた

「何度も繰り返すがこれ以降君はこの国には関わらないようにな」

 あぁ、こんなに念を押して言わなくても二度とこんな国に関わるもんか

 そういえば俺は一つだけ質問しないといけないことがあった

「最後に一つだけ質問しても良いですか?」

「なんだ」

「女神アテナ、という方はご存じですか?」

「人間にスキルを授けてくれる女神様だな、その方がどうした」

「……いえ、なんでもありません」

 あの女神が言っていたとは何かしらのスキルを与えるってことだったのか?

「さあ、馬車に乗れ」

 俺は貰った袋を片手に馬車に乗りこんだ

 その際、馬車を操縦する兵士とロブが何かを小声で話していたが聞こえない

「出発するぞ」

 兵士がそう告げると馬車が動き出した


 ~~~


 家久を送り出した後、ロブは家久との会話に猛烈な違和感を抱いていた

 そしてその違和感の原因にしばらくして気が付く

 (彼はなぜ女神アテナの事を知っていたんだ?)

 家久と会話をしていた時は特に違和感を覚えることなく世界の常識を語っただけだったが、家久は異世界から召喚された勇者で女神アテナという名を知っているのはおかしなことだ

 (まさか彼は、女神アテナからスキルを授かっているのか!?)

 ロブは大いに焦る

 (だが彼の基礎能力値ステータスに神の記述はなかった!スキルを授かっているわけがない!)

 ロブは感情を無理やり落ち着ける

 (そうだ、これは俺の考えすぎだ……)

 この世界において勇者が一騎当千だとしたらスキル持ちは一騎当万とでも表せるほどに圧倒的な力を有している場合がある

 故にスキル持ちを追放した。なんて事実があればロブは公開処刑にされる可能性すらあった

 (まあ彼にスキルがあろうと関係はない。明日には死体となって見つかっているんだからな)


 ~~~

 俺は馬車に乗り王都を離れて十時間ほど経っていた

 最初の五~六時間は中世ヨーロッパといった感じの風景の街中を走っていた

 街の中では華やかな服を来た人物が鎖でつながれた奴隷(?)を引き連れているのが目立った

 七時間経つと辺りは村の中を走った。村人の纏う服はボロボロで住居はまるで廃墟かと見間違うほどに荒廃していた


「すみません。少し失礼な質問をしてもいいですか?」

「どうした?」

「この王国がこんなにも荒んでいるのは魔王との戦いが関係しているんですか?」

「荒んでいる、か。言うじゃないか」

 俺はハハッと愛想笑いを見せた

「お前の言う通りだよ、魔族との戦争によってこの国は荒んでしまった……だが勇者が魔王を討伐すればこの国には莫大な金が入り必ず元の豊かで笑顔溢れる国に戻るはずだ」

「そう、ですか」

 そこから俺と兵士の間に会話はなく今に至る

 森の中を進んでいるが、日が落ちて視界は悪くなってきた

「兵士さん、この暗さで先に進んでも良いんですか?」

 返事はない

「あの!かなり危ないと思うんですけど大丈夫なんですか!?」

 俺がそう言うと兵士は無言で馬車を停止させた

 そして俺に向き直って兵士は口を開いた

「お前にはここで死んでもらう」






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