真水のスライム

ふぃる

文字の大きさ
21 / 228
レミレニア編

21話 三人連携①-魔法の属性

しおりを挟む
 翌日、待ち合わせの時間。
 この付近で修練所というとこの1ヶ所だけだが、自信を持てるほど土地に慣れてる訳でもなく、不安と緊張の間のような気持ち。
 昨日は予定より早い時間に合流してただけに、余計に気になる。


「おまたせ。…少しくらいゆっくりしてもいいのよ?」
 約束の11時、エンが合流。とりあえずの安堵。
「そんな時間かけるほどの準備は無いし、何かしようにも資金がそんなに……。」
 言ってて悲しくなってきた。話をそらさなきゃ。
「それで、具体的には何を試すつもりなの?」
「単純な話よ。私の魔法をどこまで受けて平気か、今の内に試したいの。
 見たところ物理的なダメージは受けないみたいだけど、魔力的な所は分かってないんでしょ?」
 手招きに従い移動しつつ、ラディに投げかけられる。
「なんどかまほう?を受けたようなおぼえはあるのですが、こまかくは……。」
「限界が分からない、逆を言えばどの程度からダメかも分からない。
 大丈夫と思って取った行動が許容を超えてた、なんてなったら大事おおごとでしょ?」
「なるほど……。」
 同じように納得はしたが、同時に垣間見える言葉の裏。
「それはつまり、ラディがどれくらい利用できるか、って事?」
「利用する…と言うと聞こえは悪いけど、そこに優位性があるなら、それをちゃんと把握して、最大限に生かすべき。
 中途半端な潔癖心で行動を縛って、得られるはずのもの見過ごして、守れるはずのものをも見過ごすよりはよっぽどマシ。」
「それは…まぁ確かに。」
「そういう事なの。出し惜しみをするって事は。
 形式ばった決闘じゃないんだから、手段は選ぶべきじゃない。」
 それに納得はするものの、慣れるまではしばらくかかりそうだ。


 防魔網で囲われたグラウンド、点在するダミー用の木人。
 隙間の時間帯なのか、人はほとんどいない。中々に好都合。奥まった角のエリアを借り、自分は隅のベンチで見学。
「はじめる前に、1つ、聞いてよろしいでしょうか?」
「いいよ。何が知りたいの?」
「まほうって、どれくらい種類があるのです? なにが大丈夫でなにがだめか、じぶんでも覚えておきたいので。」
「…なるほど、そこからなのね。」
 少しの思考ののち、エンが続ける。
「まず、基本となる属性は6つあるの。火、水、風、土、光、闇。
 扱える属性には適性があるから、今いる中で試せるのは半分ってとこね。」
「通り名にある雷、というのは?」
「順を追って、試しながら説明するね。
 まずは炎、セイル君が多分そうよね。ついでだし試しておく?」
「いえ、炎はすこしふれましたが、へいきでした。」
「…僕が威力を出せないだけ、ってのもあるかもだけどね。」
 そのふてくされの言葉は聞き流され、エンが次の準備に入る。
「オーケー。じゃあ次は光、私の適性属性ね。」
 天に向けた手のひらの上に、光の玉が作られる。
「まずは威力を抑えて撃つから、どれくらいなものか、聞かせて…ねっ!」
 光玉は光線へ。目で追えぬ速さでラディに命中する…が、
「…効かない前提で考えてたとはいえ、微動だにしないなんて、術士としてちょっと悔しいわね。」
「全然なんともないです。つぎは、全力でおねがいします。」
「…ほんとにいいの?」
 そうは言いながらも手のひらの上には、さっきよりも強く輝く光玉が。
「はい、おねがいします。」
 ラディの言葉をトリガーに、眩い閃光が走る。おそらく光線なのだろうが、その軌道を視認すらできない。

 辺りに水が散ってるのが見える。その中心の水の塊が、再びラディの姿をかたどる。…さっきより一回り小さい、気がする。
「…大丈夫なの?」
「はい、ちょっとだけけずられましたが、なんとも。」
 逆に、散った水には何も起こらず、土に吸い込まれていった。
「なら、光に関しては全く問題なさそうね。
 そしたらもう1つ……。」
 エンが三度右手の上に光玉を作る。今度は左手も添えて。
「属性には基本の6種類のほかに、風属性を使う合成属性があるの。これがその1つ。」
 エンの左腕にある腕輪が輝きを放つ。おそらくあれが、属性の変換でもしてるのだろう。
 光玉がバチバチと音を放ち、雷の玉になり、前方へと稲光があふれ出す。
「これ、出力を抑えるのが難しいの。だからラディ君の方から、どこまで平気か来てくれる?」
「りょうかいです。」
 おそるおそると、ラディが近付いていく。ゆっくりだけど、足を止める素振りはない。
 そして、雷の中を平然と歩き、エンの目の前までたどり着く。
 そのままラディが、雷玉に触れようとする。が、魔力が一瞬揺らぎ、触れかけた指先から手首まで凍る。
「…これは?」
「風の魔力に反応して、氷属性が発現した、かな。感覚はあるの?」
「はい。動かない…けど、体のいちぶであると感じとれます。」
「…となると、死ぬ訳ではないにせよ、要注意ね。」
 ラディの右手が流動し、代わりの手が形成される。
「…ほんとにほぼ何でもありね。」


「ごーせいぞくせいというのは、全部にあるのです?」
 酒場に向かう途中、ラディからの疑問にエンが答える。
「大きく変わるのは、雷と氷の2つだけね。炎と風は昔は相乗効果とされてたけど、合成の概念が言われ始めて爆発属性と再定義されたくらい。
 闇は定義が曖昧というか、他に属さない性質を便宜上まとめてるだけで、合成とは無縁ね。
 土は、使い手が希少すぎてね。もう使い手が残ってないんじゃないか、って言われるくらい。」
「なるほど。もしも土使いに会えたらラッキー、ですか。」
 確かに、土属性使いに関する伝承は記憶に薄い。少なくとも、読んだ事のあるアスレィ伝記には無かったはずだ。
「ラッキーなんてもんじゃないよ。けど、記録によると土使いの影響はすさまじく、街1つを崩壊させるのも容易いほどだとか。
 …こう言うのもなんだけど、存在しないと思う方が気が楽よ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても

千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。

秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。 「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」 第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。 着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。 「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。 行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。 「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」 「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」 氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。 一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。 慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。 しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。 「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」 これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。

【完結】身勝手な旦那様と離縁したら、異国で我が子と幸せになれました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
腹を痛めて産んだ子を蔑ろにする身勝手な旦那様、離縁してくださいませ! 完璧な人生だと思っていた。優しい夫、大切にしてくれる義父母……待望の跡取り息子を産んだ私は、彼らの仕打ちに打ちのめされた。腹を痛めて産んだ我が子を取り戻すため、バレンティナは離縁を選ぶ。復讐する気のなかった彼女だが、新しく出会った隣国貴族に一目惚れで口説かれる。身勝手な元婚家は、嘘がバレて自業自得で没落していった。 崩壊する幸せ⇒異国での出会い⇒ハッピーエンド 元婚家の自業自得ざまぁ有りです。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/07……アルファポリス、女性向けHOT4位 2022/10/05……カクヨム、恋愛週間13位 2022/10/04……小説家になろう、恋愛日間63位 2022/09/30……エブリスタ、トレンド恋愛19位 2022/09/28……連載開始

処理中です...