9 / 20
一章 私の居場所
8賢者の館
しおりを挟む
ロウが指を鳴らすと目の前に現れたのは、森の木材と白大理石が組み合わさった、豪華絢爛な屋敷だった。周囲の自然を圧倒するその存在感に、桃は思わず息を呑んだ。
「ようこそ、賢者の館へ~✨」
ロウは腰に手を当て、軽くウィンクを飛ばした。
「なにこのポーズ……」
桃はぽかんと口を開け、隣のベンは無言で腕を組み、フィンは眉間にしわを寄せていた。
「……絶対まともじゃねぇこの狼」
「俺も(昔から)そう思う」
「おーい?聞こえてるんだけど?」
「まぁまぁ、立っているのも野暮だよ~桃ちゃん」
ロウは妖艶な笑みを浮かべ、桃のフードをそっと持ち上げた。彼の指先が掠めただけで、桃の背筋にゾクリと電流が走る。
「ロウ!触るな!」
ベンが低い唸り声を上げ、桃とロウの間に割って入った。その殺気に、フィンも警戒して腰を低くする。
「やだなぁ、白虎くん。歓迎の挨拶だよ。……僕のテリトリーでそんなに殺気を出されると、この森の魔物何するかわかんないよ?」
ロウは不満そうに眉を上げながらも、手招きをした。
「まぁまぁ、入ってみなよ。驚くよ?」
館の扉が開くと、目の前に広がったのは——まるで宮殿。
天井から下がるシャンデリアは虹色の光を放ち、床は磨かれすぎて自分の顔が映るほど。
壁には精緻な絵画、そして中央にはふかふかの真紅のソファ。桃は思わず呟いた。
「……なにこの屋敷、それに…家具やインテリアのデザイン!!そして、配置!ひとつひとつがゴテゴテのギラギラなのに、全く圧迫感を感じない!…むしろ、なんだか落ち着くまでもある…」
「ほらね?センスあるでしょ」
「もしかして…全部…?」
「僕♡」
「ロウさん巨匠!!」
感動して拍手する桃と、うんざりした目を向けるベンとフィン。
「ベンちゃん、この子は見る目あるね」
「やめろ、その名で呼ぶな」
「いいじゃない、昔から“ベンちゃん”って呼んでたのに~」
「呼ぶなと言っている!」
その瞬間、桃とフィンの頭の中には同時に浮かんだ。
ーーーなにその関係!?
「え、昔……?」
「ベンちゃんて呼ばれてたの……?」
「ベンちゃん……(ぷっ)」
「笑うなフィン」
「ねーねーベンさん。私もベンちゃんって呼んでもいーい?」
「だめだ!調子に乗るな!桃!」
ロウはくすくす笑いながら、桃にそっと近づいた。
「まぁまぁ。まずはウェルカムドリンクでもどう?」
そう言って、指を鳴らすと、透明なグラスがふわりと浮かび、三人の前にすっと差し出された。
「これ、飲んでも大丈夫なやつ?」
「失礼だなぁ。ちゃんと僕が育てた自家製ファビュラスハーブティーだよ。」
ーーファビュラス!?
