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35. 空いた席に思うこと
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エーリックは授業中もずっと考えていた。
シュゼットを屋敷に送り届けるために、セドリックに付き添いを頼んだ。尤もそれは、カテリーナの提案によるものだったが、不本意ながら従うしかなかった。
しかし、今日のセドリックは、いつにも増して可笑しかった。正確には、土曜日の歌劇場での出来事から昨日と今日、3日目だ。
(まあ、あんな事をされたら、セドリックでなくても固まるな)
あんな事とは、酔っぱらったシュゼットに、雨に濡れた前髪を撫でつけられ、更には頬を両手で挟まれるという無意識にして最上級の萌えシチュエーションに遭遇したことだった。
只でさえ色っぽい話題や、恋愛系の意識などこれっポッチも感じていないかった? セドリックのはずだから。無意識天然の天使仕様のシュゼットにごっそりヤラレタようだった。
(可哀そうに。無意識のシュゼットは破壊力があったからな。でも、アイツも遂に気付いたようだし、良いタイミングかもしれない)
エーリックは、シュゼットに告白したことをまだセドリックには言っていなかった。何時言おうかタイミングを考えていたが、今日かもしれない。言うなら今日が良いと思った。
(こればっかりは、お互い譲れないな)
頬杖をついたまま、目の前の開いている席を見る。
気が付いたら近くにいた。幼いころから遊ぶのもいつも一緒だった。年の離れた兄王子達よりも、同い年の公爵家の息子の方がずっと近しい間柄だった。そう言えば、物心ついた時にはアイツが隣にいて、学校も剣術も乗馬の練習も一緒だった。どちらかというと学問の方が得意で、本ばかり読んでいたような気がする。でも、いつからか剣術も馬術も一生懸命やるようになっていた。剣術や馬術の得意な私の相手になるため、寝る間を惜しんで稽古をしていたのを知っている。私の一番近くにいる者としての矜持なのだろう。従者としても友人としても、良い奴だと思う。オモシロ過ぎるけど。
(まさか、好きになる女の子が同じとはね)
でも、仕方ないか。セドリックは相当理想が高い上に、自覚が無いからな。何にせよ女の子の評価基準がシュゼット比較だから、そうそう並ぶ娘なんていないだろう。
(自覚無しが、自覚すると暴走しそうだ。アイツが送って行って大丈夫だったか?)
まあ、アイツの事だ。そうそう大それた事は出来ないはず。と思いたい。
授業が終わる頃には、丁度戻って来るはずだ。帰ってきたら、今日はじっくり話し合おうと思う。
(やっぱり、アイツ、セドリックは泣くかもしれない……)
◇◇◇
隣の席にはどなたもいらっしゃいません。編入生の彼女は、午後の授業が始まって暫くすると体調不良で早退してしまいました。
5年前にたった一度だけですが、私と編入生はお隣同士で立っていたことがありました。
あの日、私は初めて公式に王宮に登城したのです。第一王子フェリックス殿下の婚約者と、学院に入学するに合わせて側近ご学友を選ぶということでした。
私の家、カリノ侯爵家は古くから王家との縁も深く、現にお父様は財務大臣を務めてコレール王国の政治にも密接に関わっています。代々国の要職に就いているカリノ家としては、私達双子にも使命がありました。
兄であるロイがフェリックス殿下の側近になること。そして、もう一つは婚約者候補の一人に私、ローナ・ピア・カリノが選ばれること。です。
私達双子は、栗色の髪に茶色い瞳、ふわふわとしたくせ毛が特徴的です。そして、少したれ目がちな目が可愛いとか言われますけど、他のご令嬢の様に目を引く美しさや可愛らしさとは違いました。
(自分の事は、自分が一番判っていますわ)
