英傑活動の傍らで

ふぃる

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78話 しかし平穏は終わり①

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 こうして物理的に地図を持って歩くのは久々だった。

 いつもの端末は座標が共有されて邪魔になるから、あくまで仕事専用。
 街に慣れたとはいえ、あくまで感覚で歩いて迷わないものとして。番地とかまでは覚えてないから、時々塔との位置関係を確かめながら。
 片手には雑誌の1ページ。処分前の山から探して、先々週の号から見つけてきた。

 しかし大体知ってるとはいえ、通り過ぎる事が多かったこの近辺。どうせ大した情報は載ってないだろうとロクに見てなかった雑誌。
 だけどちゃんと情報を得ようと思って見てみると、確かに街は変わっていた。うろ覚えの場所でも、いくらかは明確に。
 あの生活雑貨屋は見覚えがある。けどその隣の店は、見てたら覚えてると言えるくらいに特徴的。色々な肉が吊るしてある、保存食の類だろうか?
 そのさらに隣には英傑グッズの店、明らかに新しい。詳しく見る前に、目を逸らし遠巻きの道を取る。

 作られたブームとはいえ、それで盛り上がったり熱中するのはいいと思う。
 けど、そのトップとして自分が持ち上げられてる現状には、今もまだ納得してない。
 確かにあの時誘い話に乗ったのは私だし、その責務は果たす。
 けど、私はそんな上等な存在じゃない。

 …休暇中にそんな沈んでどうする。
 そんな事より、と改めて目的を確認。今の場所と、記事にあった地点を。
 いつだったか話で聞いた、白猫家の派生店。この開店記事がおそらくそうだろう。
 入り込んだ場所にあるけど、雰囲気で経路を把握する。


 しかしそこに、通行人のちょっとしたざわめき。
 空の遠くの方、いつだったかも見た超大型魔物の姿。ヒュージ・フラベラだ。
 この遠さなら街の高い所にはぶつからず、ただ通り去っていくだけで脅威にはならないだろう。
 けど、自分にとっては遠征組が帰ってくる事による諸々の告知だった。
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