真水のスライム

ふぃる

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シント編

211話 動乱⑤

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凪の輪具カーム・スタジアムだ。どこか行きたくば、この俺、テムス・プラーネを倒していくがいい!」
 テムスさんの武器が旗へと変化し、互いを風属性の白い魔力線が囲う。
 大きな風の輪により外と遮断され、邪魔の入らない戦場が作られる。
 しかしまさか、よりにもよってテムスさんと居合わせるなんて。

「鈍色仮面とは別のようだが…何か知っていそうだな。聞かせてもらおうか?」
 テムスさんが旗の柄の先を地面に突き立てる。
 地面付近を衝撃波が走り、足を取られ体勢を崩し手を地に付く。
 けど次の手が来る前に、翼の力で強引に跳躍。
 もっと具体的な、空中で戦うイメージを。
 錯覚か否か空中を蹴り、攻めに転じる。
 爪の射程も伸ばし、裏拳の要領で次の一手。

 だが立ち回りに余裕のある状態の相手、受け止められ弾くついでに旗の一薙ぎ。
 突風を空中で受けてしまう。上下混乱するまま思いつくままに宙を蹴り、さらに上空へ。
 そのまま杭を3本生成し、テムスさんを狙って順に落とす。支配されていたディエルが使っていたものだ。そのイメージが魔石に残っていたのか、明確な形を持って生成されている。
 数歩下がり回避するその隙、にこちらは接近する。
 テムスさんが旗の布部分を消し、近接の構えへと移る。

 テムスさんの踏み込み、棍を低く構えている。
 見覚えのある軌道、その棍の先を読み小型の杭を突き立て、そのルートを潰す。
 しかし対応され手を変え、逆方向に体をひねり棍の逆側で攻めてくる。
 爪で受けるまでもない低さ。跳躍回避、これも以前見た手だ。
 その時は確か、軌道高めの薙ぎの追撃が来ていた。
 だが予想外の突きの追撃。鎧が防ぐが、衝撃が重い。

「…戦いの心得はあるようだな? だが──」
 棍が再び旗になる。遠隔追撃に備え、大きく迂回。
 そこに行き先を読んだであろう風の一撃。宙を蹴り方向転換、一気に距離を詰める。
 見えた迎撃のそぶり、少し跳躍して頭上から背後を取る。即座に踏み込み切り返し、急襲。
 辛うじて対応される、が、テムスさんの武器を弾き飛ばす。

 テムスさんが武器を落とした今、ここから決着のイメージがついてしまう。
 無策で受ければ、例えテムスさんといえど…いや、躊躇しない、そう決心したはずだ。

 魔石の記憶から杭を引き出し、それを辺り一面に散らす。
 乱雑に散りばめたそれらが陽を遮り、前方一帯が暗くなる。
 その無数の杭を、テムスさんを中心とした一帯に、一斉に落とす。

 流石に一気に使いすぎたか、杭はすぐに形が崩れ消失する。
 だが風術でずらされたのだろう、テムスさんの周囲には杭が付けた破壊跡が少ない。
 それでも、テムスさんにダメージを負わせるには十分だったようだ。
「…いい技を使うじゃないか。だが、まだ……。」
 傷だらけになりながらも、どうにかまだ立ってはいる。が、既に凪の輪具には拘束力があるようには見えない。
 これ以上戦う必要性も無い、風の壁を抜け、先へと進む。
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