29 / 121
28. どうしても言いたい
しおりを挟む
「いらっしゃいませ。エーリック殿下。昨日振りですわね?」
玄関で出迎えてくれたシュゼットに、昨日の酒の影響は見えない。今日は、この前と違い先ぶれを出した正式な訪問だ。目の前で優雅にカーテシーをする彼女は、誰が見ても立派な公爵令嬢に見える。
「体調は大丈夫? まあ、叔父上が付いていたから問題ないと思うけど?」
「……はい、そうですね。ご心配をお掛けしました」
なんだ? 少し妙な間が空いたけど? 何かあったか?
「そう。大丈夫なら良いんだ。それで、話があるのだけど」
ちゃんと話がしたかった。
「そうでしたら、こちらにどうぞ。今日は良いお天気ですから、サンルームでお話ししましょう」
シュゼットはニッコリと微笑むと、執事に向かって合図をした。そして、どうぞ。と廊下を先導してくれた。
グリーンフィールド公爵家の中庭は、東側にガラス張りのサンルームを有していた。サンルームの中心には、公爵家のシンボルツリーがあって、その下にはお茶のできるテーブルセットが置かれていた。季節に先駆けた美しい花々が咲いている。名前も知らない花が良い香りを漂わせていた。
「さあ、こちらのお席にどうぞ。今、お茶をご用意いたしますね」
向かいの席に腰かけたシュゼットは、相変わらず可愛らしい。昨日の正装したドレス姿も美しかったけれど、今の様なワンピース姿も、緩く編み込んだ金色の髪も可愛らしくてドキッとする。
いつもの侍女が、ワゴンを運んできてお茶を淹れてくれる。シュゼットにずっとついている、マリと呼ばれている侍女だ。
「ありがとう」
目の前にティーカップを置くと、彼女はスッとワゴンを押して、シュゼットの後方に控えた。彼女になら何を聞かれていても大丈夫だと思う。
ふっと息を吐いた。落ち着こう。
「お話を伺う前に、昨日はご迷惑をお掛けいたしました。殿下にもカテリーナ様にも、シルヴァ様にも……あっと、それからセドリック様には掛けたかしら? とにかく、きちんとご挨拶も出来ずに帰ってしまったようですし……」
「いや。それは気にしなくて良いよ」
私がそう言ってお茶を一口飲むと、じっと見ていたシュゼットが、安心したように顔を綻ばせた。
「それでは、エーリック様のお話というのは?」
「君が帰ってから、少しあってね。明日から学院に通うなら、その前に伝えておこうと思って」
シュゼットが帰った後、フェリックスがラウンジに来たこと。そして、セドリックがシュゼットの名前を周囲に教えたことを伝えた。
「そうなのですか……。それで、私はシルヴァ様のパートナーになっている訳ですね?」
シュゼットは申し訳なさそうな顔をした。叔父上が女性を伴って社交に出られることは滅多に無い。今までは、カテリーナが王室関係の社交のみ幾つか付き合った位だ。だから、今回シュゼットをパートナーにしたのは本当に珍しい。というか、初めての事ではないか?
「それで、セドリックの声が結構大きかったから、周囲の客達にも君の名前が知られてしまったよ。
これから、いろんな誘いが来るんじゃないかな? 最初は私達と一緒にいたから、ダリナスの人間かと思われたんだろうな。それが名前を聞いたらグリーンフィールド公爵家の令嬢だって判ったんだ。外務大臣のグリーンフィールド公爵家なら、近づきたい者は多いからね。気を付けた方が良いと思う」
5年間情報が無かった美貌の公爵令嬢が、いきなり社交の場に出現したのだ。縁を繋ぎたい家は幾らでもある。まして、今はまだフェリックス殿下の婚約者候補も公にはされていないから。
「シュゼット。君はフェリックス殿下の婚約者にはなりたくないって言ったよね? 酷い事をされたことが忘れられないって」
「はい。私はフェリックス殿下の婚約者ましては妃などには、なりたくありません」
「でも、2ヶ月後のガーデンパーティーで候補者の顔合わせがあるって聞いたよ? 君の父上が昨日、ダリナスの大使館にカテリーナ宛の招待状を持って話に来てた。君も出席するんでしょ?」
シュゼットは気が付いているのだろうか。多分、フェリックスの婚約者はカテリーナになるはずだ。国同士の関係から考えてみても、現在カテリーナがコレール王国に来ている以上確定だろう。
まあ、ダリナスとしては、王室の問題児とされるカテリーナを、行儀見習いを兼ねた留学として、ダリナスから嫁いだフェリックスの祖母である王太后に預けたようになっている。
確かに、王太后の教育の賜物か随分大人しく、まあまあ普通になってきたとは思う。あと2年掛けて更に磨かれれば、カテリーナで十分務まるはずだ。資質は十分あるのだから。そうだ、彼女は自分のやるべきことを理解しているから。
「まったく、迷惑な事ですわ。いくら国王陛下と王妃様が恋愛結婚だからって、無理に出会いのシチュエーションを作らなくても良いと思いますわ」
そうなのだ。仮にも隣国の王族の姫が婚約者候補に名を連ねている以上、他の婚約者候補の立ち位置は微妙だ。当人達にしたら随分失礼な話に聞こえないか?