桃が恐る恐る一口飲むと、ほんのり桃の花のような香りと、優しい甘みが広がった。
「おいしい……」
「でしょ?」
「……なんか腹立つな」
「わかる」
ベンとフィンの声が完全にハモった。
「さてと、せっかくだから3人の部屋も用意してあげよう」
ロウが手をひらひらさせると、階段の上からメイド服を着た精霊たちがスススッと現れた。
全員、光の粒でできたように透き通っていて、まるで夢の中の存在。
「こちらへどうぞ~✨」
「きゃー、かわいい!みんなキラキラしてる!」
桃は目を輝かせながらついていくが、ベンは腕を組んだままロウを睨みつけていた。
「妙な術はかけていないだろうな」
「そんなことしないよ。僕、平和主義者だもん」
「女にしか興味がないだけだろうが」
「さすがベンちゃん!その通りっ!」
フィンがすかさずツッコミを入れる。
「開き直んなよ!」
部屋に入ると、桃は思わず歓声を上げた。
そこにはふかふかのベッドと天蓋、窓の外には夜の森が輝き、天井には無数の光の粒が漂っている。
「うわぁ…部屋の中に星を閉じ込めたみたい……」
「ふふ、気に入ってもらえて光栄だよ。僕が直々に飾ったからね」
「ねぇロウ、これって魔法?」
「そう。魔力の粒を固定して、擬似星空を再現してるんだ。触るとね——ほら」
ロウがそっと指先を伸ばすと、小さな光がパチリと弾けた。
桃はうっとりとその光を見つめる。
だがその瞬間、ベンがスッと間に入って桃を引き寄せた。
「触るな」
「え~、ちょっとくらいいいじゃない」
「良くない」
ロウは肩をすくめて笑う。
「ほんと、相変わらず嫉妬深いなぁ、ベンちゃんは、」
「黙れ」
「ねぇ桃ちゃん、ベンの昔話聞きたい?」
「話すな」
「……昔は、めちゃくちゃ可愛かったんだよ?」
「殺すぞ」
「やめてぇぇぇ!!!」
桃が間に割って入る。
「もう、みんな仲良くしてよ!ロウさん、ベンさんいじめないで!ベンさんも落ち着いて!!」
「もも、あいつの口が生きてる限り落ち着けない」
「それも物騒だから!!」
そんなドタバタの最中、フィンがひとり部屋の端で拗ねていた。
「……俺、影薄くね?」
「そんなことないよフィンくん!」
「うそだ。チャラ狼とベンばっか構って……」
「ちょ、フィンくん!?ぷくーって頬ふくらませないで!可愛すぎておかしくなりそうだから!!」
「俺だって夫だぞ!」
「うんうん!フィンくんは私の癒し担当!」
「……へへ、そっか……(しっぽぱたぱた)」
「可愛いなぁもう!おりゃっ」
桃にキュートアグレッションが起こる。
「撫でるなぁぁぁぁぁ!あっ!そこはっ…ちょ、もも!だめ!」
「ふふふ、嫉妬してるフィンくん最高にかわいい♡」
「ばかぁ、やめろってばぁ!あっ…ああん…」
ベンはため息をつき、ロウはソファに寝転びながら腹を抱えて笑っていた。
「いいねぇ、この空気。賑やかで退屈しないや」
「お前がかき乱してるんだろうが」
◆
その後、4人で食事を取ることになった。
ロウの用意したテーブルには、色とりどりの料理がずらり。肉、スープ、果実、そして不思議な発光酒。
「さぁ食べて食べて~、毒は入ってないから!」
「いや、信じろって言われてもな……」
「いただきますっ!」
桃だけが一番に箸を伸ばす。
「ちょ、おい!桃…油断するなと言ったのに…」
「ほら、桃ちゃんが食べてるし。大丈夫でしょ?2人も食べて食べて!うちの精霊ちゃん達が張り切って作ったんだから!」
「「……」」
無言でバクバクと食べ始める2人。
「おいしい!精霊さん料理上手!」
嬉しそうな桃の発言によって、ピリついた部屋の空気が和やかになった。
「さて、じゃあ、本題に入ろうか」
ロウは食事を食べ終えていた。
あ、フィンも、ベンさんもお皿に何も残ってない…
