真水のスライム

ふぃる

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レミレニア編

71話 方向転換②

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 事務的な手続きで無駄に待たされ、念の為としてその日は解散となった。

 ラディにもお気に入りの場所が見つかったらしく、解散してすぐ別行動となった。
 それならそれで、丁度良かった。少し気になる事があり、まだ時折迷いながら図書館に向かう。

 以前時間をかけたお陰で、今回の目的の本棚まではさほど迷わなかった。
 とはいえ専門外の調べ物、本の選定が合ってるかが分からない。片っ端から調べていくしかない。
 とりあえず手始めに3冊取り、近場の机につく。


 …特に周りを見ず選んだ席なのに、妙な偶然もあるものだ。
 2つ空席を挟んだ向こう側に、見慣れた黒い姿があった。

 積み上げられた本を、何かを探すように目を通していた。
 向こうも気付いたようで一瞬視線がこちらに来たが、すぐに自分の作業に戻った。
 その意思に合わせ、こちらも干渉はせず自分の用事を済ませるべきなのだろう。
 だが、以前から気になってた事を聞くチャンスだとも思ってしまった。

「なぁ、ひとつ聞いていいか?」
 エンの本の区切りを見て、声をかける。
「…いいよ、何?」
「何で銀板級を焦るんだ?」
「焦る? 私が?」
 その言葉に反して、何やら思い当たる節ありげな様子。隠そうとしている領域に、一歩踏み込んでみる。
「いつもはちゃんと考えてから答えるエンが、昨日は反射的に答えてた気がして。
 それに、前から違和感はあったんだ。エンの行動力なら、その、余程なパーティでもない限り順当に戦果を挙げれる思う。
 なのに、何度もエンのいるパーティが解散になったって聞いて気になってたんだ。
 けどそんな悪評になりかねない事、普通はやらないと思う。どこかで妥協して、1・2回くらいで留めたいのが大方の心境ってとこだろう。」
「…とりあえず、その噂話は肯定しとくね。その過半数は私の方から切り出した事、と補足もしとく。
 それで、私を厄介者だと糾弾する?」
「いや、そういう訳じゃない。
 だけど何らかの理由で銀板級の位…に付随する権利か? それが目的だとしたら、納得がいく。
 試行回数で銀板級たりえる実力者探し、それに銀板級試験への最短とも言える戦果稼ぎの立ち回りへのね。」
「……。」
「その上で、改めて聞いておきたい。
 銀板級の位を取るのを、急ぐか?」
 少し長い思考ののち、エンが答える。
「…詳しくは言えない、けど銀板級になっておきたいのは確か。
 その為にその…色々と利用しようとしてきた事も否定できない。あなた達の事もね。」
 一息の間を開け、言葉を続ける。
「見限るなら、早い内がいいよ。実力はあるんだから、他でもいいパーティが組めるだろうし。」
「いや、利用するしないとかは別にいいんだ。元々形式的な組み方だった以上、そういう心持ち的な所に期待はしてなかったし。
 ただ、昇級を急ぐなら急ぐで意志の統一はした方がいいと思っただけ。
 …だけど、話せると思ったらその理由も話してくれると嬉しいな。」
「…分かった。ごめん。
 その為にも調べないといけない事があるから、これで。」
 そう言い読み終わりの本の山を抱え、本棚の陰へと向かっていった。
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