今日の日の為に誂えたピンクのドレスは、居並ぶ令嬢達のピンクのドレスに紛れて全く区別がつきません。小柄でこれといった特徴も無い私は、華やかな王宮の広間と輝くシャンデリアの光の下、いつも以上に緊張して委縮していたと思います。
でも、私と同じくらい、いえ、もしかしたら私以上に緊張していた方が隣にいたのです。隣の令嬢は、艶々の金髪が綺麗な女の子でした。身長は私より少し高い位でしたが、体格は丸々としてかなりご立派な重量のある体格でした。
(ずいぶん体格の良い方ですわ。私の2倍くらいありそうです)
他の令嬢が、背の高さに差はあってもそこまで体格の良い……、はっきり言って太っている方はいませんでしたから、随分その存在感は異質であったと思います。近くにいる他の令嬢がクスクスと小さく笑っていたのが聞こえましたから。それぐらい丸々とした体形でした。
(はっきり言って、随分おデブさんですね。でも、安心しました。こういう方もいらしているんですね)
少しだけ気が楽になった気がした私は、お隣を伺うようにチラリと見ると人知れずクッと喉が鳴りました。
地味で目立たない、何の特徴も無い私でも、隣の令嬢よりはマシなのではないか? と思えたからです。
(少なくとも、私はこんなにおデブではありませんから)
そして、フェリックス殿下との対面の場面になって事件は起こりました。
フェリックス殿下は一段高くなっている王族の壇上から降りてくると、件の令嬢に向かってほっぺを撫でながら……
『おまえ、白パンダみたいだな』
そうおっしゃたのです。
他の令嬢がずっとご挨拶をしている間、何もおっしゃる事無くじっと笑みを浮かべていただけでしたのに。私の隣にいる彼女にだけ、近寄って、言葉を掛け、頬を撫でたのです。
驚いた彼女は、いきなり触られたことと、フェリックス殿下の言った『白パンダ』にショックを受けたようで、暫く硬直したままでした。
(フェリック殿下が、お近くにいらしているのよ? 何かおっしゃればいいのに!)
私は、お隣さんに言いようのない気持ちを感じていました。だって、殿下の目は、彼女にだけ注がれて他は何も見ていないのですから。
フェリックス殿下のお言葉は、結構な大きさであったことと、随分と嬉しそうな? 楽しそうな? 口ぶりでしたから、一瞬の間を置いた後にクスクスという笑い声がざわざわと広間に広がりました。
そして、周囲の緊張感が解かれた雰囲気にはっと気付いた彼女は、立ったままのフェリックス殿下を前に俯くと、小さな嗚咽も漏らしたように聞こえました。
(えっ? 泣いていらっしゃる?)
そう私が気付いてお隣を見ると、彼女は、嗚咽を漏らしながら顔を覆い、ホールの扉に向かって走って行きました。肩に揺れる金色の髪がピョンピョンと跳ねるように去っていきます。すると、慌てたように後を追う男の人と女の人がいましたけど……あれは、彼女のご両親でしょうか?
彼女の居た空間はぽっかりと開き、フェリックス殿下が茫然と立ち竦んでいました。
『えっ? 何で? 可愛いのに……』
フェリックス殿下の小さな呟きを聞いたのは、多分、私だけなのですわ。
彼女とその家族が慌ただしくホールを出て行ってしまうと、しばらくホールはざわついていました。その中で数人の令嬢達はフェリックス殿下に冷めた目線を投げかけ、離れていて様子の判らない令嬢たちは何が起こったのか判らずザワザワとお喋りをし始めました。でも、まだご挨拶も途中ですから、この場を何とかしなければ。
私が何とかしなければ。カリノの娘であり、王子の目に留まらなければならないのです!
そして、私は今までで一番の勇気を振り絞ると、斜め前に立ち尽くすフェリックス殿下に向かって小さく言いました。
『フェリックス殿下。お席にお戻りになって下さいな』
彼にしか聞こえないような小さな声でしたが、しっかりと聞こえたようで、ちらりと私に眼を向けて頷かれると、先程までいたお席にストンと着席されました。
フェリックス殿下が、お席に着くとさっきまで騒がしかったホールがシンと静まりました。
(さあ、頑張るのよローナ!!)
私は思いっきり私を励ましました。そして、令嬢達の列から一歩前に進み出ると、
「ローナ・ピア・カリノと申します」
何十回、何百回となく練習した、淑女のカーテシーで王族の皆様にご挨拶をしました。
それから、お茶会は表向きは何も無かったように過ぎました。
結局、あのお茶会で婚約者が決まることは無く、ただ、候補者ということで3人の令嬢が決まったと伺いました。
そして、あの時の彼女がシュゼット・メレリア・グリーンフィールドという名前で、グリーンフィールド公爵令嬢であること、あの後直ぐに隣国のダリナスに外交大使の家族として赴任したと聞きました。
そうです。私は3人の候補者の一人になりました。最初から決まっていたのか、あの場で決まったのかは判りませんが。でも、双子の兄のロイも側近としてフェリック殿下のお傍に着くことが決まりましたから、もしかしたら、カリノ家に対して忖度されたのか。それとも、もっと別の思惑があっての事で決まったのかは判りません。
(だって、イザベラ様もドロシア様もとても綺麗で、家柄だって申し分ありません。私以上に綺麗な方なんて沢山いましたのに)
フェリックス殿下にお近づきになれるという嬉しさと、彼にとって側近の兄妹以上の存在になれる喜びは想像以上のものでした。
でも、1年また1年と年を経るごとに、余りにも他のお二人との差があることに、私はずっと重い石を飲み込んだような気持ちでいました。大きな石を一個、また一個と飲み込んでいくような気持ち。その石の重さに比例するように、私の心と身体は重くなっていったと思います。どうせ差があるのなら、美しさなど関係無い位になってしまえば良いと……そして、フェリックス殿下に真の私を見て頂けたら。
そんな風に思っていることなど、誰にも言えません。
だから、あの時の彼女が、
多分、今ならあの時の彼女の気持ちを共有できると思うのに!
5年経った今、あんな姿で現れるなんて……私は、何だか……
裏切られたような気持になったのです。
シュゼットを屋敷に送り届けるために、セドリックに付き添いを頼んだ。尤もそれは、カテリーナの提案によるものだったが、不本意ながら従うしかなかった。
しかし、今日のセドリックは、いつにも増して可笑しかった。正確には、土曜日の歌劇場での出来事から昨日と今日、3日目だ。
(まあ、あんな事をされたら、セドリックでなくても固まるな)
あんな事とは、酔っぱらったシュゼットに、雨に濡れた前髪を撫でつけられ、更には頬を両手で挟まれるという無意識にして最上級の萌えシチュエーションに遭遇したことだった。
只でさえ色っぽい話題や、恋愛系の意識などこれっポッチも感じていないかった? セドリックのはずだから。無意識天然の天使仕様のシュゼットにごっそりヤラレタようだった。
(可哀そうに。無意識のシュゼットは破壊力があったからな。でも、アイツも遂に気付いたようだし、良いタイミングかもしれない)
エーリックは、シュゼットに告白したことをまだセドリックには言っていなかった。何時言おうかタイミングを考えていたが、今日かもしれない。言うなら今日が良いと思った。
(こればっかりは、お互い譲れないな)
頬杖をついたまま、目の前の開いている席を見る。
気が付いたら近くにいた。幼いころから遊ぶのもいつも一緒だった。年の離れた兄王子達よりも、同い年の公爵家の息子の方がずっと近しい間柄だった。そう言えば、物心ついた時にはアイツが隣にいて、学校も剣術も乗馬の練習も一緒だった。どちらかというと学問の方が得意で、本ばかり読んでいたような気がする。でも、いつからか剣術も馬術も一生懸命やるようになっていた。剣術や馬術の得意な私の相手になるため、寝る間を惜しんで稽古をしていたのを知っている。私の一番近くにいる者としての矜持なのだろう。従者としても友人としても、良い奴だと思う。オモシロ過ぎるけど。
(まさか、好きになる女の子が同じとはね)
でも、仕方ないか。セドリックは相当理想が高い上に、自覚が無いからな。何にせよ女の子の評価基準がシュゼット比較だから、そうそう並ぶ娘なんていないだろう。
(自覚無しが、自覚すると暴走しそうだ。アイツが送って行って大丈夫だったか?)
まあ、アイツの事だ。そうそう大それた事は出来ないはず。と思いたい。
授業が終わる頃には、丁度戻って来るはずだ。帰ってきたら、今日はじっくり話し合おうと思う。
(やっぱり、アイツ、セドリックは泣くかもしれない……)
◇◇◇
隣の席にはどなたもいらっしゃいません。編入生の彼女は、午後の授業が始まって暫くすると体調不良で早退してしまいました。
5年前にたった一度だけですが、私と編入生はお隣同士で立っていたことがありました。
あの日、私は初めて公式に王宮に登城したのです。第一王子フェリックス殿下の婚約者と、学院に入学するに合わせて側近ご学友を選ぶということでした。
私の家、カリノ侯爵家は古くから王家との縁も深く、現にお父様は財務大臣を務めてコレール王国の政治にも密接に関わっています。代々国の要職に就いているカリノ家としては、私達双子にも使命がありました。
兄であるロイがフェリックス殿下の側近になること。そして、もう一つは婚約者候補の一人に私、ローナ・ピア・カリノが選ばれること。です。
私達双子は、栗色の髪に茶色い瞳、ふわふわとしたくせ毛が特徴的です。そして、少したれ目がちな目が可愛いとか言われますけど、他のご令嬢の様に目を引く美しさや可愛らしさとは違いました。
(自分の事は、自分が一番判っていますわ)
今日の日の為に誂えたピンクのドレスは、居並ぶ令嬢達のピンクのドレスに紛れて全く区別がつきません。小柄でこれといった特徴も無い私は、華やかな王宮の広間と輝くシャンデリアの光の下、いつも以上に緊張して委縮していたと思います。
でも、私と同じくらい、いえ、もしかしたら私以上に緊張していた方が隣にいたのです。隣の令嬢は、艶々の金髪が綺麗な女の子でした。身長は私より少し高い位でしたが、体格は丸々としてかなりご立派な重量のある体格でした。
(ずいぶん体格の良い方ですわ。私の2倍くらいありそうです)
他の令嬢が、背の高さに差はあってもそこまで体格の良い……、はっきり言って太っている方はいませんでしたから、随分その存在感は異質であったと思います。近くにいる他の令嬢がクスクスと小さく笑っていたのが聞こえましたから。それぐらい丸々とした体形でした。
(はっきり言って、随分おデブさんですね。でも、安心しました。こういう方もいらしているんですね)
少しだけ気が楽になった気がした私は、お隣を伺うようにチラリと見ると人知れずクッと喉が鳴りました。
地味で目立たない、何の特徴も無い私でも、隣の令嬢よりはマシなのではないか? と思えたからです。
(少なくとも、私はこんなにおデブではありませんから)
そして、フェリックス殿下との対面の場面になって事件は起こりました。
フェリックス殿下は一段高くなっている王族の壇上から降りてくると、件の令嬢に向かってほっぺを撫でながら……
『おまえ、白パンダみたいだな』
そうおっしゃたのです。
他の令嬢がずっとご挨拶をしている間、何もおっしゃる事無くじっと笑みを浮かべていただけでしたのに。私の隣にいる彼女にだけ、近寄って、言葉を掛け、頬を撫でたのです。
驚いた彼女は、いきなり触られたことと、フェリックス殿下の言った『白パンダ』にショックを受けたようで、暫く硬直したままでした。
(フェリック殿下が、お近くにいらしているのよ? 何かおっしゃればいいのに!)
私は、お隣さんに言いようのない気持ちを感じていました。だって、殿下の目は、彼女にだけ注がれて他は何も見ていないのですから。
フェリックス殿下のお言葉は、結構な大きさであったことと、随分と嬉しそうな? 楽しそうな? 口ぶりでしたから、一瞬の間を置いた後にクスクスという笑い声がざわざわと広間に広がりました。
そして、周囲の緊張感が解かれた雰囲気にはっと気付いた彼女は、立ったままのフェリックス殿下を前に俯くと、小さな嗚咽も漏らしたように聞こえました。
(えっ? 泣いていらっしゃる?)
そう私が気付いてお隣を見ると、彼女は、嗚咽を漏らしながら顔を覆い、ホールの扉に向かって走って行きました。肩に揺れる金色の髪がピョンピョンと跳ねるように去っていきます。すると、慌てたように後を追う男の人と女の人がいましたけど……あれは、彼女のご両親でしょうか?
彼女の居た空間はぽっかりと開き、フェリックス殿下が茫然と立ち竦んでいました。
『えっ? 何で? 可愛いのに……』
フェリックス殿下の小さな呟きを聞いたのは、多分、私だけなのですわ。
彼女とその家族が慌ただしくホールを出て行ってしまうと、しばらくホールはざわついていました。その中で数人の令嬢達はフェリックス殿下に冷めた目線を投げかけ、離れていて様子の判らない令嬢たちは何が起こったのか判らずザワザワとお喋りをし始めました。でも、まだご挨拶も途中ですから、この場を何とかしなければ。
私が何とかしなければ。カリノの娘であり、王子の目に留まらなければならないのです!
そして、私は今までで一番の勇気を振り絞ると、斜め前に立ち尽くすフェリックス殿下に向かって小さく言いました。
『フェリックス殿下。お席にお戻りになって下さいな』
彼にしか聞こえないような小さな声でしたが、しっかりと聞こえたようで、ちらりと私に眼を向けて頷かれると、先程までいたお席にストンと着席されました。
フェリックス殿下が、お席に着くとさっきまで騒がしかったホールがシンと静まりました。
(さあ、頑張るのよローナ!!)
私は思いっきり私を励ましました。そして、令嬢達の列から一歩前に進み出ると、
「ローナ・ピア・カリノと申します」
何十回、何百回となく練習した、淑女のカーテシーで王族の皆様にご挨拶をしました。
それから、お茶会は表向きは何も無かったように過ぎました。
結局、あのお茶会で婚約者が決まることは無く、ただ、候補者ということで3人の令嬢が決まったと伺いました。
そして、あの時の彼女がシュゼット・メレリア・グリーンフィールドという名前で、グリーンフィールド公爵令嬢であること、あの後直ぐに隣国のダリナスに外交大使の家族として赴任したと聞きました。
そうです。私は3人の候補者の一人になりました。最初から決まっていたのか、あの場で決まったのかは判りませんが。でも、双子の兄のロイも側近としてフェリック殿下のお傍に着くことが決まりましたから、もしかしたら、カリノ家に対して忖度されたのか。それとも、もっと別の思惑があっての事で決まったのかは判りません。
(だって、イザベラ様もドロシア様もとても綺麗で、家柄だって申し分ありません。私以上に綺麗な方なんて沢山いましたのに)
フェリックス殿下にお近づきになれるという嬉しさと、彼にとって側近の兄妹以上の存在になれる喜びは想像以上のものでした。
でも、1年また1年と年を経るごとに、余りにも他のお二人との差があることに、私はずっと重い石を飲み込んだような気持ちでいました。大きな石を一個、また一個と飲み込んでいくような気持ち。その石の重さに比例するように、私の心と身体は重くなっていったと思います。どうせ差があるのなら、美しさなど関係無い位になってしまえば良いと……そして、フェリックス殿下に真の私を見て頂けたら。
そんな風に思っていることなど、誰にも言えません。
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