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シント編
216話 各所の爪痕①
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一度路地裏の借り部屋に戻り、一晩過ごし。
現出の輪の中の黒い魔石は、もう溶けきって無くなっていた。
炎熱の腕輪の溝にはまだまだ残っているが、そう気安く使う事はできなそうだ。
明らかに路地裏の鈍色仮面の人の割合が減り、何やら動いてるのは明らかだった。
自分もじっとしていられず、仮面とフードを模り、表へとこっそり抜け出す。
道中、現出の輪の扱いにも慣れたものだなと、我ながら感心する。
出たらさくっと英傑の路に登り、街の様子を見て回る。
本来なら違反行為だが、どうせ色々仕組まれてたりやらかした後だ、と開き直る。
その甲斐あってか、道中特に怪しまれる事は無かった。
そんな事を気にする暇が英傑側に無かったのか。それともそもそも英傑のコスチュームが自由過ぎて、他所の英傑とでも思われたのか。
いずれにせよ、南西地区や西門地区まで行って戻るまで楽に済んだのはありがたかった。
そして建物裏の隙間の中、地に座り各所で調達した緊急報道誌にも目を通す。
まず通った南西地区は、バリケードが建てられているエリアがあった。
報道誌の情報と合わせると、地区の一部が占拠され、民間人が近付かないように建てられたもの。
そこの近隣住民には気の毒に思うが、鈍色仮面からすれば目的の1つは達せられた形。
こちらとしても余計な刺激を与えて関与したくないし、と遠巻きに見て通り過ぎた。
南門地区は戦いの痕跡こそ残っていたが、既にさほど問題無く平常運転の様子だった。
戦いの規模は、南門地区と同じくらいだろうか。大通りを中心に、戦場になったと思われる場所がいくらか見受けられた。
報道誌には「脅威は撤退した」という文言と、南西地区の占拠の権に関して注意喚起がなされている。
そして肝心の南門地区。
…自分でやった事とはいえ、爪の跡が多く残っているのは、見てて精神的に来るものがある。
通った大通りはもちろん、交差する脇道にまで念入りに刻んである。
そして報道には英傑と鈍色仮面、それに並ぶ勢力のひとつとして「赤霧の鎧」が取り上げられていた。
「出自も目的も不明の脅威」は、少し内情が明るみに出た鈍色仮面よりも大きく扱われている。
最高戦力最高位騎士の一角を倒した事に関しては無かったが、あれだけ目立つ塔での出来事だったんだ、見てた人の記憶には残らざるを得ないだろう。
そしてラディは、結局見つからなかった。
自分の意思で去ったのなら一向にかまわないのだが、やはりどうしても、そうは思えない。
とはいえ探そうにも、手掛かりは何も……。
現出の輪の中の黒い魔石は、もう溶けきって無くなっていた。
炎熱の腕輪の溝にはまだまだ残っているが、そう気安く使う事はできなそうだ。
明らかに路地裏の鈍色仮面の人の割合が減り、何やら動いてるのは明らかだった。
自分もじっとしていられず、仮面とフードを模り、表へとこっそり抜け出す。
道中、現出の輪の扱いにも慣れたものだなと、我ながら感心する。
出たらさくっと英傑の路に登り、街の様子を見て回る。
本来なら違反行為だが、どうせ色々仕組まれてたりやらかした後だ、と開き直る。
その甲斐あってか、道中特に怪しまれる事は無かった。
そんな事を気にする暇が英傑側に無かったのか。それともそもそも英傑のコスチュームが自由過ぎて、他所の英傑とでも思われたのか。
いずれにせよ、南西地区や西門地区まで行って戻るまで楽に済んだのはありがたかった。
そして建物裏の隙間の中、地に座り各所で調達した緊急報道誌にも目を通す。
まず通った南西地区は、バリケードが建てられているエリアがあった。
報道誌の情報と合わせると、地区の一部が占拠され、民間人が近付かないように建てられたもの。
そこの近隣住民には気の毒に思うが、鈍色仮面からすれば目的の1つは達せられた形。
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南門地区は戦いの痕跡こそ残っていたが、既にさほど問題無く平常運転の様子だった。
戦いの規模は、南門地区と同じくらいだろうか。大通りを中心に、戦場になったと思われる場所がいくらか見受けられた。
報道誌には「脅威は撤退した」という文言と、南西地区の占拠の権に関して注意喚起がなされている。
そして肝心の南門地区。
…自分でやった事とはいえ、爪の跡が多く残っているのは、見てて精神的に来るものがある。
通った大通りはもちろん、交差する脇道にまで念入りに刻んである。
そして報道には英傑と鈍色仮面、それに並ぶ勢力のひとつとして「赤霧の鎧」が取り上げられていた。
「出自も目的も不明の脅威」は、少し内情が明るみに出た鈍色仮面よりも大きく扱われている。
最高戦力最高位騎士の一角を倒した事に関しては無かったが、あれだけ目立つ塔での出来事だったんだ、見てた人の記憶には残らざるを得ないだろう。
そしてラディは、結局見つからなかった。
自分の意思で去ったのなら一向にかまわないのだが、やはりどうしても、そうは思えない。
とはいえ探そうにも、手掛かりは何も……。
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