「でも、今の陛下と王妃様は特別ですけど、もしかしたら側室選びを兼ねているのかもしれませんわね」
「側室?」
初めて聞いた。コレールには側室制度があったのか?
「はい。今の陛下にはいらっしゃいませんが、その前の国王様にはいらっしゃったとか。今の王大后様の時代にはお二人ほどいらっしゃったと伺っています」
ということは、婚約者候補者は側室候補でもあるということか? だから、カテリーナ以外の婚約者候補の振る舞いに違和感が生まれたのか……
「そうなんだ。側室制度……」
知らなかった。それはそうだ。誰も15歳の留学に来た第三王子に、そんな情報は教えてくれなかった。
今の国王陛下と王妃が、恋愛結婚で一夫一婦制でいるから気が付かなかった。そうか。コレールでは暗黙の了解なのか。
「ですから、婚約者も嫌ですけど、側室なんて冗談ではありませんわ!! 側室には望まれた方がなれば宜しいのですわ」
そうだろう。公爵家令嬢なら敢えて側室にならなくても良い。まして、グリーンフィールド公爵家は外務大臣を代々輩出している名門公爵家だ。正室としての嫁ぎ先も、婿取りでも困ることは無いだろう。
それなら。言っても良いかもしれない。いや、言っておきたい。
「シュゼット、君はフェリックス殿の婚約者には、なりたくないと言ったね?」
「はい。言いましたわ」
息をついて、平静を装って言う。
「シュゼット。私は君の事が好きだよ」
「……はい?」
「エーリック・レイン・ダリナスは、君の事が好きだと言っている」
「……あの?」
「婚約者になって欲しいと思っている。その位君が好きだ」
「!?」
「何度も言うよ。私は、君の事が好きだよ。多分、君に会った時からずっと気になっていた。でも、この気持ちにはっきり気付いたのは最近だ。君が戸惑うのも判る。だから、考えて欲しいんだ」
椅子に掛けている彼女の傍に膝をついて見上げる。驚いて目が真ん丸に開かれている。
「考えて欲しい。無理強いはしたくないし、君の気持ちが一番大切だから」
「……考えたこともありませんでした……」
うん。そうだろうね。私達はいつでも友人だったから。
「それでね、私は今後そのつもりで行動するから。他の誰かが君に選ばれることが無いように、私は私で頑張るから。見ていて欲しい。いいかな?」
「は……い」
まだ驚いたままのシュゼットの手の甲に、キスを落として立ち上がる。
「それじゃ、明日学校で」
彼女には気持ちを伝えた。少しフライングかもしれないが、これから多分彼女の周辺は騒がしくなる。そうなる前に伝えたかった。実際、シュゼットはコレールの第一王子の婚約者候補の一人だ。彼女から良い返事を貰ったとしても、自分の婚約者にするには、王族としての段取りを踏まなければならない。だから時間も欲しい。
問題は、アイツだ。それに、あの方もいつもと違って読めない。
「さて、どう言うかな……」
面倒な相手に説明するのも骨が折れる。でも、こればかりは避けて通れない。
「抜け駆けしたと怒るかな? それとも泣くかな?」
馬車はゆっくりと進んでいた。
玄関で出迎えてくれたシュゼットに、昨日の酒の影響は見えない。今日は、この前と違い先ぶれを出した正式な訪問だ。目の前で優雅にカーテシーをする彼女は、誰が見ても立派な公爵令嬢に見える。
「体調は大丈夫? まあ、叔父上が付いていたから問題ないと思うけど?」
「……はい、そうですね。ご心配をお掛けしました」
なんだ? 少し妙な間が空いたけど? 何かあったか?
「そう。大丈夫なら良いんだ。それで、話があるのだけど」
ちゃんと話がしたかった。
「そうでしたら、こちらにどうぞ。今日は良いお天気ですから、サンルームでお話ししましょう」
シュゼットはニッコリと微笑むと、執事に向かって合図をした。そして、どうぞ。と廊下を先導してくれた。
グリーンフィールド公爵家の中庭は、東側にガラス張りのサンルームを有していた。サンルームの中心には、公爵家のシンボルツリーがあって、その下にはお茶のできるテーブルセットが置かれていた。季節に先駆けた美しい花々が咲いている。名前も知らない花が良い香りを漂わせていた。
「さあ、こちらのお席にどうぞ。今、お茶をご用意いたしますね」
向かいの席に腰かけたシュゼットは、相変わらず可愛らしい。昨日の正装したドレス姿も美しかったけれど、今の様なワンピース姿も、緩く編み込んだ金色の髪も可愛らしくてドキッとする。
いつもの侍女が、ワゴンを運んできてお茶を淹れてくれる。シュゼットにずっとついている、マリと呼ばれている侍女だ。
「ありがとう」
目の前にティーカップを置くと、彼女はスッとワゴンを押して、シュゼットの後方に控えた。彼女になら何を聞かれていても大丈夫だと思う。
ふっと息を吐いた。落ち着こう。
「お話を伺う前に、昨日はご迷惑をお掛けいたしました。殿下にもカテリーナ様にも、シルヴァ様にも……あっと、それからセドリック様には掛けたかしら? とにかく、きちんとご挨拶も出来ずに帰ってしまったようですし……」
「いや。それは気にしなくて良いよ」
私がそう言ってお茶を一口飲むと、じっと見ていたシュゼットが、安心したように顔を綻ばせた。
「それでは、エーリック様のお話というのは?」
「君が帰ってから、少しあってね。明日から学院に通うなら、その前に伝えておこうと思って」
シュゼットが帰った後、フェリックスがラウンジに来たこと。そして、セドリックがシュゼットの名前を周囲に教えたことを伝えた。
「そうなのですか……。それで、私はシルヴァ様のパートナーになっている訳ですね?」
シュゼットは申し訳なさそうな顔をした。叔父上が女性を伴って社交に出られることは滅多に無い。今までは、カテリーナが王室関係の社交のみ幾つか付き合った位だ。だから、今回シュゼットをパートナーにしたのは本当に珍しい。というか、初めての事ではないか?
「それで、セドリックの声が結構大きかったから、周囲の客達にも君の名前が知られてしまったよ。
これから、いろんな誘いが来るんじゃないかな? 最初は私達と一緒にいたから、ダリナスの人間かと思われたんだろうな。それが名前を聞いたらグリーンフィールド公爵家の令嬢だって判ったんだ。外務大臣のグリーンフィールド公爵家なら、近づきたい者は多いからね。気を付けた方が良いと思う」
5年間情報が無かった美貌の公爵令嬢が、いきなり社交の場に出現したのだ。縁を繋ぎたい家は幾らでもある。まして、今はまだフェリックス殿下の婚約者候補も公にはされていないから。
「シュゼット。君はフェリックス殿下の婚約者にはなりたくないって言ったよね? 酷い事をされたことが忘れられないって」
「はい。私はフェリックス殿下の婚約者ましては妃などには、なりたくありません」
「でも、2ヶ月後のガーデンパーティーで候補者の顔合わせがあるって聞いたよ? 君の父上が昨日、ダリナスの大使館にカテリーナ宛の招待状を持って話に来てた。君も出席するんでしょ?」
シュゼットは気が付いているのだろうか。多分、フェリックスの婚約者はカテリーナになるはずだ。国同士の関係から考えてみても、現在カテリーナがコレール王国に来ている以上確定だろう。
まあ、ダリナスとしては、王室の問題児とされるカテリーナを、行儀見習いを兼ねた留学として、ダリナスから嫁いだフェリックスの祖母である王太后に預けたようになっている。
確かに、王太后の教育の賜物か随分大人しく、まあまあ普通になってきたとは思う。あと2年掛けて更に磨かれれば、カテリーナで十分務まるはずだ。資質は十分あるのだから。そうだ、彼女は自分のやるべきことを理解しているから。
「まったく、迷惑な事ですわ。いくら国王陛下と王妃様が恋愛結婚だからって、無理に出会いのシチュエーションを作らなくても良いと思いますわ」
そうなのだ。仮にも隣国の王族の姫が婚約者候補に名を連ねている以上、他の婚約者候補の立ち位置は微妙だ。当人達にしたら随分失礼な話に聞こえないか?
「でも、今の陛下と王妃様は特別ですけど、もしかしたら側室選びを兼ねているのかもしれませんわね」
「側室?」
初めて聞いた。コレールには側室制度があったのか?
「はい。今の陛下にはいらっしゃいませんが、その前の国王様にはいらっしゃったとか。今の王大后様の時代にはお二人ほどいらっしゃったと伺っています」
ということは、婚約者候補者は側室候補でもあるということか? だから、カテリーナ以外の婚約者候補の振る舞いに違和感が生まれたのか……
「そうなんだ。側室制度……」
知らなかった。それはそうだ。誰も15歳の留学に来た第三王子に、そんな情報は教えてくれなかった。
今の国王陛下と王妃が、恋愛結婚で一夫一婦制でいるから気が付かなかった。そうか。コレールでは暗黙の了解なのか。
「ですから、婚約者も嫌ですけど、側室なんて冗談ではありませんわ!! 側室には望まれた方がなれば宜しいのですわ」
そうだろう。公爵家令嬢なら敢えて側室にならなくても良い。まして、グリーンフィールド公爵家は外務大臣を代々輩出している名門公爵家だ。正室としての嫁ぎ先も、婿取りでも困ることは無いだろう。
それなら。言っても良いかもしれない。いや、言っておきたい。
「シュゼット、君はフェリックス殿の婚約者には、なりたくないと言ったね?」
「はい。言いましたわ」
息をついて、平静を装って言う。
「シュゼット。私は君の事が好きだよ」
「……はい?」
「エーリック・レイン・ダリナスは、君の事が好きだと言っている」
「……あの?」
「婚約者になって欲しいと思っている。その位君が好きだ」
「!?」
「何度も言うよ。私は、君の事が好きだよ。多分、君に会った時からずっと気になっていた。でも、この気持ちにはっきり気付いたのは最近だ。君が戸惑うのも判る。だから、考えて欲しいんだ」
椅子に掛けている彼女の傍に膝をついて見上げる。驚いて目が真ん丸に開かれている。
「考えて欲しい。無理強いはしたくないし、君の気持ちが一番大切だから」
「……考えたこともありませんでした……」
うん。そうだろうね。私達はいつでも友人だったから。
「それでね、私は今後そのつもりで行動するから。他の誰かが君に選ばれることが無いように、私は私で頑張るから。見ていて欲しい。いいかな?」
「は……い」
まだ驚いたままのシュゼットの手の甲に、キスを落として立ち上がる。
「それじゃ、明日学校で」
彼女には気持ちを伝えた。少しフライングかもしれないが、これから多分彼女の周辺は騒がしくなる。そうなる前に伝えたかった。実際、シュゼットはコレールの第一王子の婚約者候補の一人だ。彼女から良い返事を貰ったとしても、自分の婚約者にするには、王族としての段取りを踏まなければならない。だから時間も欲しい。
問題は、アイツだ。それに、あの方もいつもと違って読めない。
「さて、どう言うかな……」
面倒な相手に説明するのも骨が折れる。でも、こればかりは避けて通れない。
「抜け駆けしたと怒るかな? それとも泣くかな?」
馬車はゆっくりと進んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました!
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ
弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は今夜を持って破棄させて貰おう!』
学園卒業祝いの夜会の場に、凛と響いた王太子殿下の一声。
その瞬間、私は全てを思い出した。
私が前世ではただの手芸とゲームが好きなインドア派女子大生だったこと。そして、ゲーム世界に転生して尚も趣味は変わらず、ライバルキャラですらないモブになってしまっていたことを。
幼い頃に一度出会ったきりの初恋の彼と学園で再会出来たらなぁ、なんて淡い期待を抱いて通っていたのに、道理で卒業式までなんにも起きなかったわけだ。
ーーなんて、ひとり納得していたら。
何故だが私が悪役令嬢の断罪イベントの目撃者として名指しされ、一気に渦中の人物に!?
更に、王太子以外の男性陣は皆様悪役令嬢に骨抜き。なので自然と私には、彼女の潔白に繋がる証言が求められる。
しかしながら、私は肝心の事件の日の記憶が訳あって曖昧だったので、致し方なく記憶を呼び覚ます治療を受けさせられる羽目に。
タイムリミットは1年間。
その1年間の私への護衛につけられたのは、悪役令嬢に心奪われた初恋の彼でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる