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疑似恋愛
第7話ー3
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「だいたい、本気で逢引きする気ならここは選ばない」
レオンにそう言われ現在地を認識する。人通りもそこそこに、どこからも見える場所だ。
“見晴らしのいい場所”そんなところで婚約者持ちの令嬢が逢引きなどする分けはない。
「ですが……」
気落ちしたウォルフリックに今度はランハートが助言する。
「大丈夫ですよ。あなたがそんな人ではないのはわかっていますし。“本気で逢引きする場所”ならレオンが詳しいので聞いたらいいと思いますが」
レオンが、得意げな顔をして見せ、場を和ませた。ランハートは、ウォルフリックとリティアが何度も二人でいるのを見た人がいても噂にならない理由を説明した。
「我々貴族の間で、リティアはもう王家の一員のような扱いなんだ。こんな場で堂々と他の男性といたからといって誰も軽々しく噂にしたりしない。というか、出来ないんだ。不確かな情報を安易に流してしまえば王族不敬で断罪される可能性もある」
「そんな、大袈裟な」
リティアは否定したが、レオンもランハートも嘘じゃないと肩をすくめた。
「リティ。君はこの国の次期皇后なだけではなく、オリブリュス公爵令嬢だ。お父上の力もまた偉大なもので、とにかく君を敵にまわすと大変なことになる。誰もそんな危ない橋は渡らない。君はだいたいのことは許される身なんだってこと」
ランハートがリティアに微笑むと、リティアは妙に居心地が悪くなった。
「だいたいのことって……」
「不貞以外、ってことだな。継承権に関わるから」
「し、しないわよ! 」
リティアはカッっと顔を赤らめた。
「それに関しては、一切の疚しいことはありません」
言うなり、きゅっと口を結び凛々しい表情のウォルフリックに、レオンとランハートは顔を見合わせ、吹き出した。ウォルフリックはそれをなぜ笑われたのかわからず、不服そうに見ていた。
「すみません。シュベリー卿、本当に疑っていません。あなたとのことも、リティのことも信じている。それに、あなた方はそんな人ではない」ランハート身を正してウォルフリックに話しかけた。
「ええ、誓って」
ウォルフリックは自身の胸に手を当てた。
「そうそう。疚しくないんだから構わないさ。みんな、ちゃんとわかってる。だだ、まぁ男女である限り触れるのはやめよう。俺も今後は気をつける」
レオンが自身の行動を含めて忠告した。
「ええ、ごめんなさい。気を付ける。もっと、ヴェルター殿下の婚約者であることに自覚を持たなくちゃ」
ずっと婚約者として教育され、生きてきたのに、気が抜けてしまっていたのだろうか。リティアは自身に呆れ、落胆する気持ちだった。
「俺たちは責めたいわけじゃなくて、リティ。レオンの言う通り、誰も君たちの関係を深読みしたりしてないさ。むしろ、微笑ましいほどに清爽としている。だけどな、まぁ、気にする奴もいて、だな」
ランハートは言葉尻を濁した。
「……どういうこと? 誰も気にしないんじゃないの? 」
リティアはランハートの矛盾を指摘したが、ランハートは苦笑いで返しただけだった。わからないリティアはレオンの顔を伺ったが、レオンもランハートと同じように笑うだけだった。
ウォルフリックは、「奴……」と呟き、顎に手を当て考えていたが心当たりがあったのか、あっと小さく呟き顔を上げた。
「大丈夫です、罪にはなりません」
ランハートがウォルフリックにそう言い、リティア以外はわかっている様子だった。
「あ、これ、どっちにもやきもち大作戦だったりします? 」
レオンが唐突に言ったが
「なわけない。嫉妬誘発作戦など必要ない立場だろう」
ランハートが否定する。ウォルフリックはまた何かを考え、美しい漆黒の瞳を見開いた。
「まさか、どっちも、とおっしゃいましたか」
ランハートとレオンがまるで示し合わせたかのように同じ顔で首を傾げた。
「ええ、あなたの恋人……」
ランハートが言い切る前にウォルフリックは否定した。
「ち、違います! 私の片思いで、あちらにご迷惑をかけるわけには……」
「あ、ああ、ああ。ああ、そうでしたか」
普段は落ち着きのある、口数の少ないウォルフリックの前のめりな様子に、ランハートもレオンも後ずさり、「や、卿なら誰でも落とせるだろう」「どう見ても向こうも気があるだろう」という二人の言葉はある種の狼狽の中にいるウォルフリックには聞こえていなかった。
少し落ち着いた頃
「なぜ、私が懸想していることをご存じなのでしょうか」
レオンは「わかりやすいからです」と安易に応え、憔悴するウォルフリックを前にランハートに咎められていた。
「以前、一緒にいらっしゃるのをお見掛けして。あなたが令嬢と話されるのは珍しいですから、恋人なのかと思っただけです」
「……そ、そうですか。めったにお会いしないヴェッティン卿がそうおっしゃるのですから、私の想いは隠しきれていないのでしょうね」
ランハートもレオンも小さな子を微笑ましく見つめる瞳になっていた。
「そういえば何となく、彼女の前であなたは柔らかな表情をされていましたね」
「ははは、何がだよ。シュベリー卿はべルティーナ嬢の前では左手がずーっとぐーだぞ、ぐー」
「レオン! 」
ウォルフリックは信じられないくらい赤く染まった。
レオンにそう言われ現在地を認識する。人通りもそこそこに、どこからも見える場所だ。
“見晴らしのいい場所”そんなところで婚約者持ちの令嬢が逢引きなどする分けはない。
「ですが……」
気落ちしたウォルフリックに今度はランハートが助言する。
「大丈夫ですよ。あなたがそんな人ではないのはわかっていますし。“本気で逢引きする場所”ならレオンが詳しいので聞いたらいいと思いますが」
レオンが、得意げな顔をして見せ、場を和ませた。ランハートは、ウォルフリックとリティアが何度も二人でいるのを見た人がいても噂にならない理由を説明した。
「我々貴族の間で、リティアはもう王家の一員のような扱いなんだ。こんな場で堂々と他の男性といたからといって誰も軽々しく噂にしたりしない。というか、出来ないんだ。不確かな情報を安易に流してしまえば王族不敬で断罪される可能性もある」
「そんな、大袈裟な」
リティアは否定したが、レオンもランハートも嘘じゃないと肩をすくめた。
「リティ。君はこの国の次期皇后なだけではなく、オリブリュス公爵令嬢だ。お父上の力もまた偉大なもので、とにかく君を敵にまわすと大変なことになる。誰もそんな危ない橋は渡らない。君はだいたいのことは許される身なんだってこと」
ランハートがリティアに微笑むと、リティアは妙に居心地が悪くなった。
「だいたいのことって……」
「不貞以外、ってことだな。継承権に関わるから」
「し、しないわよ! 」
リティアはカッっと顔を赤らめた。
「それに関しては、一切の疚しいことはありません」
言うなり、きゅっと口を結び凛々しい表情のウォルフリックに、レオンとランハートは顔を見合わせ、吹き出した。ウォルフリックはそれをなぜ笑われたのかわからず、不服そうに見ていた。
「すみません。シュベリー卿、本当に疑っていません。あなたとのことも、リティのことも信じている。それに、あなた方はそんな人ではない」ランハート身を正してウォルフリックに話しかけた。
「ええ、誓って」
ウォルフリックは自身の胸に手を当てた。
「そうそう。疚しくないんだから構わないさ。みんな、ちゃんとわかってる。だだ、まぁ男女である限り触れるのはやめよう。俺も今後は気をつける」
レオンが自身の行動を含めて忠告した。
「ええ、ごめんなさい。気を付ける。もっと、ヴェルター殿下の婚約者であることに自覚を持たなくちゃ」
ずっと婚約者として教育され、生きてきたのに、気が抜けてしまっていたのだろうか。リティアは自身に呆れ、落胆する気持ちだった。
「俺たちは責めたいわけじゃなくて、リティ。レオンの言う通り、誰も君たちの関係を深読みしたりしてないさ。むしろ、微笑ましいほどに清爽としている。だけどな、まぁ、気にする奴もいて、だな」
ランハートは言葉尻を濁した。
「……どういうこと? 誰も気にしないんじゃないの? 」
リティアはランハートの矛盾を指摘したが、ランハートは苦笑いで返しただけだった。わからないリティアはレオンの顔を伺ったが、レオンもランハートと同じように笑うだけだった。
ウォルフリックは、「奴……」と呟き、顎に手を当て考えていたが心当たりがあったのか、あっと小さく呟き顔を上げた。
「大丈夫です、罪にはなりません」
ランハートがウォルフリックにそう言い、リティア以外はわかっている様子だった。
「あ、これ、どっちにもやきもち大作戦だったりします? 」
レオンが唐突に言ったが
「なわけない。嫉妬誘発作戦など必要ない立場だろう」
ランハートが否定する。ウォルフリックはまた何かを考え、美しい漆黒の瞳を見開いた。
「まさか、どっちも、とおっしゃいましたか」
ランハートとレオンがまるで示し合わせたかのように同じ顔で首を傾げた。
「ええ、あなたの恋人……」
ランハートが言い切る前にウォルフリックは否定した。
「ち、違います! 私の片思いで、あちらにご迷惑をかけるわけには……」
「あ、ああ、ああ。ああ、そうでしたか」
普段は落ち着きのある、口数の少ないウォルフリックの前のめりな様子に、ランハートもレオンも後ずさり、「や、卿なら誰でも落とせるだろう」「どう見ても向こうも気があるだろう」という二人の言葉はある種の狼狽の中にいるウォルフリックには聞こえていなかった。
少し落ち着いた頃
「なぜ、私が懸想していることをご存じなのでしょうか」
レオンは「わかりやすいからです」と安易に応え、憔悴するウォルフリックを前にランハートに咎められていた。
「以前、一緒にいらっしゃるのをお見掛けして。あなたが令嬢と話されるのは珍しいですから、恋人なのかと思っただけです」
「……そ、そうですか。めったにお会いしないヴェッティン卿がそうおっしゃるのですから、私の想いは隠しきれていないのでしょうね」
ランハートもレオンも小さな子を微笑ましく見つめる瞳になっていた。
「そういえば何となく、彼女の前であなたは柔らかな表情をされていましたね」
「ははは、何がだよ。シュベリー卿はべルティーナ嬢の前では左手がずーっとぐーだぞ、ぐー」
「レオン! 」
ウォルフリックは信じられないくらい赤く染まった。
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