私が1番最初に食べ始めたのに、1番遅い…
シュンとなった桃を見て一同がワタワタと慌て始めた。
「桃、ゆっくり食え。」
「残したら俺が食ってやるからな、安心しろ。」
「桃ちゃん。デザートもあるからゆっくり食べてね♡」
「で、ベン。本題だけど…なんとなく察してはいるよ。桃ちゃんを一緒に守ってほしいとかそんなところだろ?」
「そうだ。見ての通り…て、おい!桃!!いつのまにローブを脱いだんだ。」
「え?あ!本当だ…気づかなかった」
「全く…桃は危機感が足りん…」
「気づかなかったベンも大概危機感が足りてないけどね」
「フィン!そういうお前は気づいていたのか?」
「は?ローブならこの部屋に入った瞬間精霊が持っていってただろ?ベンがロウと言い争ってる間にさ、」
「くっっ姑息な真似を…」
「まぁまぁ、そんなわけでさ、その見た目と血が騒ぐようなあま~い匂い…桃ちゃん人間でしょ?」
「…」
「桃、あえて聞いてこなかったが、フィンも俺も気づいてるから…うん…」
「そうだぞ、種族わかんないとか記憶ないとか正直無理あるぞ」
「ゔっっ…気づいてたのね、頑張って誤魔化してたのに!」
「え…隠す気あったのか?」
「そう言うな、フィン…可愛い演技だったぞ。桃」
「もー!バレてたなんて恥ずかしい!そうだよ!私人間!異世界から気づいたらあの森にいました!よろしく!!はい、これで良いでしょ?」
「異世界から…なるほどな、それなら説明がつく。」
「異世界…!(尻尾ふりふりお目目きらきら)」
「僕も異世界興味あるなぁ~。しばらくこの屋敷にいるんだろうし、色々教えて~」
「てことは、ロウも桃の夫になるってことだな?」
「ベン…当たり前でしょ。こ~んなに可愛いくて、素直で、特別で、穢れがない子なんて他にいないから!一目惚れ!桃ちゃん!僕のことも夫にして~♡」
桃は、地球の貞操観念が通じない世界だとわかってきた…もうどうにでもなれ精神で
「ロウさん、よろしくお願いします。あのっ…でも、私…一妻一夫制の国から来たので、まだ…一妻多夫ていうのに、慣れなくて…」
「え~?フィンとイチャイチャしてる時点で今更じゃない?僕が頑張れば良い話だからね~桃ちゃんはただ愛されてれば良いんだよ?」
「でも!私!愛されるだけじゃなくて全力で愛したいんです!!」
「桃…そんな風に思ってくれていたんだな、あの日桃に出会えていてよかった。」
「孤児だった俺がこんなに最高の嫁貰えるなんて…夢みたいだ」
「くぅー!僕この言葉聞く為に生まれてきたのかもしれない!幸せすぎて怖い…」
3人は恍惚とした表情で、桃を見つめた。その視線は甘く、粘着質な色気に満ちている。その奥に独占欲が見え隠れする。
「この館にいる限り、安全だよ。外には魔獣がいるから獣人は寄ってこないし、森の支配者は僕だから侵入者がいればすぐわかる。魔獣も僕には逆らえない。物資も精霊達が調達してくれる…」
「そうなんだ…!あの、でも、ここって賢者の森って言われてますよね?賢者って…?」
「賢者は僕だよ。獣人って長生きなんだけど、僕は結構…長生きでね?街の連中が勝手にそう呼ぶんだ。あ、ちなみにベンも僕と同じくらいの歳だよ」
「ええ!それっていったい何歳…?」
「俺はたしか1500…くらいだったはずだ」
「そだねー、僕もそんくらいだった気がする」
「ええっ!…まさか、フィンも?」
「俺はまだ112さいだ」
「ひゃ、ひゃく…」
「な?桃…17と言った時点で獣人ではないとバレていたんだ…」
「え!桃17歳なのか?赤ちゃんじゃねぇか」
「そ、そんなぁ、あ!ちなみに獣人の寿命って何歳なの?」
「これは本当に強さによるんだが、だいたいは15000強い奴なら20000…くらいか?」
「そうだな、そのくらいかもしれない…」
