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シント編
220話 洪水②
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「えーと状況が良く分からないけど…助太刀すればいいの?」
少し遠く、空を渡る来訪者。
身も装いも真っ黒な主と真っ白な従者、エンとディエルだった。
「どうしてここに?」
ディエルがこちらのすぐ隣につけ、乗っているエンと目線の高さが合う。
「長くなるから後。
色々察するけど、『アレ』はどういう事?」
エンが目線でフラッディを指しながら言う。
「…子細は今は省く、操られてるラディだ。」
「おや、君は研究所にいるはずじゃ?」
と遥か下方からコンジュの声が届く。
「頼まれたのよ、様子を確かめてきてくれって。
随分と面倒かけさせてるみたいじゃない?」
「…まぁ、いいか。」
コンジュが水の一部に触れ、何らかの指示を出した様子。再び造形を取った水竜フラッディが襲ってくる。それを回避しつつ、エンの目配せ指示に従い高所に退避。
「で、結局対処法は見つかったわけ?」
落雷で牽制しつつ、エンが訊く。
これまでの冒険の事を思い返す。加えてシントでのあの痕跡…コンジュはどうやってラディを捕獲したのか。
ひとつ思い当たった事が、その痕跡と繋がる。
「…風の術で凍らせられる、のか。」
以前、意図せず風の術に触れて部分的に凍り付いた事があった。変わってなければ、氷結は外部的に引き起こせる。
そしてあれだけの氷が散ってたという事は、不要とされる部位だった?
「凍らせるのは、全体的に?」
「いや、弱点になる場所があるはず。何か目星はつけられない?」
「…前に記憶除いた時、意識の中核みたいなものがあった。そこ狙ってみるね。」
弱点はエンに任せ、先駆けとして下降する。
生成物である「翼」が辺りの魔力と強く干渉するなら、魔力的にフラッディを切る事で手数を削れるのなら、こちらも戦うすべはある。
左手で持つ長剣を生成する。相手がでかいだけに、極端に長いものを。
それで迫るフラッディの頭を横一閃。断ち切られ本体と離れた頭蓋側が、制御を失い下方へと落ちていく。
だがあちらにも準備の時間を与えすぎたらしい。同様に尖った氷の頭蓋の頭が、何本も迫ってくる。
回転を主体として立ち回り極力死角を減らし、その首を次々と落としていく。
しかしその頭蓋が落ち切るや否や、すぐに次の頭として首を伸ばし襲ってくる。
どうしても対処しきれないところは、追従してくるエンが落雷で落としてくれる。
並行してエンが球体状に風の魔力の渦を纏い、溜めている。
「避けて!」
道中かかるエンからの声。
咄嗟に後方へと移動し、居た場所を鋭い風が吹き抜ける。
白い魔力線で可視化されたそれは地上の水塊に当たり、付近を巻き込み凍り付く。
襲ってきていた数多の首が、地表の水塊が、制御を失い落ち、力なく周囲へと弾け流れ去る。
そして平たく凍ったそれが、草むらの上に残される。
少し遠く、空を渡る来訪者。
身も装いも真っ黒な主と真っ白な従者、エンとディエルだった。
「どうしてここに?」
ディエルがこちらのすぐ隣につけ、乗っているエンと目線の高さが合う。
「長くなるから後。
色々察するけど、『アレ』はどういう事?」
エンが目線でフラッディを指しながら言う。
「…子細は今は省く、操られてるラディだ。」
「おや、君は研究所にいるはずじゃ?」
と遥か下方からコンジュの声が届く。
「頼まれたのよ、様子を確かめてきてくれって。
随分と面倒かけさせてるみたいじゃない?」
「…まぁ、いいか。」
コンジュが水の一部に触れ、何らかの指示を出した様子。再び造形を取った水竜フラッディが襲ってくる。それを回避しつつ、エンの目配せ指示に従い高所に退避。
「で、結局対処法は見つかったわけ?」
落雷で牽制しつつ、エンが訊く。
これまでの冒険の事を思い返す。加えてシントでのあの痕跡…コンジュはどうやってラディを捕獲したのか。
ひとつ思い当たった事が、その痕跡と繋がる。
「…風の術で凍らせられる、のか。」
以前、意図せず風の術に触れて部分的に凍り付いた事があった。変わってなければ、氷結は外部的に引き起こせる。
そしてあれだけの氷が散ってたという事は、不要とされる部位だった?
「凍らせるのは、全体的に?」
「いや、弱点になる場所があるはず。何か目星はつけられない?」
「…前に記憶除いた時、意識の中核みたいなものがあった。そこ狙ってみるね。」
弱点はエンに任せ、先駆けとして下降する。
生成物である「翼」が辺りの魔力と強く干渉するなら、魔力的にフラッディを切る事で手数を削れるのなら、こちらも戦うすべはある。
左手で持つ長剣を生成する。相手がでかいだけに、極端に長いものを。
それで迫るフラッディの頭を横一閃。断ち切られ本体と離れた頭蓋側が、制御を失い下方へと落ちていく。
だがあちらにも準備の時間を与えすぎたらしい。同様に尖った氷の頭蓋の頭が、何本も迫ってくる。
回転を主体として立ち回り極力死角を減らし、その首を次々と落としていく。
しかしその頭蓋が落ち切るや否や、すぐに次の頭として首を伸ばし襲ってくる。
どうしても対処しきれないところは、追従してくるエンが落雷で落としてくれる。
並行してエンが球体状に風の魔力の渦を纏い、溜めている。
「避けて!」
道中かかるエンからの声。
咄嗟に後方へと移動し、居た場所を鋭い風が吹き抜ける。
白い魔力線で可視化されたそれは地上の水塊に当たり、付近を巻き込み凍り付く。
襲ってきていた数多の首が、地表の水塊が、制御を失い落ち、力なく周囲へと弾け流れ去る。
そして平たく凍ったそれが、草むらの上に残される。
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