猫なので、もう働きません。

具なっしー

文字の大きさ
10 / 13

7下 王宮パーティー

しおりを挟む
今日は、ついに王宮のパーティー当日だ。
兄様と婚約を結んだあの日、家に帰ってお父様に報告すると――体の水分がなくなるんじゃないかってくらい号泣して喜んでくれた。

それから今日まで、2人とは朝食と夕食の時しか会えなかった。何やら「作戦」を練る必要があるらしい。

私はといえば、それなりに忙しい毎日を過ごしていた。
(もちろん、昼寝は欠かさず!)

まずは専属執事セドリックによるスパルタ・マナーレッスン。
貴族社会でやっていけるか不安で、私も必死に食らいついた。
セドリックは“飴と鞭”の使い分けが見事で、レッスン中は泣きそうになるほど厳しいけど――終わったあとのご褒美スイーツと、彼の淹れる紅茶は格別だった。

そして、一番きつかったのがドレス選び。
その日は父様と兄様、使用人全員、セオドア伯爵と双子まで集まって、“ドレス会議”が行われた。
「こっちだ!」「いやこちらが!」と、私を着せ替え人形にして議論が白熱。

最終的に、私が選ぶことになって――激戦を勝ち抜いたのは、セドリック提案のドレスだった。

それは、クリーム色に淡い金糸の刺繍が散りばめられた一着。
胸元から腰にかけて繊細なレースが重なり、裾はふんわりと広がる。
光を受けるたびに、リボンとレースが桃色に透けるように輝いて――控えめだけど、確かに“特別”を感じるドレスだった。

推しドレスが選ばれなかった面々は最初こそ悔しそうにしていたけど、私がそのドレスを着た姿を想像した瞬間――全員、鼻の下を伸ばしてニヤニヤしていた。



数々の試練を乗り越えて迎えた今日!
私は朝早く起こされ、セドリック主導でぴっかぴかに磨き上げられた。

髪は緩く巻かれ、耳の後ろに編み込みを一本。小花のピンと小さなリボンがところどころに飾られ、頬には淡いチーク、唇には桃色の艶。
全体は派手すぎず、柔らかく上品な印象だった。

「やりきった……我が人生に悔いなし」
「天使!?妖精!?女神!?」
「今夜の主役はお嬢様で決まりだ!」
「目が幸せ……」
「求婚者が絶えませんね…」

みんなのテンションがすごい。

「みんな、こんなに綺麗にしてくれてありがとう!なんだか生まれ変わった気分! 素敵な格好に恥じないように頑張ってきます!」

「「「「「お嬢様……尊い!!!」」」」」

「セドリック!」
「お嬢様、私……厳しくしてしまいましたが、嫌われてはいませんか?」
「嫌うなんてあるわけないよ。私のために丁寧に教えてくれてありがとう!」
「お嬢様……!では、これからも最高の淑女になれるよう、全力でサポートいたします!」
「お、お手柔らかに……!」



部屋がノックされる。お父様の声だ。
「フィオナ、準備はできたか?」
「はい!」
「入るぞー」

扉が開くと――お父様と兄様が固まった。
もう恒例の“フレーメン反応”である。

「ゔっ……ゔん!」(セドリックの咳払い)

「フィオナ……あまりの美しさに言葉を失ってしまったよ……!我が娘に出会えた奇跡に感謝を……!!」
「フィオナ……君は幸福を運ぶ妖精だったのかい?」(違います)

父様も兄様も、完全に親バカ全開である。
しかも今日は、2人とも眩しすぎるほどの美貌で。いい香りまでして……反則。

こうして私たちは、屋敷のみんなに挨拶をして馬車に乗り込んだ。



秋の終わり。澄んだ空気と色づいた並木道。豪華な馬車が石畳を進むたび、蹄の音が王都の静けさを割いた。遠くに見える白亜の塔が、夕陽を浴びて金色に溶けていく。

「フィオナ、初めての王宮だね」
「はい……でも、緊張より楽しみです!」

兄様の腕の中で少し安心しながら、胸の奥がわくわくと高鳴る。



会場に入ると、ザワついていた空気が一瞬で静まり返った。
私、何かした?と不安になって兄様を見上げると、兄様は優しく微笑んでくれた。
その瞬間――あちこちから黄色い悲鳴が。

……うん。兄様、罪だと思う。

王様と四人の王子が入場し、挨拶を終えると、私たちは招待主である第三王子・エドワード殿下のもとへ向かった。

「アルフォンス殿下、ラファエル殿下、エドワード殿下、オリヴィエ殿下――お久しぶりでございますフェルモント家当主のアーサー・フェルモントです。」
「フェルモント家長男、レオンハルトです」
「同じく長女のフィオナです」

「そんなに硬くならずに。今日は楽しんでくれ」

挨拶を終えた父様は王の元へ呼ばれ、私と兄様が残る。
(アーサーは王様…その為諸々の貴族にフィオナに変な虫がつかないよう暗躍しに行った。)
顔を上げると、王子たちが――固まっていた。

……またフレーメン反応。なんなのこれ。私臭いとかじゃないよね??

「フィオナ嬢、今日も一段と美しいね。会場中が君に夢中だよ。勿論僕も…ね?」
「ありがとうございます」
「殿下、ぼ!く!の!婚約者の前で軽率な発言はお控えください」
「ははは、事実を言っただけだよ?それにしても…レオ、フィオナの前と普段の態度違いすぎじゃないか?」
「うるせぇですよ」「兄様!不敬ですよ!」
「…」

兄様と王子たちのやり取りは恒例の儀式なのかもしれない(?)

「それより、私の兄弟を紹介しよう。ほら!にいさん達!オリー!戻ってこい!」

「「「はっ!!!」」」

王子たちがフレーメンの世界から帰ってきて、次々と自己紹介を始める。

「第一王子、アルフォンス・ヴェルデンだ。よろしくな。ちなみに恋人も婚約者もいない!」
「にいさん、抜け駆けとかずるいよぉ…第二王子、ラファエルだよぉ~よろしくねぇ、僕も今はフリーだよぉ!」
「第四王子……オリヴィエ。フリー……」

「ふふっ、オリーは人見知りでね。フィオナ嬢と同い年なんだ、仲良くしてやってくれ」

一度に4人の王子と対面して私は目を回しそうだった。深呼吸して、精一杯の笑顔で挨拶をする。貴族スマイル、貴族スマイル、貴族スマイル…
「お、お会いできて光栄です……!」

瞬間、王子たちのテンションが爆上がりした。

「よかったらテラスで一緒に星を見ない?」
「僕と散歩はどうかなぁ?フィオナちゃんが喜びそうなお花沢山あるんだぁ」
「王宮のお菓子も食べてみてほしい、意見を聞きたいな」
「僕……話したい」

混乱する私。静かに火を噴く兄様。

「僕の婚約者だ。……誰も手を出すな」

王子たちは笑って受け流す。

「ずるいぞ、レオンハルト」
「そうだよぉ、フィオナちゃんが可愛すぎるんだもん。出会っちゃったらもう他の女の子じゃ満足できないよぉ…」
「だまれ変態おっさん共!」
「ぐはっ!」
「なんだよぉ~、兄さんはおっさんだけどぉ「ぐはっ!ラフィ!!」僕は1個しか違わないじゃん「俺も2個だ!」」
「レオ…天使を人間界に連れてきた時点で君の負けなんだよ」
「ぐっはっっ!」

兄様と王子たちが仲良く話しているのを横目に(バチバチに殺りあっています。)こそこそオリヴィエが近づいてきて話しかけてきた。……デジャヴかな?双子の弟リアムもこんな感じだったな。

「ねぇ、フィオナ嬢……学院に通う?」
「学院?うーん、まだわからないです。殿下は?」
「……オリーって呼んで。敬語いらない」
「オリー様?」
「……」
「オ、オリー?」

ぱぁっと笑うオリー…かわいい。
「僕はなんで呼ぼうかな…」
「だいたいフィオナ、フィオナちゃん…かなぁ、あっ!フィーちゃんって呼ぶ人もいます!」
「ふーん…だれ?」
「グレイス家の双子の兄ルークです」
「あー、あいつね…わかった…」
「?」

「僕はフィーって呼ぶ」
「わかりました!オリー!」
「フィー!」

「「「あ!オリー抜け駆けだ!ずるい!!」」」

こうして、王子全員に“フィー”呼びされることになった。
そして私もそれぞれを――アル、ラフィ、エディ、オリーと呼ぶことに。

そらから、王子達とテラスで星を見て、庭の花を見て、お菓子を食べて、いっぱい話して、なんだかんだ楽しんでいたら、お父様が帰ってきて、子供は寝る時間だからって会場中で1番早く帰ることになった。…女の子のお友達欲しかったなぁ…あ!学院に行ったらできるかもしれない。帰ったら聞いてみよう。

こうして、フィオナの貴族社会デビューは幕を閉じたのだった。
まだ、日も落ちていなかった…




ーーーーーーーーーーーーーーー

王子達の性格です。

アルフォンス・アル(17)
ー脳筋、真面目
ラファエル・ラフィ(16)
ー魔性の遊び人
エドワード・エディ(15)
ー腹黒、お茶目
オリヴィエ・オリー(9)
ー無口でピュアな末っ子(あざとい)

王位はエドワードが継ぐ予定になっています。
キャラが増えたので、双子とキャラが混じらないように頑張ります。
次回からは学院編をお送りします。多分

感想、いいねお願いします!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様

恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。 不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、 伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。 感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、 ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。 「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」 足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。 「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」 一度凍りついた心は、二度と溶けない。 後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、 終わりのない贖罪の記録。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました

まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」 あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。 ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。 それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。 するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。 好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。 二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

もふもふな義兄に溺愛されています

mios
ファンタジー
ある施設から逃げ出した子供が、獣人の家族に拾われ、家族愛を知っていく話。 お兄ちゃんは妹を、溺愛してます。 9話で完結です。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

処理中です...