「桃…さっきから嫌な予感しかしないんだが…人間の寿命って…」
「長くて100」
「「「!!!!???」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回もよろしくお願いします
お気に入り、感想、いいね、よろしくおねがいします
「ようこそ、賢者の館へ~✨」
ロウは腰に手を当て、軽くウィンクを飛ばした。
「なにこのポーズ……」
桃はぽかんと口を開け、隣のベンは無言で腕を組み、フィンは眉間にしわを寄せていた。
「……絶対まともじゃねぇこの狼」
「俺も(昔から)そう思う」
「おーい?聞こえてるんだけど?」
「まぁまぁ、立っているのも野暮だよ~桃ちゃん」
ロウは妖艶な笑みを浮かべ、桃のフードをそっと持ち上げた。彼の指先が掠めただけで、桃の背筋にゾクリと電流が走る。
「ロウ!触るな!」
ベンが低い唸り声を上げ、桃とロウの間に割って入った。その殺気に、フィンも警戒して腰を低くする。
「やだなぁ、白虎くん。歓迎の挨拶だよ。……僕のテリトリーでそんなに殺気を出されると、この森の魔物何するかわかんないよ?」
ロウは不満そうに眉を上げながらも、手招きをした。
「まぁまぁ、入ってみなよ。驚くよ?」
館の扉が開くと、目の前に広がったのは——まるで宮殿。
天井から下がるシャンデリアは虹色の光を放ち、床は磨かれすぎて自分の顔が映るほど。
壁には精緻な絵画、そして中央にはふかふかの真紅のソファ。桃は思わず呟いた。
「……なにこの屋敷、それに…家具やインテリアのデザイン!!そして、配置!ひとつひとつがゴテゴテのギラギラなのに、全く圧迫感を感じない!…むしろ、なんだか落ち着くまでもある…」
「ほらね?センスあるでしょ」
「もしかして…全部…?」
「僕♡」
「ロウさん巨匠!!」
感動して拍手する桃と、うんざりした目を向けるベンとフィン。
「ベンちゃん、この子は見る目あるね」
「やめろ、その名で呼ぶな」
「いいじゃない、昔から“ベンちゃん”って呼んでたのに~」
「呼ぶなと言っている!」
その瞬間、桃とフィンの頭の中には同時に浮かんだ。
ーーーなにその関係!?
「え、昔……?」
「ベンちゃんて呼ばれてたの……?」
「ベンちゃん……(ぷっ)」
「笑うなフィン」
「ねーねーベンさん。私もベンちゃんって呼んでもいーい?」
「だめだ!調子に乗るな!桃!」
ロウはくすくす笑いながら、桃にそっと近づいた。
「まぁまぁ。まずはウェルカムドリンクでもどう?」
そう言って、指を鳴らすと、透明なグラスがふわりと浮かび、三人の前にすっと差し出された。
「これ、飲んでも大丈夫なやつ?」
「失礼だなぁ。ちゃんと僕が育てた自家製ファビュラスハーブティーだよ。」
ーーファビュラス!?
桃が恐る恐る一口飲むと、ほんのり桃の花のような香りと、優しい甘みが広がった。
「おいしい……」
「でしょ?」
「……なんか腹立つな」
「わかる」
ベンとフィンの声が完全にハモった。
「さてと、せっかくだから3人の部屋も用意してあげよう」
ロウが手をひらひらさせると、階段の上からメイド服を着た精霊たちがスススッと現れた。
全員、光の粒でできたように透き通っていて、まるで夢の中の存在。
「こちらへどうぞ~✨」
「きゃー、かわいい!みんなキラキラしてる!」
桃は目を輝かせながらついていくが、ベンは腕を組んだままロウを睨みつけていた。
「妙な術はかけていないだろうな」
「そんなことしないよ。僕、平和主義者だもん」
「女にしか興味がないだけだろうが」
「さすがベンちゃん!その通りっ!」
フィンがすかさずツッコミを入れる。
「開き直んなよ!」
部屋に入ると、桃は思わず歓声を上げた。
そこにはふかふかのベッドと天蓋、窓の外には夜の森が輝き、天井には無数の光の粒が漂っている。
