真水のスライム

ふぃる

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シント編

210話 動乱④

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 注目が集まる中、その場を離脱し、移動開始する。
 なるべく目立つような移動、それに翼という手段は丁度いい。
 おおよその形は冒険団の時のを思い返す。その時と同じようにイメージするが、鎧と同じように赤黒い霧のように生成される。
 同時に次の行動規模に合わせ、爪も大きく伸ばす。
 向かう先はより人目につく所、塔の方面がいいだろう。

 移動の途中でも、通りすがりの建物に爪の跡を付けていく。
 神秘性が話題性になるのは体験済みだ。
 加えて見ると思い出さざるを得ない痕跡もあれば、より効果的だろう。
 徐々にイメージが安定してきたのか、爪の先の感覚が、指先のもののように伝わってくる。
 塗装の裏の石材だろうか、深くは刺さらないが、ガリガリと削る感覚。途中で当たったのはおそらく木製の看板、裂かれ接合が外れ、落ちる音が後ろから聞こえる。

 翼の扱いにも慣れてきた。
 それと同時に、安定性の不足を感じる。
 そうか、竜や竜人ドラゴニュートは尾で飛行のバランスを取る、と本にあった。そういう事か。
 近くの屋根に爪をひっかけ、壁面に一度止まる。レミレニアの酒場で纏っている人を見かけた、竜人用の鎧を思い浮かべ、そしてその尻尾のイメージを、今の実体の鎧に投影する。
 再び飛翔、流石にすぐには使いこなせない。が、動きの自由度が増えたのは分かる。意識していけば、じき慣れるだろう。

 途中、脇道にまた英傑と鈍色仮面の戦いを見かける。
 最初と同じ要領で割り込み、双方に一撃。そのままバウンドするように再び宙へと地を蹴る。
 そのまま一度状況確認の為に、近場の建物の屋上、英傑の路へと向かう。

 けど予想外の待ち伏せ。
 何者かの影、付く前に白い得物の振り下ろしの一撃。。
 それを爪で受け止め、落ちないよう壁を蹴り道を挟んだ逆側へ着地する。
 だが相手も大きく跳躍し、追撃を仕掛けてくる。
 弾き、互いに同じ屋根の上で一騎打ちとなる。
 その相手は──

「なんの祭りのつもりか知らんが、俺も混ぜてもらおうか!」
 テムスさんの武器が旗へと変化し、互いを風属性の白い魔力線が囲う。
 大きな風の輪により外と遮断され、邪魔の入らない戦場が作られる。
凪の輪具カーム・スタジアムだ。どこか行きたくば、この俺、テムス・プラーネを倒していくがいい!」
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