英傑活動の傍らで

ふぃる

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92話 潜入した先で①

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 事は思いのほか、あっさり通った。
 鈍色仮面の連中からの押収品倉庫に入るのも、そこから目的の物を持ち出すのも。
 管理が雑…というよりは、それだけの信用があると考えるべきか。
 別に悪用するとかいう訳ではないけど、勝手な独断行動の為にと思うと、ちょっとだけ抵抗感。

 そうして拝借してきた道具たち。
 細い路地に入り、誰にも見られてないのを確認してから、それを纏う。
 あいつらの装束。茶色いローブと鈍い銀色の仮面。昔と同じであるならば、それだけで深い追及はされないはず。
 数日振りの南西地区は、静かだった。奪還した場所も警戒と調査で一班の立ち入りは禁じられ、その更に外側も自主避難の勧告により、人影は全く見なかった。
 最大限に周囲を警戒しつつ、バリケードの無い隙間から、警戒区域に潜り込む。


 妨害装置の影響は感じられなかった。魔石が無くなったか節約か、あるいは常時展開は不都合があったのだろうか。
 なんにせよ、探知魔術が自由に使えるなら動きやすい。

 そろそろ未奪還の鈍色仮面の区域。あえて大通りから堂々と。
 人の集まりの中を進んだが、やっぱりこの格好のお陰か怪しむ人はいなかった。けど同時に、予想外の場所だった。

 そもそもこの「鈍色仮面」の格好をしてる人がいない。
 盗品だろうか、外の市民と変わらない格好の人が、そこで暮らしている。事前の情報が無ければ、これが元からあった風景であると錯覚しかねないほどに。
 けどそこの内情は、異国の種族の人や、髪が触手のようにうねる人や。普通の徒人ヒューマを見つけたと思ったら、懐いてる魔物を撫でていたり。
 昔のロイノの言葉を思い出し、皆何らかの訳アリなのだろう。例え潜入でなかったとしても、事情に深入りするのははばかられる。


 一度立ち止まり、広域を魔術で探る。
 一般市民の小さい魔力反応の中に、いくらか大きい魔力反応。要人か装置か、いずれにせよ奪還の足掛かりに使えるかもしれない。
 不審に思われない内に、その場を通り過ぎる。
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