「うわぁ…部屋の中に星を閉じ込めたみたい……」
「ふふ、気に入ってもらえて光栄だよ。僕が直々に飾ったからね」
「ねぇロウ、これって魔法?」
「そう。魔力の粒を固定して、擬似星空を再現してるんだ。触るとね——ほら」
ロウがそっと指先を伸ばすと、小さな光がパチリと弾けた。
桃はうっとりとその光を見つめる。
だがその瞬間、ベンがスッと間に入って桃を引き寄せた。
「触るな」
「え~、ちょっとくらいいいじゃない」
「良くない」
ロウは肩をすくめて笑う。
「ほんと、相変わらず嫉妬深いなぁ、ベンちゃんは、」
「黙れ」
「ねぇ桃ちゃん、ベンの昔話聞きたい?」
「話すな」
「……昔は、めちゃくちゃ可愛かったんだよ?」
「殺すぞ」
「やめてぇぇぇ!!!」
桃が間に割って入る。
「もう、みんな仲良くしてよ!ロウさん、ベンさんいじめないで!ベンさんも落ち着いて!!」
「もも、あいつの口が生きてる限り落ち着けない」
「それも物騒だから!!」
そんなドタバタの最中、フィンがひとり部屋の端で拗ねていた。
「……俺、影薄くね?」
「そんなことないよフィンくん!」
「うそだ。チャラ狼とベンばっか構って……」
「ちょ、フィンくん!?ぷくーって頬ふくらませないで!可愛すぎておかしくなりそうだから!!」
「俺だって夫だぞ!」
「うんうん!フィンくんは私の癒し担当!」
「……へへ、そっか……(しっぽぱたぱた)」
「可愛いなぁもう!おりゃっ」
桃にキュートアグレッションが起こる。
「撫でるなぁぁぁぁぁ!あっ!そこはっ…ちょ、もも!だめ!」
「ふふふ、嫉妬してるフィンくん最高にかわいい♡」
「ばかぁ、やめろってばぁ!あっ…ああん…」
ベンはため息をつき、ロウはソファに寝転びながら腹を抱えて笑っていた。
「いいねぇ、この空気。賑やかで退屈しないや」
「お前がかき乱してるんだろうが」
◆
その後、4人で食事を取ることになった。
ロウの用意したテーブルには、色とりどりの料理がずらり。肉、スープ、果実、そして不思議な発光酒。
「さぁ食べて食べて~、毒は入ってないから!」
「いや、信じろって言われてもな……」
「いただきますっ!」
桃だけが一番に箸を伸ばす。
「ちょ、おい!桃…油断するなと言ったのに…」
「ほら、桃ちゃんが食べてるし。大丈夫でしょ?2人も食べて食べて!うちの精霊ちゃん達が張り切って作ったんだから!」
「「……」」
無言でバクバクと食べ始める2人。
「おいしい!精霊さん料理上手!」
嬉しそうな桃の発言によって、ピリついた部屋の空気が和やかになった。
「さて、じゃあ、本題に入ろうか」
ロウは食事を食べ終えていた。
あ、フィンも、ベンさんもお皿に何も残ってない…
私が1番最初に食べ始めたのに、1番遅い…
シュンとなった桃を見て一同がワタワタと慌て始めた。
「桃、ゆっくり食え。」
「残したら俺が食ってやるからな、安心しろ。」
「桃ちゃん。デザートもあるからゆっくり食べてね♡」
「で、ベン。本題だけど…なんとなく察してはいるよ。桃ちゃんを一緒に守ってほしいとかそんなところだろ?」
「そうだ。見ての通り…て、おい!桃!!いつのまにローブを脱いだんだ。」
「え?あ!本当だ…気づかなかった」
「全く…桃は危機感が足りん…」
「気づかなかったベンも大概危機感が足りてないけどね」
「フィン!そういうお前は気づいていたのか?」
「は?ローブならこの部屋に入った瞬間精霊が持っていってただろ?ベンがロウと言い争ってる間にさ、」
「くっっ姑息な真似を…」
「まぁまぁ、そんなわけでさ、その見た目と血が騒ぐようなあま~い匂い…桃ちゃん人間でしょ?」
「…」
「桃、あえて聞いてこなかったが、フィンも俺も気づいてるから…うん…」
「そうだぞ、種族わかんないとか記憶ないとか正直無理あるぞ」
「ゔっっ…気づいてたのね、頑張って誤魔化してたのに!」
「え…隠す気あったのか?」
「そう言うな、フィン…可愛い演技だったぞ。桃」
「もー!バレてたなんて恥ずかしい!そうだよ!私人間!異世界から気づいたらあの森にいました!よろしく!!はい、これで良いでしょ?」
「異世界から…なるほどな、それなら説明がつく。」
「異世界…!(尻尾ふりふりお目目きらきら)」
「僕も異世界興味あるなぁ~。しばらくこの屋敷にいるんだろうし、色々教えて~」
「てことは、ロウも桃の夫になるってことだな?」
「ベン…当たり前でしょ。こ~んなに可愛いくて、素直で、特別で、穢れがない子なんて他にいないから!一目惚れ!桃ちゃん!僕のことも夫にして~♡」
桃は、地球の貞操観念が通じない世界だとわかってきた…もうどうにでもなれ精神で
「ロウさん、よろしくお願いします。あのっ…でも、私…一妻一夫制の国から来たので、まだ…一妻多夫ていうのに、慣れなくて…」
「え~?フィンとイチャイチャしてる時点で今更じゃない?僕が頑張れば良い話だからね~桃ちゃんはただ愛されてれば良いんだよ?」
「でも!私!愛されるだけじゃなくて全力で愛したいんです!!」
「桃…そんな風に思ってくれていたんだな、あの日桃に出会えていてよかった。」
「孤児だった俺がこんなに最高の嫁貰えるなんて…夢みたいだ」
「くぅー!僕この言葉聞く為に生まれてきたのかもしれない!幸せすぎて怖い…」
3人は恍惚とした表情で、桃を見つめた。その視線は甘く、粘着質な色気に満ちている。その奥に独占欲が見え隠れする。
「この館にいる限り、安全だよ。外には魔獣がいるから獣人は寄ってこないし、森の支配者は僕だから侵入者がいればすぐわかる。魔獣も僕には逆らえない。物資も精霊達が調達してくれる…」
「そうなんだ…!あの、でも、ここって賢者の森って言われてますよね?賢者って…?」
「賢者は僕だよ。獣人って長生きなんだけど、僕は結構…長生きでね?街の連中が勝手にそう呼ぶんだ。あ、ちなみにベンも僕と同じくらいの歳だよ」
「ええ!それっていったい何歳…?」
「俺はたしか1500…くらいだったはずだ」
「そだねー、僕もそんくらいだった気がする」
「ええっ!…まさか、フィンも?」
「俺はまだ112さいだ」
「ひゃ、ひゃく…」
「な?桃…17と言った時点で獣人ではないとバレていたんだ…」
「え!桃17歳なのか?赤ちゃんじゃねぇか」
「そ、そんなぁ、あ!ちなみに獣人の寿命って何歳なの?」
「これは本当に強さによるんだが、だいたいは15000強い奴なら20000…くらいか?」
「そうだな、そのくらいかもしれない…」
「桃…さっきから嫌な予感しかしないんだが…人間の寿命って…」
「長くて100」
「「「!!!!???」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回もよろしくお願いします
お気に入り、感想、いいね、よろしくおねがいします
145
あなたにおすすめの小説
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。
具なっしー
恋愛
高校2年生!葉山空が一妻多夫制の男女比が20:1の世界に召喚される話。そしてなんやかんやあって自分が伝説の存在だったことが判明して…て!そんなことしるかぁ!残念女子高生がイケメンに甘やかされながらマイペースにだらだら生きてついでに世界を救っちゃう話。シリアス嫌いです。
※表紙はAI画像です
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる